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壊れそうな心

「ど・・・どういう事なんです・・・」


天之御の真意を問い質すべく更に問い詰めるスター、すると天之御は


「魔王なんて肩書、僕達にとっては前線の総司令官の物に過ぎないのさ。戦争を引き起こしている根源を根絶しない限り、例え僕を消しても又新たな魔王が生まれ、その魔王を消しても・・・」

「もういいです・・・もういい!!」


天之御は言葉を続けようとするがスターはそれを遮り、耳を塞いだまま走り出して何処かへと行ってしまう。


「あ、ねえ君!!」


走り出したスターを急いで追う空弧、だが既にスターの姿は目で見える範囲にはなかった。


「やはり・・・直ぐには信じてもらえませんか・・・」

「仕方ないさ。今まで信じてきたものが覆されたんだ。僕だって彼の立場だったら、余に衝撃が一度に来すぎている」


岬が俯きながら呟くとその呟きを聞いた天之御は表情に仕方なさを浮かべる。


走り出したスターはその先に合った門から外に出てひたすら走っていた。そうしなければ自分の心が壊れてしまいそうだからだ。


「魔王を倒しても戦争は終わらない?根源を断つ?くっ、もう意味不明な事だらけだ!!考えるな、どうせ出まかせだ!!」


自分を納得させようとし、それを裏付ける様にひたすら走り続ける。だがその思いとは裏腹に頭は混乱し回り続ける一方だった。走り出してからどれ程の時間が流れただろうか、それも分からなくなるほど走り続けた。体は疲労は感じない、頭に神経が集中しているからだろうか。そんな事を考え続けていたスターの前に小規模だが活気ある村が目に入る。


「村・・・魔神族の支配エリアなのか?」


ふと思い立ったスターはその村に立ち寄ろうとする、だがその入口で「ドン!!」という音と共に誰かがぶつかり、目の前を風船が通り過ぎていく。スターがとっさにその風船を手に取ると目線は足元の女の子に合った。どうやら風船の持ち主の様だ。


「はい」


そう言って風船を手渡すと女の子は


「ありがとう、魔神族のお姉ちゃん」


と笑顔でお礼を言う。そこに女の子の母親らしき女性が駆け寄って来て


「すみません、この子が・・・ほら、お礼だけじゃないでしょ」

「あ・・・御免なさい」


と女の子に一礼させ、自身も頭を下げてその場から移動する。


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