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魔王との対面

「会いたかったよ、スター・ボレード君。僕は天之御。君達の言う魔王・・・なのかな?」


その少年は自らを魔王天之御と名乗るがその内容はふざけている様にも真剣にも取れる何処かはぐらかしている様なものであった


「・・・~・・・~」


スターは何か言いたげな顔を浮かべるが言葉が出てこない、いや出てこないのではない、言葉が出せないのである。それを見た天之御は


「・・・空弧、君は一体彼に何をしたの?」


と空弧に少し怪訝な表情を向ける。


「えっと・・・あの、呪縛の妖術で行動に制限を・・・」

「・・・はあ、それは仕方ない部分もあるけど、会話に支障をきたすような束縛をかけるのはどうなのさ?」

「・・・申し訳ありません、注意不足でした・・・」


怪訝な顔を向けられて諭され、顔を下に向ける空弧、どうやら反省はしている様だ。


「・・・魔王・・・さん、・・・」


反感をむき出しにした顔でようやく言葉を発するスター


「言葉が出せないわけじゃないんだな」


近くに居た八咫がそう語ると天之御は


「八咫、客人を揶揄うんじゃない」


と八咫を諭し、一瞬だけ八咫に向けたその顔を直ぐ様スターに向けて向き直し


「ねえ、君は・・・僕を倒せば戦争は終わると思ってる?」


と問いかける。その顔は優しげだが、何かを試している様にも見えるのは明白であった。一体何を聞いているのかと言わんばかりの表情を浮かべたスターは


「当たり前・・・でしょう。魔王を倒せば魔神族は総崩れとなり戦争は終わる。ずっとそう教えられ、そしてその為に戦ってきたのですから・・・

本当ならこうした敬語調で話すのも虫唾が走るのですが、この口調でないと会話できない様ですからね」


ときつい口調を並べ、天之御と空弧を睨む。それを聞いたスター以外の全員はどこか悲しげな表情を浮かべ俯く。その意味が全く理解できず、苛立ちを募らせるスター。


少しの沈黙の後、岬が


「やはり・・・そう教え込まれているのですね・・・」


と呟き


「残念だけど・・・僕を倒しても戦争は・・・いや、歴代の魔王全てを倒したとしても戦争は終わらないよ」


と天之御も続ける。その言葉と表情を見たスターは牢屋の中に続き衝撃を受ける。その言葉だけなら嘘だと言えたが、その顔と目は明らかに嘘は言っていない目だったからだ。

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