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ルイナと法皇

同じ頃、城の自室に居たルイナはベランダに出て外の景色を見つめていた。だがその表情は暗く、否、硬く何かを決意している様に見える表情であり、年齢不相応の物と感じられる。


「愈々だね・・・」


ルイナの口元がそう動く、だがそれは本当にそう言ったのかどうか分からない程の声であり、ただ単に口元が動いただけなのかもしれない。


「ルイナ、ここで何をしている?」

「父上・・・」


不意に声が聞こえ、その声に反応して振り返るとそこには法皇の姿があった。


「昨日の会合の件は伝えた。その結果が何を意味するかお前にも分かるな」

「はい、私達人族の・・・更に正規軍の中に裏切り者が居る、そういう事でしょう」


ルイナが強い口調で返すと法皇も顔に皺をよせ、その顔を立てに振る。


「先日の施設の兵器、魔神族に奪取を許したのであれば少なくとも何らかの反応があった筈、それが無かったという事はつまり、何者かが故意に情報を握り潰したという事だ。それも開発に携われる程の身分を持つ者が」


法皇が続けて言葉を発するとさっきの法皇の姿を真似るかの様にルイナも首を縦に振り、顔を険しくする。


「いずれにせよ、今後の正規軍との連携は注意が必要だ。その事をお前にも肝に銘じてもらいたい。では、私は次の会合の準備を進める。兵士たちの件は頼んだぞ」


法皇はそう告げると部屋から出て行く。それを確認したルイナは再びベランダから外の景色を見つめ


「今後・・・か、スター兄・・・」


と呟く。その姿を照らす日の光は暖かな筈なのにどこかに冷たさを感じさせた。

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