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動き出す時

その通信が終わると


「向こうも了承してくれたよ」

「随分あっさりとして頂けましたね。幾等協力者とはいえ彼にも立場というものがあるでしょうに・・・」

「それだけ向こうも急いでいるってことだと思う。今回の件が上手くいったとはいえ、結果としてそれがマイナスに働く可能性もないとはゼロじゃないんだから」


と協力者の身を案ずる。


翌日、何時もの様に目覚めたスター、だがその顔に晴れやかさは無い。昨日の一軒をずっと考えていた。


「やはり・・・考えれば考える程腑に落ちない。奇妙な戦力配分、奪還と侵攻を繰り返す戦況、それに・・・正規軍とのやり取りがほぼ上層部のみで行われているのも偶然なのか?」


考えれば考える程答えの出ない問題、湧き出る疑問、それが指し示す物をこの時のスターはまだ、知る由もなかった。


その時、扉をノックする音が響く。


「はい」


そう返答すると同時にルイナが入ってくる。


「スター兄、入るよ」

「もう入ってるだろ・・・」


少々呆れた声で返すスター、だがその声は直後の


「昨日、法皇様と他都市の正規軍の主要メンバーで会合があったんだ」


という声で直ぐに元に戻る。スターは知っていた、ルイナが父親を法皇様と呼ぶ時は全て他都市の、いや人族の今後を左右する重大な出来事が起こった直後である事を。


「昨日の作戦でスター兄達が交戦したって言ってた兵器、あれは人族が開発していたものを魔神族が奪取して使用していた物だったんだ。でもそんな話は聞いた事が無かった」


ルイナがそう語ると


「つまり、何処かが無断で作ってたって事か。北のアルダムか、南のメルンか、それとも東のロサンシティか・・・」


とスターも続ける。


「でも、どこのトップも開発していた事すら知らないって言ってる、事実かどうかは別にしてね」

「まあ、責任逃れはしたいだろうな」


続けて語られたルイナの一言にスターもため息交じりとなる。



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