スリーリバーマウンテンへ
「研究施設・・・つまり、あの兵士は何らかの実験によって作り出された存在と言う事ですか?」
険しい顔のまま問いかけるコンスタリオにルイナは
「報告を聞く限り、そうとしか考えられません」
と頷く。
「くそっ、魔神族とはいえ命を玩具にしやがるなんてよ!!」
「それをしているのも魔神族だ。だが、その怒りは分からなくもない」
モイスが手を打ち付けるとスターはそれを嗜めつつも同意もする。
「現状、まだこちら側を実験台にする様な事はしていない様ですが何時それが行われるか分かりません。その為事態を重く見た私はこの施設の制圧を命じます」
ルイナがそう告げるとその場にいた全員が敬礼する。
「それは分かりました、ですが正規軍の方は?」
コンスタリオがそう問いかける。ブエルスの部隊は防衛線の最前線と言う事もあり独自の作戦行動が許可されてはいるものの、正規軍の方も連絡をしておくべきだと考えたのだ。その意図を悟ったのか、ルイナは
「正規軍への連絡は既にしてあります。ですが施設の制圧はあくまで私の判断、正規軍はスリーリバーマウンテン麓の街から施設に増援が来るのを阻止し、可能であれば奪還するという別任務の元で行動します。
更にこちらからもある程度の戦力を分割して正規軍と共闘します。施設に大勢で向かっては却って証拠の隠滅を図られかねませんから」
と答える。
「先日の北の戦いで戦力を必要以上に分散した為に失敗した教訓と言ったところか。それにしてもスリーリバーマウンテン・・・因果か」
顔を崩さないままでもスターは内心でそう呟く。
「では、早速ですが移動を開始して下さい」
ルイナはそう告げるとその場から降り、その直後その場にいた全員も移動を開始し、準備が出来た者から移動車に乗り込み、出発していく。




