流れをこの手に
翌日、早朝の朝食時突然兵士長がスター達の目の前の台に立ち
「昨日の進行を食い止めたばかりで申し訳ないが、昨夜ボーデン・タウン内の正規軍より通信が入り、侵攻に魔神族を出撃させた結果ボーデン・タウンに駐留していた魔神族の戦力が低下している。
この機に乗じてボーデン・タウンを開放したいと言う通信が入ってきた」
と告げる。
「侵攻に失敗して解放作戦か・・・この前と逆のパターンね」
「なら丁度いいんじゃねえの、この前の借りを返してやるのによ!!」
兵士長の発表を聞いたコンスタリオが口元に手を当てて呟くと何時も通り、モイスが明るいノリで話す。
「そこで我々もボーデン・タウンに協力、正面から進撃し、敵戦力を迎撃に来させることで更なる戦力の低下を狙う。一方ボーデン・タウン内ではタウン内の正規軍がそれに合わせて反抗作戦を行い一気に奪回を行う。これが今回の作戦内容だ。何か質問は?」
更に話を続ける兵士長に対し
「タウン内の民間人を人質に取られる可能性は?」
と話すスター。それに対し兵士長は
「その点の心配は無用だ。既に民間人にも作戦が開始されると同時にそれぞれに取るべき行動は指示されている」
と質問をあらかじめ想定していたかのように返答する。
「人質を取られる前に作戦を成功させろという事か・・・」
その返答の真意をそう予測するスター、そうすると何も言わずに顎に手を当てる。
「作戦開始は今から二時間後、それまでに準備を整え移動者に乗り込んでおくように」
兵士長はそう告げると台から降り、そのまま何処かへと去っていく。そのまま作戦開始時間となり、コンスタリオ小隊も移動車に乗り込むがその中でもやはりスターは浮かない表情を浮かべていた。
「やっぱり気になるの?」
「ああ、立場が逆転しているとはいえ、同じ状況が二回続けて起こっている。しかも昨日の部隊は明らかに統率が取れていなかった。前回の巨大兵士の時は態々指揮官が来ていたのにな」
「指揮官が来るほど扱いが難しいのに・・・か。確かに腑に落ちない点ではあるわね。逆に言えば、タウン戦では指揮官と遭遇する可能性もあるか」
スターの顔を覗き込むシレットに話しかけるスターとコンスタリオ、二人の顔にはどこか不安と不信感が浮かんでいた。
「ま、考えてもしょうがねえさ。今は作戦を成功させることだけを考えようぜ」
「モイス、あんたは・・・いえ、それがいいのかもしれないわね」
モイスの軽口を一瞬諭そうとするコンスタリオだったが、直後に自分も又深く考えすぎているのかもしれないとも考え、発言を切り替える。
そうこう話している間に移動車は目的地に到着し、各部隊は戦闘配置に着く。そして
「全軍、突撃用意!!」
という声と共に全軍がボーデン・タウンに向けて進軍する。




