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敗戦の後に

クラスク・タウン防衛線から一週間、人族は同防衛戦からの立て直しに専念していた。制圧されたティクシ・タウンからの侵攻は特に警戒していたが、この一週間の間魔人族に大きな動きは見られず、又人族から仕掛けたという事も無い。

そんな状況を見てスターは一人警戒心を強めていた。


「妙だな・・・今日で一週間、その間魔人族が一度も進行していない。ティクシ・タウンを制圧された以上、流れは魔人族に傾いている筈なのに・・・

これは予想外の何かが起こったのか?それとも裏があるのか・・・」


部屋で一人呟くスターの元に


「何してるの?そろそろミーティングの時間よ」


と言う声と共にシレットがやってくる。


「あ、ああ・・・」

「・・・又この一週間の事を考えていたの?」


スターがこの事を考えているのは今現在では無く、この一週間何度もあった事だった。それを知っているシレットは敢えてそれを質問する。


「ああ、どうしても頭から離れない。奴等が次の行動を起こしてこない事も含めてな」

「考えすぎ・・・とは言えないのよね。スターがそういう事を言った時って良くも悪くも大抵当たるもの」


シレットの言う様に、スターの予測は確かな物であった。コンスタリオ小隊は過去にスターの予測に何度も救われていたからだ。


「やっぱり・・・」

「おい、ミーティングじゃなかったのか?」

「あっ!!そうだった」


自分の会話に入っていこうとするシレットを制し、スターは共にミーティングルームへと向かう。既にモイスとコンスタリオは到着していた。二人が席につくと、コンスタリオは


「先日スターが交戦したあの巨大魔人族、あれについてなんだけど、あれは魔力により作為的な強化をされた兵士であるという事が分かったわ。そして、そんな事が出来る事も証明された。これがその解析結果よ」


と一週間前の戦いの際にスターが得たデータの解析結果を配る。


「あ~え~と・・・つまり、どういう事だ?」

「あの魔人族は戦う為に能力を高められ、その代償として知性や理性を失っている。そういう事だろう」


紙を見て目を白黒させるモイスに対し、その回答を兼ねて紙の内容を要約するスター。


「つまり、あの魔人族は凶暴な野獣の様な存在って事?」

「ああ、あの時戦ってみて分かったが、あの魔人族は本能のままに攻撃してくる様な印象だったが、それで当たっているとはな」

「戦力としてはこの上ない逸材と言えるわね。そして今後の戦闘ではこれが更に投入されてくることが予測される。悠長に構えて居る訳には行かないわ」


スターの返答を聞いてもまだ釈然としないモイスを尻目にシレット、コンスタリオ、スターは話を先に進めていく。

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