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何時か来る機会の為に

「制圧されたって・・・どういう事です!?」


スターはコンスタリオに問うがコンスタリオの手にしている通信機からはなおも声が聞こえる。そしてその声が終わると


「総員、現在の消耗した戦力でティクシ・タウンの奪還は不可能だ。よって本隊は速やかに戦闘地域より離脱する!!繰り返す・・・」


戦前指揮官の無線が響き、それと同時にコンスタリオも通信機を手に肩を落とす。


「隊長・・・」


シレットはコンスタリオに近付き、手を寄せようとする。


「聞いた通りよ・・・無線の奥でも言っていたわ。これ以上の犠牲を出す訳には行かないから速やかに後退せよ・・・と」

「ちっ、みすみす逃げ出すしかねえなんて!!」


コンスタリオの念押しの後、舌打ちをするモイス。だがその悔しさは他の面々も同様であった。


「直ぐに此方に向かってこないという事は向こうもそれなりの消耗はしていると考えられます。その隙を逃せば俺達は逃げられなくなります。恐らくはそれを見越しての指示でしょう」


冷静に分析を試みるスター、コンスタリオもそれに同意し、首を縦に振る。その後コンスタリオ小隊を初めとするその場にいた部隊は全員移動車に乗り込みその場を後にする。


「一体何が起こったんです?」


移動車の車内でコンスタリオに質問するスター、その真意は今後の事を見越しての事ではある。しかしコンスタリオは


「詳細は分からない・・・ただ、制圧されたとしか・・・」


と力無く答えるのみであった。


「あの短期間で詳細な説明は不可能ですね・・・申し訳ございません」

「謝意の必要は無いわ。とにかく、期間後に詳細な説明があると思う。その時に考えましょう」


コンスタリオとスター共に相手の事を考えるが故に気落ちを増してしまう。


ブエルスへの帰還後、当然の様に作戦参加者は会議室に集められ、今回の一件の詳細が説明される。


「魔人族は部隊を二つに分けてこちらへと進行してきた。こちらに来た兵士は退けられたが正規軍が迎え撃ったティクシ・タウン側は籠城である事を突かれ周囲を包囲、逃げ場を失い、全方位からの突入後瞬く間に制圧されたという事だ」

「ティクシ・タウンは見通しが良いタウン、逆に言えば配置を把握するにはこの上ない好条件ですからね。そう考えると・・・」

「だけどよ、俺達の方に来た部隊とあまりにも違いすぎねえか?」


報告を受けた兵士長が全員の前で解説を行うとコンスタリオは手を首元に当てるがモイスはふと疑問を口にする。


「あんたでも分かる位に違うって、一体どういう事なのかしら?」

「おい、あんたでもってな・・・まあ、俺は作戦とか考えるのは苦手だけどよ、そんな俺でも妙だって思えるぜこれ」


どさくさに紛れてきつい発言をするシレットとそれに突っ込むモイス、だがそれもその場の重い空気の前では虚しく響くだけであった。


「今の所建物等への制圧後の損壊は出ていない。だがいつ犠牲が起こっても・・・」

「可笑しくはない・・・か。奴等が仮に住民を奴隷にするつもりならまだ救出のチャンスはあるが、そうでなければ・・・」

「やめてよ、こんな時に!!」


兵士長の説明を補足するスターだがその言い方にシレットが反発する。


「・・・御免、こういう考えしか出来ない」

「まあ、それも分かってはいるけど・・・」


謝意を述べるスターに対し、シレットもそれ以上言う事は無い。スターもショックを受けているのは察している。そこにルイナが現れ


「魔人族の制圧を許してしまったのは痛手ですが、何時の日か必ず奪還作戦を行う時が来るでしょう。その時に備えて今は少しでも各員が奮闘して下さい!!」


と目の前で演説し、それを聞いた全員が


「了解!!」


と言う声と共に敬礼しその場を去って報告は終わる。



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