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慎重かつ大胆に

その頃、渦中のコンスタリオ小隊は戦場となっているエリアから少し離れた場所を移動し、他数小隊と共にスリーリバーマウンテン内に突入していた。


「しっかし、中々大胆な事やるよな。まさか密かに山の中にも侵入して挟み撃ちにするなんて」


草木を掻い潜りながらモイスがふとそう漏らす。


「ええ、でも油断は禁物よ。このルートが一部の上層部しか知らない裏ルートであると言っても全く敵にも気付かれていないという保証はないのだから」


コンスタリオはそんなモイスに同意しつつも一方で気を引き締める様に告げる。周囲に敵の姿はないが、何故か彼女は油断できなかったのだ。


「随分慎重なんですね。コンスタリオさんって」


キャベルの防衛部隊から同行している兵士がそう告げる。その口調は敬意を払っている様にも皮肉っている様にも取れる。


「一寸、慎重じゃ悪いっていうの?」


シレットが兵士に反論しかかったその時、何処かから魔法の弾丸が飛んでくる。その弾丸はコンスタリオ小隊を掠め、キャベル部隊の兵士の足を貫く。


「!!攻撃、って事は・・・」


弾丸が飛んできた方向にシレットが目をやると続けて何発も魔法の弾丸が放たれる。シレットも同じく弾丸を放ち、魔法の弾丸同士で相殺させる。その爆発は周囲の木々を揺らし、旋風を巻き起こす。


「そうそう、慎重なのは良い事よ」


旋風が止むとそこには魔神族の兵士が数名確認出来る。配置から迎撃の為に身構えていたのは疑いようがなかった。


「やはり予感が的中した・・・でも何故、奴らは私達がこう動いてくるのを予測できたの!?新型移動車にはマジカル・ジャミングも搭載されているのに・・・」


今回の作戦で使用された新型移動車には監視魔法を掻い潜る特殊処置が施されていた。これにより、上空から監視魔法を使われても動きは見えないようになっていたのだ。にも関わらずそれを予測したかのような配置、それに疑問を抱かずにはいられなかった。だがコンスタリオが考える時間が与えられるはずもなく、魔神族の兵士は更なる魔法弾を打ち込んでくる。


「つっ・・・」


コンスタリオ小隊とキャベル防衛部隊は左右に分かれる事で魔法弾を躱すが、その直後に魔神族の兵士がその中間に入り、別れた双方の部隊に激しい攻撃を仕掛けてくる。


「くっ、止むを得ない。このまま散開するわよ!!」


というコンスタリオの指示でモイスとコンスタリオと兵士、シレットと兵士の二手になし崩し的に散会して山の奥へと部隊は向かっていく。それを確認した魔神族兵士は


「・・・もしもし、伝達通り、奴等には別動隊が居ました」


と誰かに連絡を入れる。


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