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──あの子がいない。
それは突然のことだった。
あの子、昨夜まではいたのに。眠る前までは確かに、いたのに。
わたしが目を覚ますと、隣の布団には誰もいなかった。手を当ててみたが、温もりさえも残っていなかった。
家中を探した。台所。洗面所。浴室。トイレ。アパートの外のゴミ捨て場にも、向かいのコンビニにもいなかった。大学に行く時間になっても帰ってこない。
ねえどうして。どうしたの。どこにいっちゃったの。どうしていなくなったの。
探さなきゃ。
理奈として大学に行く用意をしながらも、頭の中を占めるのはそのことだけ。
探さなきゃ、あの子を。わたしたちは、一人で生きていくなんて、とても耐えきれないのに。




