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半身  作者: くう
2/10

●2

 

わたしたちを見分けることは生みの親にさえできなかった。

 

自力で動けないくらい小さな頃は違う色の服を着せられたりしていたのだろうけど。物心ついたときからわたしたちはお互いの持ち物を全て共有していた。

 

わたしたちはお互いを名前で呼んだことがない。


だってわたしはあの子で、あの子はわたしで。わたしもあの子も理奈で、怜奈なのだから、名前なんてものは意味をなさないの。 

 

「理奈と怜奈ごっこ」は二人きりでない限り家の中でも続けられる。でもお母さんは産んだ者の勘からか、わたしたちの入れ替わりに気付いていたみたいだった。そして随分と気味悪そうにしていた。

 

これはそんなに変なことなのかしら。


でも生まれる前からわたしたちは一つだったのに、肉体が分かれたからって二人別々の存在になれと言うのは無茶な話だわ。

 

それが原因かは知らないけれど、わたしたちが高校に上がる前に両親は離婚した。

 

お母さんもお父さんも、わたしたちのどちらか一人だけを引き取りたがった。だけどそんなのはわたしたちが耐えられない。

 

どちらの親についていくことも拒否し、わたしたちは高校からアパートで二人暮らしをすることになった。頑張って良いところに合格したから学費は免除だし、両親から生活費はもらっているから困ることはない。


数年たった今でも両親はわたしたちと会いたがろうとはしないから、わたしたちは完全に二人きりの生活だ。


家の中で理奈と怜奈をわざわざ演じる必要もなくなった。




「――ねえ見て、満月が赤いわよ」


「本当ね。何かが起こる予兆みたい」




買い物袋をそれぞれ片手に、今日もわたしたちは二人の家に帰る。

 

その日の、東から昇った赤い満月は不気味なぐらい綺麗だった。




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