未定
暑い。
そして、悩みの種がひとつ。
なぜ、私は麦茶を凍らせて持ってきてしまったのか。
喉が乾いて仕方がない。
汗で化粧が崩れるのは悩まないのかって?化粧をつけない私には関係ないのさ。DQNざまぁってね。
そんなひっきーな私が日傘を持っている訳もなく、強烈な日差しのなかを大学まで歩いていた。
(車で送ってもらえばよかったかなぁ…。でも、やっぱ母さんに迷惑かけたくない。)
最寄りの駅が人身事故で電車が来ないので、大学まで歩いて行かなければならなかった。
徒歩1時間。
東京のど真ん中。こんな都会のまん中で倒れたら絶対まわりに迷惑をかけてしまう
ひっきーの私は普通こんなことはしない。大学生の私は、普段の授業なら、こういう日は絶対家で寝てる。
でも、今日はこんな私を動かす大きな理由があった。
でも、正直今はそれどころじゃない。
大学までたどり着けるか不安だ。
アスファルトの照り返しがつらい。
「お姉ちゃん、頑張って!」
ふと、天使のような可愛い声が聞こえた。
「お姉ちゃんの妄想力は世界一なの!だから駅まで行けるよ!」
あぁ、なんて私好みの萌えヴォイス.....
ふわふわと目の前に浮かんでいる天使のような女の子。
フリルに覆われた白いドレスに身を包み、その奥では碧眼が光っている。
人間のものとは明らかに違う、幻想的な銀髪は太陽の光を受けて七色に輝いている。
顔立ちは人形のように美しく、口元にはバラが秘かに咲いているようであった。
まさしく、至高の少女。
私みたいな、髪型も地味で顔もよくない、身長も平均だしなんの特徴もない。
おまけに、黒縁のメガネなんて。
メガネは、まぁ、親が選んだのだから嫌だとは言えなかったけど.....
そんな私のまえで、彼女は満面の笑顔を咲き誇らせていた。
「フィリア、ありがとうね。」
わたしは彼女を抱きしめた。