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カケラ集め  作者: ちび
1/1

プロローグ


 この世界には、カケラが散らばっている。

 『かけら』と聞いて……何を思い浮かべるだろう。無難なのは、陶器などの破片だと思う。

 でも、別に『かけら』は必ずしも実態を伴ってるわけじゃないんだよ。それを履き違えてる人が多いらしい。

 そもそも、欠片自体はそれなりに昔からあったんだろうね。人々の欠片だったり、そうじゃないものだったり、色々。

 でも、カケラができたのは……つい最近か。

 普通の欠片じゃない。何かを欠かしてしまっているのには変わらないのだけれど、でも――

 それはとても小さいけど、とても大きくて――

 ……まぁ、実際に失ってみればわかると思うよ。カケラを。

 このご世代、カケラを失う機会はそう少なくないはずだしね。失いたい人がいるとも思えないけど。

「……いまいち容量を掴まんな。いつものことでもあるが、結局何が言いたいんだ、お前は?」

 ん? 言いたい事、ね。なんだろ。

 強いて言うなら……警告かな。

 既に失ってる(、、、、、、)僕だから言えるけど、実はこのカケラ、失くしちゃうと結構大変だからさ。思ってた以上に。

 ああ、もしかして君、『別に自分なんかどうなったっていい』とか思っちゃってる? そうじゃないことを祈るばかりだけど。

 でも、そんな考えは通用しないよ、カケラを失っちゃあね。

 カケラに通用しない、というより……彼女に通用しない、という方が正しいのかな。どう思う、大賢者様?

「誰が大賢者だ……さておき、その言い方の方が正しいとは思うが。しかし、巻き込まれる側(、、、、、、、)にとってはどっちにしても同じだろう」

 そりゃそうだけどね。でも、それじゃさすがに可哀そうだろう? カケラを欠かされて、自分を欠かされ、大切な者を欠かされ。

 ……ねえ、それでも何が起こってるか分からないって、君でも可哀そうとか思ったりしないの?

「我にそんなモノを求められても困る。元より、欠品を集めただけの存在だぞ?」

 まぁ、そういうことでいいけどさ。

 っと。話が逸れてる。何の話だっけ……。

 そうそう。カケラを失ったら、その影響はその人だけに収まるわけじゃないってことだよ。

 別に個人で収着するんなら、僕だってこんな面倒なことはしてないし。本当に面倒なんだよ。

 お前は何をしているんだ、って? やだなぁ、今からそれを話していくんじゃないか。

 ……つまり、今から誰かのカケラが欠かされるってことさ……。

 さ、今日のカケラはどんなのかな。

 どうせ今日も、ロクなことにはならないんだろうけど。

 そうだろ? 欠片だらけの少女(キミ)

 ……答えてくれないのは知ってるよ。

 ま、今日も始めようか。カケラ集め。



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