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Clown Virus  作者: KYOS
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code 052:

神池は迷路に迷ったようです

「まずい!隠れろ!」

「??、やべ!?」

「なんだ?」


結弦は俺の言いたいことが分かったらしく、急いでグレーチングから死角になるところまで走っていった。

だけど問題は金髪の体力バカ。

俺の言いたいことがいまいち分かってなかったらしく、頭にクエスチョンを浮かべて突っ立っている。

そんな体力バカを。


「いいから隠れろ」

「うぎゃ!?」


死角になる場所に思い切り押し飛ばしてやった。

その勢いのまま俺も影に滑り込む。


『誰かいるのか?』


俺たちがいた場所の真上のグレーチングから声が降ってくる。

とりあえず音を出さないように気を付けながらしばらく隠れている。


『……?気のせいか』


その声を最後に足音は遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。


「危なかった~~……」

「何とかなったな」

「痛ぇだろ竜崎!」


二人でため息を吐いて安堵していると、横から抗議の声が。


「お前がぼけっと突っ立ってんのが悪い。危うく先生に見つかりかけたぞ」

「だからって思い切り突き飛ばすな!10メートル近く転がったじゃねえか!」


そういえばそんなこともあったねぇ。


「いいじゃん、無事なんだし」

「危うく溝にはまりかけたけどな……!」


ご苦労様です。


「そんなことより、さっさと探しに行くぞ」

「俺の抗議がそんなことよばわり……!?」


なんかまだぶつぶつ言ってるけどここは無視させてもらおう。


「それじゃ、入り口は頼んだぞ」

「おう、任せろ」


二人でそんな会話を交わし、まだ文句が言い足りなさそうな神北をなだめつつ迷路のような地下室の奥へと進むのだった。


//--------------神池-----------------------------------------


えっと、さっきこっち曲がったからこっちだっけ?

……あれ、行き止まり。

あっそっか、ここを右に曲がってきたんだっけ。

……こっちも行き止まり。

っていうか、これって迷ったんじゃね?

とりあえず叫んでみる。


「ここはどこだーーー!!」


ふう、すっきりした。


今俺は、実習室の地下室の奥、さながら迷路みたいになっている機械の集まりの中で、世間を騒がしているウイルスの作者を探していた。

竜崎に頼まれて気軽にOKしちゃったけど、これ結構めんどくさい。

なにせ探してる場所がホントに迷路みたいだ。

どこを見ても、似たような形の機械ばかり。

おかげで探し始めてから3分、見事に迷ってしまった。


「ここは……さっき通ったな。じゃあこっちも……通ったし」


右に曲がっても左に曲がってもここがどこだかまったく分からない。

正真正銘の迷子になってしまった……。

ちょっとマメ知識 リターンズ


結弦「さて、また始まってしまったが今日のテーマはなんなんだ?」

仲村「えっと……今日はスパコンについてだって」

結弦「じゃあ今日は俺が説明してやるか」

仲村「今日は任せるね。私あんまりハードウェアには詳しくないから」

結弦「OK~。それじゃあ始めるぞ。スーパーコンピュータ、縮めてスパコンとは処理性能がすごいコンピュータである」

仲村「……っえぇぇ!?まさか今ので終わりじゃないよね!?」

結弦「冗談だよ。それじゃ改めて。スーパーコンピュータってのは、処理性能が普通のパソコンより高速なコンピュータのことだ。最近じゃ理化学研究所と文部科学省が主導して、神戸に設置されている『京』っていうのが世界1位になったって話題になってたな」

仲村「それなら私も聞いたことある。去年も事業仕分けで話題になったんだよね」

結弦「そうだな。世界一速いコンピュータを作るのは人材育成や、天文学みたいな高い処理性能が必要な計算の処理をするためっていうのもあるけど国のプライドもかかってるからな」

仲村「いろいろ大変なんだね」

結弦「こうやって国家プロジェクトとして作られる場合のほうが多いんだけど、最近面白い話を聞いたな」

仲村「どんなの?」

結弦「ゲーム機でプレイステーション3、通称PS3ってあるだろ?あれを1700台ちょっとつなげてスパコンを作ったらしい」

仲村「そんなものでもスパコンになるの?」

結弦「まあスーパーコンピュータってのは処理性能が高いコンピュータの通称だからな。京みたいな国家プロジェクトで作ったものでも、個人がPS3を集めて作ったようなものでも、性能が高かったらスパコンだ」

仲村「ふ~ん。それで、スパコンと、普通のパソコンとは何か違うところはあるの?」

結弦「大体は一緒だな。普通のパソコンに搭載されてないような最新技術が使われてることはあるけど。ちょっと高性能なパソコンが数千台ケーブルで繋がって同じ計算をしてるってイメージだな」

仲村「それじゃあ、インターネットに繋がってるパソコンが同じ計算を解こうとしてたら、それはもうスパコンってこと?」

結弦「まあ、間違ってはないと思うが……もしかして、やろうとしてないか?」

仲村「ううん。まだするつもりはないよ」

結弦「まだって……。まあ、いいや」

仲村「そういえば『京』以外にはどんなスパコンがあるの?」

結弦「俺もよくは知らないけど……JAMSTECっていうところの地球シュミレータってスパコンが結構前に世界1位の計算速度を出してたな。結構古いけど」

仲村「そうなの?」

結弦「コンピュータの世界はすごいスピードで進歩してるからな。今は1位でも数年もしたらすぐに追い抜かれる」

仲村「へ~。さすが結弦、詳しいね」

結弦「ハードウェアに関してはお前に負ける気はないからな」

仲村「ソフトのことになると私に勝ったことないもんね」

結弦「……。そ、それじゃあ今日はこの辺で」

仲村「またね~!」

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