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台風がすごいですが皆さん大丈夫ですか?
風で飛びそうなものは家に入れて、台風が過ぎるのを待ちましょう
経由したサーバのアドレスと仲村が持っているアドレス表をつき合わせながら辿ってみる。
まず最初に、ここから送信されたデータは学校全体のネットワークを管理しているサーバに送られていた。
そこを経由したデータは[FUJISHIRO]自体を管理しているサーバから、仮想ネットワーク内の犯人のパソコンに送られたらしい。
「……フジシロを管理しているサーバを探れば分かりそうだな」
「そうだね。ちょっと待って、今このサーバの情報を集めるから」
そう言ってまたキーボードを叩く仲村。
画面に色々なコンソールが出ては消えての繰り返し。
それを眺めながら考える。
犯人のパソコンへ最後にデータが経由したサーバは、フジシロを管理している。
フジシロを構成しているコンピュータはそれぞれ、サーバにケーブルで繋がっている。
つまりフジシロが作っている仮想ネットワークに繋がるということは必ずそのサーバにケーブルで繋がってることになる。
あっ、そうだ忘れてた。
授業で使ってる実習室内にある端末も仮想ネットワークに繋がるからこれもサーバに接続されてる。
つまりこのサーバに直接繋がっているコンピュータのどれかが犯人が使ってるパソコンになるはずだ。
でもこれだけじゃ、どれが犯人のパソコンか分からない。
さて、どうするか。
直接行って見てみるしかないか。
「北園、フジシロの管理サーバってどこに設置してるんだっけ?」
俺の斜め上で仲村のキーボード捌きを眺めている北園に聞いてみる。
「えっ?え~と、確か実習室の地下になかったっけ?」
天井を見上げながらつぶやくように答える北園。
「そこって確か実習室の入り口と正反対の場所に入り口があったよな」
「そういえばそうね。……結弦、なに考えてんの?」
天井から俺に目線を移して不思議そうな顔で聞いてくる。
「俺の予想じゃそこに犯人がいるかもしれない」
「どういうこと?」
さらに不思議そうな顔をしている北園に、ひとつ息を吐いて考えている仮説を言う。
「うちのフジシロって、管理サーバに全部のケーブルが繋がってるだろ?授業をしてる端末とか。フジシロが作ってる仮想ネットワークに繋がるものすべて」
「そうだけど……、それがどうかしたの?」
「犯人があの仮想ネットワーク……つまり管理サーバに直接パソコンを繋げてるんだったらサーバにケーブルが繋がってるはずだ。犯人はたぶんサーバに直接ケーブルを繋げてウイルスを流してる。だからそのケーブルをたどってけばそこに犯人がいるはずだ」
「あっ、そういうことね!」
俺の言いたいことが分かったらしい。




