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すいません、遅れました
では、どうぞ!
「たぶんあれは自作のプログラム言語だと思う。あとで仲村に検索かけてもらわないとなんとも言えないけどな」
「それじゃ肝心なところの仕組みが分からないんじゃないのか?」
「そうなんだよ…」
世の中には色々なものを作る趣味の奴もいてプログラム言語を作る人間も中にはいる。
当たり前だけどそのオリジナル言語の解説書なんて出回ってない。
だから一応ネットで検索かけて見てその言語の作者が解説や仕様を公開してないか調べる。
でも大概公開してないから自分の知識と勘を使わないと解読できない。
めんどくさいことこの上ない…。
「ところで報酬は?」
「あるわけないだろう」
「ただ働きさせるな」
俺だってやりたいことは色々あるんだから。
「いいじゃん、たまには」
…さっきので今月18回目なんですが。
「まあ、いいや。俺は部屋に戻る」
これ以上こいつに付き合ってたら余計な仕事を増やされる。
「あぁ、また頼むな~」
二度とごめんだっ!!!
そう心の中で叫びながら竜崎と別れた。
そのまま寮に帰ろうと渡り廊下を歩いていると中庭のベンチに見慣れた後ろ頭を見つける。
仲村だ。
ちょっと脅かしてやろうと音を立てないように気をつけながら近づいていった。
//--------------仲村-----------------------------------------
遠くで運動部が部活をやっている声が聞こえる。
だけどこの辺は校舎が密集しているせいか、時折風が木々を揺らし葉を鳴らす音が聞こえるぐらいだ。
そんなのどかな昼下がりのベンチで私は最近お気に入りの小説を読んでいた。
今日は始業式だけだから昼過ぎには授業が終わり午後は暇になる。
だから結弦にサーバの組み方を教えてもらおうと机のそばにいったけど、残念ながらもうどこかへ行った後だった。
まあ、どこに行ったかはあらかた予想できるけど。
仕方なく私はやることを探して校舎をさまよって、この気持ちよさそうなベンチにたどり着いた。
カバンの中には最近お気に入りの本があったから読書していたというわけ。
だけどここ、本当に気持ちいい。
春だからというのもあるけど気温は暑すぎず、かといって寒すぎず。
太陽もちょうどいいぐらいの強さ。
時折ふく春風が肌に心地いい。
正直さっきから本を読みながらうとうとしていた。
その時―――
コンッ!
私の頭が小気味いい音を立てた。
あまり痛くはなかったけど、気持ちいい昼のひと時を邪魔されて少し不機嫌になり、ちょっと睨みながら後ろを振り向く。
そこには分厚そうな専門書を片手に笑ってる結弦が居た。