表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

リミット

作者: 未来

 何事にもリミットがある。外からセミの声が聞こえるがセミの命のリミットは1週間、今見てるサッカーの試合のリミットは残り25分程度だ。大学2年の僕はサッカーを見つつ物思いにふける。僕は気づかないうちに無駄に時間を消費し、さまざまなリミットがあったことに後から気付き、いつも後悔するんだ。それは小さいものから大きなものまである。レポートの提出期限だったり、卵の賞味期限だったりする。

今でも忘れられないリミットは、そう、初恋のリミットだ。

高校の入学式の後のクラスオリエンテーションのとき、僕は同じクラスの女の子に恋をした。僕たちの高校は、クラス替えがないため、3年間同じクラスで過ごす。その時の僕は無限の時間が残されているように思えた。だけど、リミットは確かに存在していたのだ。告白するチャンスは何度もあった。でも、毎回、次があるさ、もっと仲良くなってから。と、先延ばしにしていた。遠足、2人きりになった放課後の教室、同じ班だった修学旅行、一緒にダンスを踊った体育祭。しかし、僕はリミットがあることに気づいていなかった。永遠に続くと思っていた学生生活に終わりが来るなんて、あの頃は思ってもいなかった。でも、終わりの時はやってきた。卒業式。僕はこの日。彼女に思いを伝えようと決心していた。だけど、できなかった。彼女を前にするとどうしても言えなかった。結局、僕の初恋は思いを伝えられぬまま幕を閉じた。

 テレビのサッカーの試合も1-0のまま後半44分を迎えた。どうやら、このまま終わるようだ。そのとき、僕のケータイが鳴った。2年ぶりの彼女からのメールだった。

「今年はいつ地元に帰ってくるの?」

サッカーの試合は3分間のロスタイムに入っていた。リミットなんて、勝手に自分で思い込んでるだけで実はまだ、試合は続いているのではないか。僕の初恋もまだ続いていた。返信しようとケータイを開いた瞬間、負けていたチームが見事なミドルシュートで同点ゴールを挙げていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ