9話 『天啓』からの接触となり③
「おかえり。何かあった?」
「…ちょっと、大変なことになりそうです。」
いつになく不安そうな様子のラディ。
「鈍色仮面の連中が、か?」
「はい。あのパラディンのミツキってひとが、またやられたみたいで。」
あまりにも直接的な当事者、なんて事を言える訳もなく。
「僕の方でもそれは聞いた。例の『赤霧の鎧』に打ち負かされたって。」
「それでみんな『やるなら今だ』って勢いになっちゃって。
そのふんいきについていけなくて、嫌、とも違うなにか……。」
「怖い、か?」
「たぶん、それです。
英傑は敵、っていういきおいが、どんどん激しくなっていってて。
それに、また街がこわれるかも、って考えると……。」
嫌なら離れてもいい、そう言おうとした。
けど、ラディはもう道を選ぶ自主性がある。その上で、ラディに「こうあってほしい」と思う形は……。
「なら、ラディが変えてやればいい。
止めるとまではいかなくても、方針を変えさせるとか、ラディならきっとできる。
「でも、ラディの力だけじゃどうしようもないくらいで……。
セイルさんが力を貸してくれれば……。」
「…僕は部外者側だ。突然知らない奴が来て抗議したとして、それを聞き入れると思うか?」
「それは……。」
「それに…そっちの事情は知らないとこだけど、他にも同じような事を思ってる人もいるかもしれない。
…僕以外にも、頼れる人は居た方がいい。」
何か思い当たるのがある様子のラディに対し、言葉を続ける。
「ラディは自分の意思で鈍色仮面に協力するって決めたんだ。それより前のラディからは考えにくい選択だった。
確かに難しい道だけど、今のラディならできる、と僕は思う。」
戸惑うラディ。
ちょっと話を持った気はしないでもないけど、今のラディならできてもおかしくはない、そう思うのは確か。
何より、今の自分は厄介事の塊。それに、ラディを巻き込みたくはない。




