8話 『天啓』からの接触となり②
それからは何事も起こらず、『路地裏』宿に戻って。
今日はラディより早い帰宅。明かりのついてない部屋を背に、通路の手すりにもたれかかる。
ちょっと思案するのに『路地裏』の薄暗さは丁度いい。
…あの声はなんだったんだ?
前に『天啓』がどうこうって話を聞いた時は、ミツキの妄言だと思ってた。
けど実際に聞いて思った。あんなやり方されたら、誇張された想像をしても仕方ない、と。
自分は最初から疑ってかかったから、あまり思う所は無かった。けど、それを妄信したミツキへの反感が、ちょっとだけ同情に変わるくらいには妙な感覚だった。
もちろん取り入るつもりはない。胡散臭い話ではあったが、嘘を言っているようには感じなかった。
どの道あっちの干渉の手段が分からない以上、いつ、どんな想定外起こされるか分かったもんじゃない。
何らかの対処は考えないといけない。
その為にも、明日か。話に乗る振りをする、という答えは決めた。本当に利害一致なら、素直に利用する。そうじゃなかったら、そのの時に後の事を考え始めよう。
…それにしても、ラディの帰りが遅い。
様子を見に行くべきかどうか。そう考え始め迷ってるところに、やっとラディは帰ってきた。
「おかえり。何かあった?」
「…ちょっと、大変なことになりそうです。」




