3話 別の物語は歩き始め②
「おかえりなさい、セイルさん。」
今も世話になってる宿に着き、迎える声。
青い服の子供の姿、しかしその正体は水に宿る魔力生命体。
旅の連れのラディだ
「ただいま。そっちは相変わらずか?」
相変わらず見た目には感情表現が薄くも、しょんぼりした声でラディが返す。
「そうですね…前と同じでぶりょくこうし、は様子を見ると言ってました。」
ラディは今もまだ、鈍色仮面の協力者として毎日赴いている。役割の都合で、あの服装こそ着てはいないけど。
「セイルさんの方はどうでした?」
「相変わらずというか、変わらず進行してるというか。
確実に話題性上がってるね。『赤霧の鎧』だっけ、そいつの。」
自分がそれだという事は、ラディにも話してはいない。あくまで鈍色仮面とは別途の調査という名目で動いている。
けど民衆を見てれば分かる。『赤霧の鎧』に対して、それに対する英傑に対して、世間の興味が向かっている事が。
そしてその世間の動向が鈍色仮面にとって予想外で、今後の動きで迷い、荒れてるだろうという事。
「これから、どうなるんでしょう…?」
不安そうなラディ。無理もない、自分ですらこんなごたつきに中心近くで巻き込まれるとはおもいもしなかった。
思い返せば、シントに来た理由、その主は別の思惑により今は投獄。当初の目的は消失している。
僕もラディも一言通せば、この街から去って心機一転なんて事もできるだろう。
でもラディの様子を見るにそう割り切れないだろうし、僕もそうするつもりは無い。
この問題の中心にいるのが自分なのが、たまらなく心地いい。




