28話 初志の道を⑥
見えたのは茶色いローブ。爪に裂かれながらも、重力のままに落ち視界を覆う。
取っ払った後の見上げた先に、人影は無かった。
けど現出の輪越しに、爪の先で肉を裂いた感触は確かにあった。
周囲に短剣使いの姿なし。
傷は浅い。向こうがその気なら、まだ戦う余力はあるだろう。
それでも撤退したという事は、方針として無理な戦闘は避けている?
少なくとも、さっきまでのように積極的に攻めて来る事は無いだろう。
だとすれば、次は潜伏してる斧使い…いや、そっちもわざわざ相手取る必要は無いか。目的は殲滅じゃない。
それに次に狙うのに丁度良い標的ならある。あの狙撃地点だ。
そうと決まれば飛翔し一気に加速。再びの狙撃との一騎打ち。
改めてあれを「敵」として見て、思った。射撃から次の射撃までの間隔が、かなり長い。
まばらだった射撃間隔は、近付くにつれて最短に揃い始めていって。お陰でむしろ避けやすくなった。
目の前まで近づいてしまえば、もうここは感知範囲にされてないんだろう、射撃は撃たなくなった。
そこにあったのは円柱型の装置。おそらくここから射撃をしてたであろう光る輪状の部分と、根を張るように床に広がる魔力の線。
構造については全く知らないが、推測から射出口を斜めに切断しておく。
しかし思ったよりあっさり攻め落とせてしまった。消耗も派手さも無いままに。
けど、人を寄せるには十分な目立ちだった。
地上の方、少し距離を置いて、鈍色仮面の集団が見える。
狙撃を避けてる間に魔石を溶かした魔力が、現出の輪のソケットに溜まってる。
そして、この位置取りなら。
広範囲に生成した大量の黒い刃が、予想を超えた密度で壁のように間に立つ。
それを一斉に放っての攻撃は、もはや斬撃というより圧し潰すといった様相だった。




