22話 針は示す②
思考の時間。
咄嗟の思考が、現状の情報を頭の中で一気に巡らせる。
まず赤霧の鎧と鈍色仮面。
鈍色仮面に「敵」認定されるのは想定通りの進行。そこはまだいい。むしろちゃんと敵視されてる確認が取れて、安心したくらい。
自分が汚れ役をやる事自体は一向に構わない。その覚悟は最初につけてきた。
けど、別の所に懸念点。
確かに赤霧の鎧は鈍色仮面の敵となった。けど、まだ浅い。それはまだ目的の為の前提段階。
目的は共通の敵を持つ事で英傑と協力関係にまでする事。そこまで思わせるには、それだけ脅威と思わせるだけの被害を、鈍色仮面にも与えないといけない。
ラディの居場所になりはじめている、鈍色仮面に。
「…ラディはどうするべき、なのでしょうか。」
そのラディの言葉でふと我に返る。
返答を言葉とする直前、一瞬考えて答えを変える。
「どう答えると思う?」
ここで明確な答えを出し続ければ、ラディの縛りとなってしまう。多少の誘導こそすれど、ラディ自身に考え決めさせる。
それが、回答だった。
そして長い思考時間ののち、ラディが答える。
「…ツァイシーさんをてつだう?」
「それもできるだろうな、ラディなら。」
そして再び思考の間を挟んで。
「わかりました。ツァイシーさんにもなにかできないか、明日きいてみます。」
ラディに自分以外の拠り所。
そもそもラディが自発的になった事は、最初の頃を思い返すと、とてもいい傾向。
自身の発祥も知って、ラディ自身の旅路はこれからだ。
そんなラディを、自分の荒事に巻き込むわけにはいかない。




