頑張らないと…!
―その日の夜―
「隼人くん!!」
丸い穴が急に現れそこから岩崎が顔を出した。
「わっ!?!?!?!?」
「夜鳥についての情報が入ったから伝えに来たぞ」
岩崎を押しのけるように冥が顔を出した。
「びっくりした……」
「ごめんねぇー…」
「何でわざわざいつもと違う魔法使うんだ!余計びっくりしただろ!」
「隼人くんのいる部屋にいつものデカい扉だと入り切らないっぽくて失敗しちゃったから…」
「はぁ…とりあえずこっち来いよ…」
穴を通って隼人の部屋に来る。
「で、なんだっけ…?」
「夜鳥について情報が入ったんだ。というのもな色々な世界を廻って聞き込みをしてな。そのうちのとある世界でつい最近被害があったようだ」
「なるほど…」
「そして、ここからはとある情報屋に聞いた夜鳥の情報なのだが、奴ら満月の時にのみ動くようなのだ。」
「補足の説明として、ほとんどの世界に月みたいのあるよ。だけど、たまにないところがあってね」
「その1つが邪神の国だ。だからだろう。お前の父親がそこにいるのは」
「……邪神の国…俺の力じゃまだ足りないんですよね…」
「そうだな。まだ自分を守る技術があまりにも足りていない。例えば…」
冥が刹那というに相応しい程の時間でワープホールを隼人の真後ろに出し首を優しく掴む。
「こうすれば簡単に殺せてしまうな」
隼人の血の気が引いてゆく。
脈が乱れる。
手が、震える。
呼吸が苦しくなる。
そんな隼人の背中を岩崎がさする。
「怖かったね。分かるよ。でもね隼人くん、あそこには冥さんくらい強い妖怪が沢山いる。しかもそいつらは容赦がない。隼人くんみたいに魔力が強く、経験が薄い人間なんて絶好の餌食なんだよ。ある程度は僕たちが守れても限界があるからね。」
少しの静寂が訪れ、隼人は決心がついたように一息吐いて口を開く。
「…俺…頑張らないと…」
そう言う隼人の目には決意が見えた。
―次の日―
「冥さん、俺の練習に付き合ってください。」
「ふふ、お前は真面目だな。勿論良いぞ」
「ありがとうございます…!」
「本格的な練習をするのなら、魔法の練習場がある世界に行くか」
「はい!」
魔法の練習場に来た。冥が機械を操作すると無機質な壁が現れた。
「わ…すご、!これも魔法なんですか?」
「いや、これは科学の力だな」
「そうなんだ…すごい…!」
「では、妾が攻撃魔法を色々な所からお前に打つ。それを隼人は防御、もしくは避けろ。あと、ロフェちゃん、どうしても無理な時に隼人を助けろ。」
「守護役ですね、わかりました!じゃあ隼人くん、頑張って!」
「よし、!」
「では、いくぞ!」
少しゆっくり、頻度も少ない状態から始まり少しずつ速く、多く変化してゆく。
2分ほど経った所で攻撃魔法が当たりそうになり岩崎の制止が入った。
「はぁ…はぁ………っ」
隼人が床にへたり込む
「おう、最初にしてはよく頑張ったじゃないか。」
冥がガハハといった感じに笑う。
「これ…僕も集中しないといけないから疲れる…てか…安全機能付いてるでしょ…」
「そうだが、ロフェちゃんも鍛えなければな。こんなんでヘバるなんてロフェちゃん最近鈍ってるんじゃないか?」
「むっ!そんなことないですよ!!」
「っよし!もう一回お願いします!!」
「隼人はやる気がすごいなぁ。ロフェちゃんも見習え」
「えぇー…」
「では、2回戦いくぞ!」
「はい!」
約2時間の間、適度な休息挟みながら何度も練習をし、隼人も少し慣れてきたようで10分ほど続くようになった。
「やはり隼人は伸びしろがあるなぁ」
「ふぅ……はぁ……ありがとうございますっ!」
「だが、お前の魔力がもうすぐ尽きそうだから1度飯を食って長めの休息をとろう。」
「……おなかすいた…」
「そうだねぇー、なにか食べようか。」
「近くにコンビニがあるぞ」
「そんなんあるんですね笑」
「色々な世界にあるぞ。便利だからな売上がよいのだろう。妾の住んでた世界だと、もみじの店とかコンビニに入るだろう。」
「確かに色々置いてありましたね。」
「面白い…!」
「じゃあ行こっか!!」
岩崎が楽しそうに言う。
なぜ岩崎が楽しそうなのか隼人は分からないようだ。
―コンビニ―
「なんか…自分の世界のコンビニと雰囲気はあまり変わらないのに読めない字だったりなんだかよくわからないものが売ってたり…面白い…!」
「ふふ、だろう。異世界のコンビニを廻るのも楽しいぞ。」
「特にこの世界のコンビニは僕のお気に入りだよ〜!科学が進んでて面白い!楽しい!」
岩崎のテンションが妙に高い。
「語はそのへんにしといて弁当選べ」
「この値札タップするとその人の表示して欲しい言語を読み取って変わるの!すごくない?!」
そう言っている横で冥が値札をタップすると日本仕様に変わった。
「ほんとだ!すごい!」
3人とも好みに合う弁当を選び、レジへ向かう。
「いらっしゃいませっ!3点で合計1380円ですっ!」
機械音声が流れる。
「このレジもさっきと同じで読み取って言葉を変えてくれる!!しかもお金は自分の世界の通貨でもだい!じょう!ぶ!」
「テンション高いな」
そう言いながらレジの操作をさっさと済また。
「あ、お金…俺の弁当はたしか400円だったよな…」
「えっ?あー、大丈夫ー!頑張ってるから奢り☆」
(なんだかんだ優しいんだよな、こいつ…)
当たり前のように奢る岩崎の優しさに隼人の心があたたまる。
「そんな優しいロフェちゃんも偉いから妾が出すぞ。」
そう言って冥がいつの間にか用意していた1500円を岩崎に渡す。
「えー別に大丈夫ですよ〜しかもちょっと増えてるし笑」
「仕舞うのが面倒くさいから受け取れ。」
「ふふっ、ありがとうございます」
岩崎が照れくさそうに笑う。
「ありがとうございます」
勿論隼人も忘れず、お礼を言った。
その瞬間ほんの一瞬だけだったが、冥が驚いたような何か大切なことを思い出したような顔をした。
「お前ら…可愛いな!」
笑いながら二人の頭を撫でる。
「えっ!冥さんから頭撫でられるの久しぶり〜」
岩崎はそんなことを言いながら払いのける。
隼人もほぼ同じタイミングで冥の手を両手で掴み優しく退かす。
「冥さん…手…デカいですね…」
隼人が少し羨ましそうに言う。
「まぁ、鬼の血が入ってるからな」
「だからか…」
「弁当、食わないと冷めてしまうぞ。」
「なんとなく美味しそうだからこれにしたけど…なにこれ?フィラトネスト…?の唐揚げ…なにそれ?」
「魚だ、美味いぞ」
少し警戒しながら一口食べる。
「うまいっ!タラみたいな味!」
「ちなみにめっちゃデッカイよ。人間よりちょっと大きいくらい。」
「こわっ笑」
雑談をしながらご飯を食べ進め10分程で完食した。
「また、異世界の面白いご飯食べたいなぁ。」
「また一緒にたべよーね♡」
「ふふ、面白い飯がある異世界に連れて行ってやろう」
少しの間魔力の回復のための休息を兼ねて雑談をする間あたたかい空気が流れていた。
休息を終えてからすぐ練習を再開した。適度な休息を挟みながら練習をして隼人が1時間弱、冥の魔法を捌けるようになった。
「大分持つようになったな。凄まじい成長だ。」
「ありがとうございますっ!」
「今日はここまでにしよう。この世界は元の世界よりも少し時間の流れが遅いからな、元の世界では七時間程が経っているだろう。」
「またお願いしますっ!」
「勿論だ。だが明日はしっかりと休息をとれ、だから次はまた来週辺りだな。」
そんな話をしてから元の世界、自宅へ帰った。
評価などよろしくお願いしますっ!
プチ報告︰
次の話から投稿時間を22時にする事にしました。




