不思議
「麻呂の初めて会ったロフェくんは荒れていたね…」
「ギャーー!!!!その話やめて!!!!」
「えー、俺はロフェさんの話聞きたいです」
「うっ、隼人くんからロフェって呼ばれた…僕今なら死んでもいい…」
「えぇ〜!ロフェ兄ちゃん死んじゃダメだよ!!!ボクかなしい!」
「そうだよね〜ごめんね…楓くん」
「で、麻呂が初めて会ったときのロフェくんは、誰も信用しない!って感じでねぇ…ほぼ無言で、返事も愛想のなかったのよ!それが今ではこんな…感慨深いわねぇ」
「想像つかないな…誰も信用しない…か…」
「……ねぇ、隼人くん」
岩崎が少し考えながら言った
「なんだ?」
「いや、やっぱ後にしようかな」
「はぁ…?」
「そう言えば冥も最初会ったときから大分変わったわね」
「そうなんですか?冥さん、どんなんだったんですか?」
「性格が穏やかになった気がするね。昔はもっと暴れがちな人だったのだけど。あと、麻呂が少し気になるのは一人称が変わったことかしら…」
「一人称ですか?」
「もともとは俺と言っていたのだけど…」
「そう言えば妾って一人称女性のものですよね」
「そうねぇ…思えばその少し前から性格がマシになったような気がすわね」
岩崎が何か考えているようだ。
「岩崎、何か心当たりがあるのか?」
「いやぁ、特にないんだけど…もしかしたらこうかもなぁ、みたいな?」
「なるほど……?」
「後できいてみるかぁ〜」
「そう言えば、隼人くんは何歳なの?」
「16です」
「若いわねぇ、ロフェくん手出しちゃダメよ?」
「それ冥さんと隼人くんを初めて会わせたとき言われたんですけど…」
「ちっ、彼奴と被るとか最悪だね」
「同類嫌悪…」
「彼奴と同類にするな!!」
他愛のない話をして数時間経ち帰る時間になった。
「冥!今日は久しぶりに会えてよかったよ!また来てよね!」
「あぁ、勿論。お前の嫁が許すならな。」
「ちっ、麻呂は勿論〜?天狐が来て欲しいといっておるなら〜??し・か・た・な・く!許してあげますけど〜???」
「ほぉ〜!随分我慢できるようになったのだなぁ〜??昔は2度と来るな!とでも言いたそうだったのになぁ〜??」
「“お前と違って”大人になったからなぁ〜?」
「は〜い、2人ともやめよ〜ね〜」
「ふんっ。…ロフェくん、また近いうちにね。ぜひ隼人くんもまた来てね。」
「はい!」
ワープゲートで冥の小屋へ帰る。
「二人共いい人ですね」
「天狐はともかく…白狐がいい人と言うのは…認めにくいな」
「冥さんが白狐さんに突っかかるからでしょ」
「アイツが先に突っかかってくるんだ」
「はぁ……。あっ!そう言えば」
「どうした」
「冥さんって何で一人称妾なんですか?女性のものだから気になっちゃってぇ…」
「そう言えば…!忘れてた…白狐さんに昔は俺と言っていたと聞いたんですけど…」
「アイツ…無駄なこと教えて…」
「で、なんでなんですか?」
「理由がないと女性の一人称を使ってはいけないのか?」
「いや、別にそう言う訳じゃないんですけど…」
「まぁ…話してもよいか……。昔、愛する者がいてな、そいつが使っていた一人称が妾だったんだ。」
「やっぱり、そんな感じでした?なんかそんな感じだと思ったんですよー」
「冥さんに愛する人か…想像つかないな…」
「で、冥さん。何でその人の一人称を使うことにしたんですか?」
「あぁ、そいつが死ぬ時に優しい人になってといわれてな。妾が出会った中で、1番優しかったのはそいつで、そいつの真似をしてみたんだ。そうしていたらそいつの事、忘れないだろうしな。」
「もしかして、冥さんが唯一喰った日本人の人ってその人ですか?」
「おおー。流石ロフェちゃん。そうだぞ。見た目、声、性格、あまつさえ内臓まで、全てが美しかったな。」
そこまで聞いて隼人は少し体調が悪くなってしまったようだ。
「わわ…隼人くん大丈夫?想像して気持ち悪くなっちゃったかな?」
「うぁ…大丈夫…」
「ははっ、すまんな。」
「時間もアレだしそろそろ帰ります…」
「そうだね、僕がゲート開いてあげるよ〜」
「ありがとう」
そうして隼人は家に帰り、一通りの事を済ませ直ぐに寝てしまった。
―隼人の夢―
「今日ね!鉄棒で逆上がりできたの!!」
「はは!隼人はすごいなぁ!!」
「ふふ、あなたに似たのね」
「えへへ〜そうかぁ?お前に似たんじゃないのかぁ?」
幸せだった。
平和だった。
でも…
ある日の夜…
「おい、この家から凄い魔力を感じるぞ」
「あぁ、こいつにしよう」
知らない2人組の声だった。昔は何故外の声が聞こえたのか分からなかったし言っている意味もわからなかった。だけど今思えば2人はテレパシー?のような魔法を使っていたのだと思う。そしてそのテレパシーを僕は感じとってしまったのだろう。多分父さんも。直ぐにお父さんが来た。
「はやとぉごめんな?ちょーっとお父さんこれから長いお仕事に行かないといけないんだ。隼人とお父さんが寂しくならないように『おまじない』をかけるから目瞑ってくれないか?」
このとき父さんに僕の魔力の抑えるような魔法をかけられたのだろう。
「じゃ、父さん行ってくるな!元気にしてろよ!」
今ならあの2人が魔力の強い人をさらおうとしていたことだけは分かるけど、それで何をしようとしていたのかは分からない。ただ…父さんは僕を守るために自分が身代わりになったんだと思う。絶対に人間じゃない。分からないけど…何となく…父さんよりも、もしかしたら、冥さんよりも……強いかもしれない。あいつらに捕まってはないと思いたい。それは単なる希望に過ぎない、実際は分からない。
それから数日が経って母さんの様子がおかしくなってきた。分かりやすく言うと荒れはじめた。最初はイライラしやすくなって物に少し当たるくらいだった。だけど次第にその矛先が僕に向いてきた。
「あぁ!!あんたが!あんたのせいであの人は出て行ったのよ!!あんたがそんな風に生まれて来なければ……」
良くそんな事を言っていた。多分母さんは魔法の事を知っていて、僕の魔力の事もしっていたのだろう。
そんな生活がずっと続いた。ある日、母さんも死んだ。
外傷がなく、内臓だけが損傷…そんなような感じだったと思う。原因は不明と聞いた覚えがある。
母さんは多分、魔法で殺された。
もし、そうだとしたら、僕は魔法が大嫌いだ。
でも、母さんのことも大嫌いだった。
母さんのせいで心も体も痛かった。
だけど大好きだった。
それに魔法もやっぱり大好きだ。
父さんの持っていた不思議な力の思い出は僕にとっての宝物だ。
それに魔法のおかげで岩崎と、冥さんに出会えた。
好きと嫌いは紙一重と聞いたことがある。今ならその言葉が凄く腑に落ちる。
だけど、それならば愛とはなんだろう?
「好き」が愛だと僕は思っていた。
じゃあこの好きに紛れる「嫌い」とはなんだろう?
きっと今の僕には答えが出ない。
いつになったら答えが出るのか未来の僕に問いかけたい。
また凄く間が空いてしまった…見てくれる方はいるのでしょうか……不安になってきました…




