愛の花番外編
今から約300年前
ロフェ・ゼフィンは家の書斎に来ていた。そしてとある本が目にとまった。
「これ…なんだろ?」
ロフェは直ぐに母に聞きに行った。
「お母さん、これなぁに?」
ロフェが持っていた本は魔導書だった。
「あら…書斎から見つけちゃったのね…」
「うん、なんか気になっちゃって」
「そうねぇ…まぁ…言ってもいいかしら…」
「…??」
「これは魔導書と言って魔法を使うのに使う本なの」
「魔法…?」
「色んなことが出来るとってもすごい力なの。でも、かわりにすごく危なくもある力なのよ」
「ふーん…僕…これ気になる…」
「どうして?」
「なんか…惹かれる…みたいな…」
ロフェの母は気付いていた。ロフェには魔法の才能があると。だが、危ないことをさせたくない。
「………」
「魔法…僕、やってみたい」
「とっても危険なの…でも…どうしてもと言うのなら、自分で調べてやりなさい」
この言葉には愛する息子を危険な目に合わせたくない、だがやりたい事を制限したくはないという2つの愛情が混ざり合っていた。
「うん!わかった!」
母は直ぐに諦めると思っていたが、予想とは裏腹にロフェは毎日書斎に行っては調べていた。そんなとき
「ねぇ…ロフェ…」
少し重い口調で母に話しかけられた。
「どうしたの?」
「こんな事を言うのは…なんだけど…魔法をあまり使わないで欲しいの」
「…危ないから?」
「そうよ」
「でも、僕、魔法が好きなんだ…続けさせてほしい…」
「そうねぇ…」
「じゃあ本気度を示してみなさい」
横から急に父親が出てきて言った。
「どうやって?」
「それも自分で探してみなさい。俺達に一瞬で本気だと思わせるような事を」
「期限は…3日後だ」
「うん…わかった」
少し不安そうな表情を浮かべながらもロフェはすぐに返事をする。
ーその夜ー
「大丈夫かしら…あの子」
「…もし、あの難しい条件を本当に達成できたらそれは、きっとロフェの運命なんだよ」
「そうね…」
その会話をロフェは魔法を使い少し聞いていた。
(本気度を示す…か…どうすればいいんだろ…強い魔法…?でも強い魔法を使うには教えて貰う人がいないと…そうか…!教えて貰う人を見つけたら…きっと!)
ロフェは魔導書でこの世界には魔法使いがほとんどいないことを知っていた。だが居ないことも無いというのも分かっていた。なので少しの可能性に賭けた。
(そうとなったらすぐ行動!)
そう思ったロフェは両親の目を盗み夜だということも関係なしに人気のない場所を探した。
(魔法は元々妖怪が使うもの…妖怪は夜が好き…魔法使いはきっと、この世界の人に見られたくないから人気のない場所…)
そのような考えから出てきた行動だった。
その行動が吉を示したのか、家から出て1時間ほどたった時…
ガブガブ…ズルズル…
何かを食べている音が聞こえその方向へ向かっていく。
(何か食べてる音がするな…)
そして人の居ない裏路地に入ったとき動物の死体を貪り喰っている者が居た
「ひっっ…」
「あぁ?何だ?子供?」
「えっと…何をしてるんですか?」
「動物の内臓を喰っているんだ。お前も喰うか?美味いぞ」
「い、いえ…遠慮します…」
「そうか。でも…こんなところを見られてしまったからには…喰うしかないな…こんな魔力の子供…勿体ないが…」
「そんな魔力あるんですか?…僕、魔法使いになりたいんです…!貴方…魔法使いですよね?教えていただけませんか…?」
「ほぉ…妾のような奴にそんな事を言うとは…中々肝の座っている子供だな…そうだな。いいぞ。お前、名前は?」
「ロフェ・ゼフィンです、、」
「妾は冥だ。よろしくな」
「よ、よろしくお願いします…」
「よろしく。…子供はもう帰れ。危ないぞ。明日の昼もここへ来い。魔法を教えてやろう。」
「はい…!」
―次の日―
「…こんにちは」
「おぉ来たか」
「よろしくお願いします」
「そう言えばお前…何故魔法を知った?この世界で魔法なんて…」
「家の書斎に魔導書があって…何か惹かれて。それを母に聞いて知ったんです」
「ふふ。お前完全に魔法使いの才能があるようだな。」
「ついでに話しちゃうんですけど実は…」
そこからロフェは魔法を続けるために師匠を探していたことを話した。
「はっはっは!お前、中々危うい手段を選んだな!この世界で魔法使いを探すとか!」
「そうですね…」
「これはお前の運命なのかもな!そうだ、お前、妾に魔法を教えて貰いたいのなら日本語を覚えろ!それも教えてやるから!」
「え、?日本語?何でですか?」
「妾が日本を愛してるからだ!お前も覚えろ!」
「え、えぇ…」
―数時間後―
「お前中々覚え早くていいじゃないか!」
「ありがとうございます」
「それで明日、お前の両親の元へ行こう」
「なんで今日じゃないんですか?」
「そりゃあーもう少し魔法覚えてったほうが良いだろう」
「なるほど…」
―次の日ロフェの家の前―
「ふぅ……緊張するぅ…」
「程々の魔法も覚えたことだし大丈夫だろ」
「そうですかね…」
「あぁ、お前なら大丈夫だよ」
「はい!…よし…!」
そう言い家に入り冥を母の元へ連れて行く。
「お母さん!魔法、本気だって証明するよ!」
「わかったわ。何するの?」
「とりあえず…何するってわけではないんだけど…僕、師匠見つけたんだ!この世界で!」
「…?!あはは…中々予想外のことしてくるわね貴方…それでそのお師匠さんは?」
そう母が言ったときに横から冥がでてきた。
「貴方が……って、あれ?冥さんじゃないの!お久しぶりねぇ」
「おぉ、ティファじゃないか」
「え?!知り合い?!」
「旧友でねぇー同じ世界出身なのよぉー」
「ほぉ…ティファの子供と言われたら確かに似ているなぁ…」
「あらぁ気付かなかったの?こんなそっくりなのにぃ」
それから1、2時間ほど冥と母は話し込んでいた。
「あら、放置してごめんね。ロフェ。それで…魔法の本気度かぁ…」
「はは、この世界で妾とは言え偶然会ったのはすごいことだ、これもこいつの運命なんじゃないか?」
「そうねぇ…まぁ…良いわよ…」
「……!やったぁ、!!」
「ふふ…よかったな」
―それから時は経ち現代―
ロフェは冥の影響ですっかり日本にハマり日本の高校教師になっていた。そして、とある年の入学式。
(ひまだなぁ…っ………?!なんかものすごい魔力の子いるんだけど?!しかも担当生徒……名前は…瀬戸隼人…気になっちゃうなぁ…)
一応先日の14話が物語の区切れ目みたいなイメージなので番外編失礼します〜!面白かったですか?また区切れ目で番外編やるかも…?




