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⑥躁状態の顛末

マヤリィの言葉で自らの本性を思い出すルーリ。

うっかり『流転の閃光』を発動させちゃうルーリ。


「マヤリィ様、私の愛を受け取って下さいませ…」

「…ねぇ、ルーリ?」

「はっ。何でございましょうか?マヤリィ様」

「…貴女、先ほどからずっと緊張しているでしょう?何か言いたいことがあるのではないかしら」

マヤリィの声はいつもと変わらず甘く優しいのに、今はなぜか恐ろしく感じる。

「ふふ、分かっているわよ?私がなぜ天界を滅ぼしたのか、気になっているのでしょう?」

「っ…!」

「そんな顔しないで頂戴、ルーリ。私、これでも後悔しているのよ。あの時、バイオの『天界滅亡計画』に協力するべきだったわ…」

「マヤリィ様…。まさか、貴女様が……」

「流転の國の最高権力者は甘すぎて支配者に向いていない。それが定説だったわね」

「いえ、貴女様は最高権力者に相応しい御方でございます!その優しさに誰もが救われて参りました…」

ルーリはそう言いながら悲しそうな目をする。

「何が…あったのでございますか?」

「何って?」

「何かが貴女様を変えてしまったのでは?」

「いいえ、何もないわよ?」

マヤリィはそう言って微笑む。

「ただ、あいつらを殺したいと思っただけ。宙色の魔力を使えば、私の國を脅かす天使共を根絶やしに出来る。だから、滅ぼしたのよ」

「マヤリィ様…」

「貴女こそ、変わってしまったみたいね。天性の殺戮者はどこへ行ったの?誰もが恐れる死神は天界が滅びた程度でそんな悲しそうな顔をするかしら?」

そう言うと、マヤリィはルーリを抱き寄せる。

「優しいのは貴女の方よ、ルーリ」

「マヤリィ様…」

今までで一番恐ろしいマヤリィ。彼女はこんな話をしているというのに微笑みを絶やさない。

「…ねぇ、ルーリ?」

「はっ!」

「私のこと、嫌いになった?」

「とんでもございません!私がマヤリィ様を嫌いになることなど有り得ません!此度の一件も、流転の國を守る為になさったことだと理解しております。私は…貴女様を信じています。どこまでもついて参ります。宇宙の誰よりもマヤリィ様を愛しております…!」

そう言ってマヤリィを抱きしめるルーリ。

「…畏れながら、マヤリィ様。今度、どこかの国を滅ぼす際には私も連れて行って下さい。最高権力者の側近として、雷を司る殺戮者として、貴女様のお役に立たせて下さいませ」

気付けば『流転の閃光』が発動している。ルーリの腕に雷が巻き付いていく。

「大好きです、マヤリィ様」

その瞬間、マヤリィは感電したようなショックで気を失った。

「どんな貴女様でも、私は愛しています。ルーリの(あい)はいかがだったでしょうか…?」

身体が密着した状態で発動した『閃光』によってマヤリィを痺れさせ気絶させたルーリ。

「今夜は私の部屋でお休み下さいませ、マヤリィ様…」

ルーリさんもかなり精神的に参ってる。


次の日、マヤリィはルーリの部屋で目を覚ました。

「おはようございます、マヤリィ様。お身体のお具合はいかがでしょうか?」

「…大丈夫よ。ここは…貴女の部屋?」

「はっ」

「昨日の夜の記憶が全くないわ。薬の副作用かしら…。どうやら、また貴女に助けてもらったみたいね」

記憶が曖昧な理由を都合よく解釈してくれるマヤリィ様。

「ありがとう、ルーリ。貴女がいてくれて助かったわ」

「とんでもございません、マヤリィ様」

ルーリはその場に跪き頭を下げる。

「…そう。確かに、私は薬を多く飲んだのよ」

マヤリィは流転の國に帰還する前日の夜を思い出す。

「眠れなくてジェイを困らせて、鬱に効きそうな薬を医学書から顕現させて…それからジェイを私にして私はルーリになって打ち合わせをしたのよ。それで結局そのまま二人で徹夜して……」

(マヤリィ様の躁状態の原因はこれか…)

話を聞きながら頭を抱えたくなるルーリ。

流転の國で起きた出来事を聞いてストレスのあまり眠れなくなったマヤリィは抗精神病薬を軽くODしてナチュラルハイを経て躁状態に移行したらしい。元凶はユキとバイオを殺したアルトだが、その後の顛末がひどすぎる。

宙色の大魔術師が躁状態になって本気で怒るとこういうことになるのか…。

言わば『宙色の魔力爆発』である。ミノリの魔力爆発が可愛く思えてきた。

「…もう少し寝かせて頂戴。頭が痛いわ。…あ、後で私の部屋に来るようジェイに伝えておいてくれるかしら」

「畏まりました、マヤリィ様」

ルーリは今回マヤリィがやらかした一件についてジェイに報告しないわけにもいかず、悩みながら彼に『念話』を送るのだった。

ジェイは昨日の夜、流転の國に帰還しました。

彼も疲れていたので、マヤリィに『念話』で報告した後すぐに自分の部屋に戻ったのでした。

…その時マヤリィは気を失ってルーリの部屋にいたのでジェイの『念話』は一方通行だったのですが。


マヤリィ→躁状態になってティーメを配下にして天界を滅ぼす。

ルーリ→最高権力者代理の役目に疲れきってマヤリィを自室に拉致する。

ジェイ→桜色の都での任務を終えて帰還して『念話』の返事も確かめずに寝る。


皆、お疲れ様です…。

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