悪役って・・・いやこの世界怖すぎるんですけど・・・
「アリシア・ベルフォード、貴様の数々の蛮行、もはや看過することはできぬ!婚約破棄だ!!」
騎士たちが会議室の円卓を囲む中、王太子レオンハルト殿下の冷たい声が響いた。
居並ぶ騎士たちも一斉に私を見る。
「弁明があるなら申してみよ、アリシア」
「私が何をやったというのですか?」
王子は言った
「ここにいるハラ男爵家令嬢グローンから聞いたぞ!!、本、池、階段、暗殺とな!!」
不思議そうにアリシアは聞く
「それがいったい何でしょうか?」
「男爵家でありながら、この情報を集める能力、そしてお前の浅はかさ、それがわからんのか?これぞ王配に必要な資質だ!!」
アリシアは驚いた。
「まさか?公爵家の暗部を!!」
「そうだ、比喩をもちいたが俺に伝えてきたぞ!!」
殿下のよこに座っていたグローン令嬢が言った。
「え?」
「さぁ、グローン令嬢、まず本の話からするのだ!!」
「え・・・えっと、ちょうど二か月前の日、私の本が引き裂かれ捨てられていたんです。
アリシア様がやったのを見たんです。本当です。」
「聞いたか?アリシア?これは、二か月前の禁書事件の犯人がアリシアだという話だな、
男爵家は国立図書館の禁書庫の管理を行っている。つまり、禁書庫から盗んだ犯人はお前で、
簡単に破れるように仕掛けをして、隣国からの留学生を暗殺したのもお前だという証言だ・・・!!
公爵家に隣接している辺境伯家のそいつが死ねば、次男は屑でどうしようもないので
やりやすいと考えたのであろう、破ることで呪いがかかる本での暗殺もはや言い逃れはできんぞ!!」
「はい、殿下それは違いますよ、それは、ホー伯爵家とその令嬢の件ですわ、令嬢がその留学生に
薬を使って花を散らされその恨みで、国に迷惑をかけないため不慮の事故に見せかけ暗殺した
というのが真相です。」
「まて、ホー伯爵家の城が、一族郎党が集まっていたタイミングに燃え一族全員焼死した件は・・・・」
「はい国に迷惑をかけないための殉死ですが?ご存知でなかったのですか?」
「では次だ!!池の話をしろ!!」
困惑した状況でグローン令嬢は言った
「えっと・・・一か月半前に、私が池に落ちたのは、アリシア様が突き落としたんです。」
「聞いたか?アリシア?これは、一か月半前の侯爵家次男の硫酸池落下事件の犯人がアリシア
だという話だな、いくら言い寄られていたとはいえ、もはや言い逃れはできんぞ!!」
「はい、殿下それも違いますよ、それは、侯爵家長男の仕業ですよ、優秀な次男が目障りで、
突き落とそうとしたというのが表向きの理由の事件です。まあ次男もそれを知っていて
わざと落とされ、それを理由に長男を蹴落としたんですが・・・・」
「まさか落ちた次男がかわいそうで継承順を変えたのではなかったのか?」
「ええ、そうですわ、ただ裏の理由は、あまりにもナルシストでやばい人格なので、
外にも出せないし顔を酸で焼いたら治るかと思った家族の蛮行ですわ、ただ顔を焼いても、
『私の顔はどんなになっても美しい』とかいいだして、怖くなった次男を除く家族が
みんな逃亡したというのが真相です。」
「え?ちょっとまって、そんなのに侯爵家任せて国は大丈夫なの?」
「殿下その辺はご安心を、本物のナルシストの次男は当家で断種したうえで幽閉済みで、
王と相談の上、顔が似た侯爵家の分家のものに入れ替えております。」
「・・・情報量が多すぎる・・・まあ父が承認していることならいい、次だ、階段の話を」
混乱した状況でグローン令嬢は言った
「えっと・・・一か月前に、私がアリシアに階段から突き飛ばされたのかな・・・って」
「以前は、はっきりアリシアが犯人だといってたではないか!!まあいい、これは、
王の側室レール妃の階段転落・流産事件の犯人はお前だということだ!!」
「はい、殿下それも違いますよ、それは、近衛騎士団副団長の仕業ですよ、自分の髪の色と
王の髪の色は違うためバレルと思ったので流産させようと突き落とそうとしたというのが
表向きの理由の事件です。まあレール妃も知ってて落とされたんですが・・・
まあここまでが裏の話です」
「え?レール妃浮気していたの?身ごもっていたのは王の子供ではない?あとちょっと待って
ここまでが裏の話ってまさか」
「実際のところは、レール妃は隣国からのハニートラップ要員で、浮気も含め、早めに
追い出したかった王の策略です。
王からの依頼で、浮気をしてたふりをした、そうですよね副団長?あなたの好みは、
10代前半の・・・っと口が滑りましたわ
そして、妊娠したと偽りの情報を伝えた宮廷薬師、そして落下後に気絶させた時に
堕胎処理に見せかけて断種したんですわよね?
堕胎した証拠用には、副団長が手を付けてしまった本来この国では禁止されている
10代の子からの堕胎したものをつかったのですわよね?」
「ちょっとまって、これも情報が多すぎる。」
「整理しますわ、レール妃は浮気がばれたくなくてわざと突き落とされた。ただその浮気も
妊娠も嘘、本当の目的はレーン妃を断種して石の女として送り返すことですわ。
副団長は、11歳の女の子に手を付けて妊娠させたのを隠すためにこの計画に乗って、
宮廷薬師は、超法規的な方法で孫を堕胎させ副団長に薬を飲ましてEDにさせることですね。」
副団長
「ちょっとまて、俺が最近・・・」
「それも含め王は裁可を出しておりますわ、さすがに性犯罪者をそのままには・・・」
「すまん、頭が痛い・・・俺が悪かった・・・もうお前が悪くないのはわかった」
グローン令嬢は言った
「殿下!!暗殺の話が!!」
「グローン令嬢、暗殺はどうでもいいのだよ」
「え?」
「公爵家の別名を知らんのか?暗殺公爵家だぞ、暗殺なんて日常茶飯事だ、
そうだなアリシア、いま何件くらい進行しているのだ?」
「殿下、私の知る限りでは、国内で3件、国外で35件ほどが同時進行中ですわ」
「な、暗殺公爵家なんだ、暗殺なんて呼吸みたいなものだ」
「そうですわ、グローン令嬢、あなたは関与していないバカなのはわかりしたので、
今晩は城の客間に泊まることをお勧めしますわ」
「え?・・・まさか」
その夜なぜか王都のハラ男爵家家屋敷が、火事で焼け、グローン令嬢以外が焼死した。
その後グローン令嬢は「貴族恐い」といって、相続を放棄し、貴族席を捨てて商家のものと結婚し
アリシア令嬢も、王子と結婚し、アリシア令嬢は幸せに暮らしましたとさめでたしめでたし。
「え?商売の世界も怖いんだけど!!なんで神様こんな怖い世界に転生させたの!!」
まあ、どんな世界も利害関係考えると怖いよね・・
あと地味に転生者・・・