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かいだん

作者: イソガイ

前へ進み続ける皆様へ

今、階段をくだっている。

これまで一歩一歩、踏み外れることのないよう、一歩一歩、なるだけ丁寧に登ってきた階段。

思えば随分高くまで登ったようだ。

登った先に何があるのか、今はもう思い出せない。

途中からもういいかなと思っていたけど途中から登るのも、くだるのも同じように面倒になり、惰性で登り続けた。


誰かが言った、「登り続けることに意味がある」と。

その言葉に感銘を受け信じ縋ったわけではない。

考えることが面倒だったから都合よく従っていた。


ある日夢を見た。

階段を登りはじめる前の夢。

目的地の書かれた看板に目を輝かせている自分を上の方から眺めている夢。

看板はなんて書いてあるか見えなかった。

でも希望に満ち溢れた表情で、登った後の姿を語る自分がいた。

気がつくと涙が流れていた。

悲しいわけではないし理由はわからなかった。

涙を拭き取り少し考えてから今日は登らないことにした。

どれくらい登り続けていたか覚えていないけれど、その日、初めて立ち止まった。


後ろを振り返ってみると、今まで知らない景色があった。

青い空の中に白い雲は上にも下にもあって…綺麗だった。

太陽も今までは感じられなかったけど、眩しい。

でも嫌な感じではない。

太陽を見つめると目がジリジリ痛くて、また、涙が流れた。目を瞑っても、擦っても、拭いても、止まらなかった。

気がつくと大声をあげて泣いていた。




次の日、私はこの階段を下ることを決めた。

時々、自分が登ってきた景色を目に焼き付けながら下っていった。

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