やって来た聖女様
とうとう恐れていた事態になってしまった。王の命を受け聖女ルナ様が、この魔王城支部化していた勇者の間に降臨してしまった。
ルイスはとっておきの紅茶を出して、彼女カップにお花がふんわりと咲かせて、ルナ様をもてなすが……。
この勇者の間で魔王属性一番高いのは、ルイス、君だからな。ってそんな現実逃避をしている暇はなかった。
「ようこそいらっしゃいました。ルナ様 歓迎いたします」
「ハヤト、わたくしの事はルナと呼んでください。そして敬語もでなくても構いませんわ」
「わかりました。ルナ、僕から改めて紹介させてください、僕の執事のルイスとミッシェル、そして僕と契約してくれたウンデーネです。そして魔界から来た。僕の恋人のフィーナとシルエット」
「お久しぶりですルナ様」
「お元気でしたかルイス、本当にひさしぶりですね」
「ルナ様、お久しぶりです」
「ウンデーネです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。フィーナです」
「シルエットよ、よろしくね」
そんな緊張しつつも和やかなムードの中で、僕らは自己紹介をした。魔界から来た事について、ルナも知っていただろうが彼女はそれについて特にリアクションは起こさない。
今日のウンデーネは、少しおすましウンデーネだ、しかし座って居るソファーは一人用だけど、聖女ルナ様側にピッタリとくっついている。
「ウンデーネ、もちょっと反対側に寄ると楽に座れるよ」
「そんな事ないです」
そう言って、メイド姿でにこにこ笑っている。どうもウンデーネは、好みの魔力の強い若い女の子には、必要以上にベタベタしてしまう様で、見ていてこちらがヒヤヒヤする。
「今日のここへ来たのは他でもありません。勇者のパーティーに同行するヒーラーとしてわたくし、ルナが同行する事に決定しました」
「「おおぉ……」」
初の常識的な人間枠が……。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
僕はそう言うとルナを見る。
「ですが、ルナ。僕は魔界に行きますが、それは私利私欲の為であって世界は救う事はないでしょう。それでもなお貴方は僕とともに行ってくれるでしょうか? 冒険へと」
僕がそう言うと、彼女はにっこりと笑った。彼女の周りに花が舞うように見える。
「ハヤト、貴方の事は勇者と皆が言っていますが、正確には違います。貴方は神によって『選ばれた者』と言う名称が貴方には正しいでしょう。それをこの世界の人間が見分ける方法は『異世界から来た人物』、『この城の召喚の間に現れた人物』である事が重要なのです。今、成さない、善をなす意思が無くとも『生涯の内にいつかは世界対して善行成す者』を『成さない者』の区別はとても時間がかかり、困難を極めます。その困難の内の死から貴方を遠ざけるのが聖女なのです。私達、聖女達は可能性を育む者です。わかっていただけますか?」
「なんとなくですが、わかります」
「では、私も今日からここでお世話になります」
そして彼女は僕の目の前に1つの鞄を置いた。その鞄は僕が向こうの世界からに荷物を入れた鞄より小さく古めかしい物だった。
「失礼ですが!」
僕は、思わず自分が大きい声を出していた、自分自身が驚いた。
「あ……すみません、もし帰れる事があれば、旅の終わりが来たら、貴方はどうするおつもりですか?」
彼女が旅の終わりに、教会でへ帰るのであれば僕は何も言う事出来なかった。旅先で必要最低限の物だけ買うのをただ見守って旅をしよう。彼女は教会に帰り、死ぬまで慎ましく生きるのだから……。
でも、彼女が旅が終わって、それでも外の世界で生きるなら、僕は彼女の良い友人として、彼女の好きな物を知ってもいいかもしれない。だから一緒にこれから必要なものを楽しく買い物に行くのもいいのではと思った。
「私は……」
彼女は言いよどみ、そんな彼女の代わりにルイスが――。
「聖女様の多くが旅立ちとともに、教会の名簿から外れます。その理由は我が一族や他の貴族とも被りますが、我々は次の代に子孫を残す事、稀なる血を運ぶ為の箱舟となる事を義務とされています。老後の我々が、そしてその地に住まう領民の安全を守るためにそれは必要な事です。だから進んでそれを享受せねばなりません。なので彼女は勇者一行の誰かか、この国の王子と結婚する事になるでしょう」
「そのようです」
彼女は少し困った顔をして笑った。その隣でウンデーネは、複雑な表情で僕らを見ている。
彼女にとって恋や愛があるから生命に意味があり、その悲願達成するため恋にやぶれても全て受け入れても生きていつかその愛を掴み取ろうとしている。
他のウンデーネとは違う価値観を取り入れてきたのに、自由であると思って疑わなかった人間の真の姿に少なからずショックを受けている様だ。
「あの……僕達と一緒に買い物に行きませんか? 明日」
「そして貴方の冒険の為に、必要な物を買いましょう」
そう言うと、彼女は自分の鞄を見てほんの少しだけ眉間に微かなしわを作ったが。
「心遣い感謝しますわ、ハヤト」とそう言って微笑む。
僕は僕らとの旅を終えた、彼女の今後の運命には僕は立ち入れない。でも、友人としてなら何かできるかもしれないと、僕は少し傲慢にそう思っている。
そして女性陣はすぐに打ち解けて、どこへショッピングへ行くのか楽しそうに話している。
ルイスとは違い、僕とミッシェルはそのショッピングにへ行く人数に入るかどうか気にしながらその様子を見ていた。
続く
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また、どこかで!




