勝利を掴みつつある人物
雨の日の朝、しとしとと雨がふっている中に、ホーエンツォレルン城の石畳の道を通り行く。
この世界にも傘はあり、それは柔軟性のある竹のような木で骨ぐみが作られているようだった。
しかしみんな傘を使わず歩いている。兵士だからなのだろうか? と、ちょっと理不尽な決めつけをする。
そして僕もそれにならいならがらレインコートで兵士の練習場へと走り着いた。
しかしミッシェルは普通に傘をさしてやって来た。
「すみません遅れちゃって、今日みたいな日は髪の毛がふわふわしちゃうんですよね」
「うん、僕はそんな感じだからわかるよ」
僕はランニングを終えて、忘れてたタオルを控え室に取りに来たところだった。
彼は傘の雨水を使い古しのタオルで拭き取り、それを一緒にロッカーへとしまった。それを見ていた僕は、まわり流されないミッシェルはやはり強いなぁ。
そう改めて彼の強さに感心した。
僕らだけのロッカーは、そんな気持ちも飲み込んで、静けさの中にあった。
城の練習場を使う者は皆、城の兵士であり、城の魔法いである。清掃が入った時以外は夜勤の警備組のためにも24時間使用出来るのだが、夜勤の帰宅時間と、日勤の通勤時間の関係か、今は僕たちだけで誰も居ない。
冒険者で勤務時間がわりと自由と言うか、相手の都合に振り回されているかしているので、僕らはこんな風にだれも居ない練習場で練習する事も多い。
そんな時には一人で練習するか、ミッシェルと練習する。柔軟体操の為に朝から奇声あげてたり、バランスをとって立ってたりしても大丈夫だ。
通路で引いている同じ、バジリオの門下生にももうなれた。
それでも槍の師匠バジリオの稽古時間に合わせては参加する様にしている。
時間が来れば一同集まっての稽古が行われる。そして最後に師匠のバジリオと戦うチャンスがある。
「ハヤト準備をしろ」
その一言で、多くの弟子が僕の準備を手伝う事になる。何故なら早く準備をさせる事によって、自分が闘うチャンスが得られるからだ。
腰につける。鞘を次々投げられ、手伝われながら腰に巻いていく。鞘を両側に付けると先に進み、短剣2本と、木の柄で刃先が十字になっている槍を選ぶ事になる。
槍の十字は、相手の剣を抑え込むのにも使えるし、相手を切り裂く燿に本物は刃が付いている。短剣は、槍を時には投げるので予備と護身用だ。
練習用の槍と短剣をそれぞれの置き場から引き抜き鞘に納め、最後に槍を手に持つ。そのまま僕と師匠は、円の中をまわり相手をけん制し分析する。
以前からわかっている事だが、改めて言うと普通長さの剣を携えた師匠は、それだけ力があるしその剣を使う事で僕より殺傷能力高い。
剣に、短剣の僕は、真っ向から挑んでも無駄だ。その上、師匠は僕と同じタイプの魔法を込められれる木の柄の槍を選んだと言う事は、鉄の柄の時の様に槍の能力のみで戦う事は無い。
それが普通だが、普通ではないのがこの世界の師匠たちなんだよなあ……。
でも、選んだ木の柄の特有の魔法なりのトリッキーな技を、使われる事も気をつけねばならないし、技の引き出しの少ない僕には、師匠がいつもと違う行動をしている事自体悩ましい。
ちなみに余談だが、国の槍の兵士が、どんな戦い方をするかまとめられた本が最近、兵士練習場の売店に置かれる事となった。
その本は槍の兵士たちのファンブックの役目を果たしている。
彼らのニックネームと、似顔絵が動物にデフォルメされた各兵士の挿絵もつけられているが、それに加えご丁寧にそれぞれの戦い方や弱点が書かれている。
その本の発行を知らされた時、発行される事態に、憤慨していた兵士達も――。
「それはお前達の弱点を示唆する、大切な評価で、乗り越えねばならない課題だ。それを乗り越えるチャンスを掴めなくてどうする? もし他国にそれが渡った場合もそれを乗り越えるだけの技量をお前達が、身につければ問題はない」
そう師匠のバジリオが言い切るので、その作者が次のシーズンのため、同門の先輩、後輩を取材している時に取材対象が最新の注意箇所をその場でねだる様になったので…………。
「取材になりません!?」と最近愚痴るである。
う……ん、ミッシェルぅ〜。
――ミッシェルさん、訓練する気ある? そして僕はどう練習すべきか教えて欲しい。
そしてミッシェルの本は、この城で波乱を生む。
他の戦闘職まで、ミッシェルの本のあり方について、話題にするようになったらしいのだ。だから本人も危機感をやっと持ったようでる。
そして他のジョブのパーティーメンバーに聞いて回ってたが、魔法剣士のオリエラには結構好評だったのだが、ぬいぬいは呆れた顔で――。
「魔法使いの連中にそんな事してみろ、明日には毒殺されるぞ」と言われ、ルイスにはあえて聞かないと言う賢明な判断をしたようだった。
そんなミッシェルの騒動みたいな事を思い出して、現実逃避している時ではなかった。
僕と、師匠バジリオの戦いが始まろうとしている。
「「お願いします」」
ミッシェルの熱い視線を受け、僕と師匠は戦う事になった。やけっぱちだったミッシェルが、商魂たくましくなりうれしいよと呆れつつ。
「始め!」と、戦いの火蓋は切られた。
やはり僕達は、半円にまわりながら相手を見据える。ここで、師匠に攻撃を先にされてしまうともう、僕のペースに戻れない可能性まであるので、少し無鉄砲だが飛び込む。
そのまま師匠の足先を槍の柄の部分で払い、師匠のすきをつこうとするが、僕が払う前にもう師匠の足先はない。
その途端に、槍に大きな衝撃と重みがかる。師匠が僕の払った先、僕の手の可動範囲を見極めて槍の柄が止まった先で彼は着地していたのだ。
そして僕はいきなりガクーンと、腰を落とすことになった。
――本当、どんな小鳥ちゃんだよ!? 動いっていた柄に普通乗る?
そして柄から降りるか、そのまま柄の上を走って来るかわからないが、師匠行動よりも早く、僕の槍に行き渡された木の魔法の因子を実態化させ、師匠をその魔法のツタでグルグル巻きにしなけ――。
!!
後半で、行き渡らせてある僕のツタ! そのツタの動きのあいだを抜け槍の剣先が見えた! と、思う間のなく、ツタは師匠の槍によってバラバラに切り刻まれるながら師匠がやって来るのがコマ送りで見える。
――もう! なんだよ早すぎるよ!
そしてもう目の前に来ていた槍先を、何とか短剣を引き抜き師匠の槍先を弾き飛ばす!
そして僕は槍を捨て、一旦後ろへさがり、念のためも一度フェイントで飛ぶ。
その時、オォ と、声がした。
残った蔦で動かしていた槍は、群衆の声によって気づかれ、師匠の背中に当たる一歩手前で、師匠の手によって受け止められてしまった。
――しまった!!
俺がそう思った時、師匠が槍を振り抜き、その際、彼は魔法を使っていたのだろう。
よくわからない衝撃に当たり僕は、そのまま後ろに吹っ飛ばされ後ろの壁にぶつかり、その先は覚えていない。
そして僕は医務室で、目を覚ます。
ミッシェルが、隣で書き物をしている。彼は目覚めた僕を見るなり言った。
「ハヤトさん、魔法に頼り過ぎです。フィジカルをもっと鍛えていきましょう」
「ミッシェル……。ミッシェルの立ち位置そこ?」
「そうです!」
「そうなのか……」
いろいろな技能を取り入れつつあるミッシェルは、新しい自分の在り方や自分の使い道を見つけた様だ。兵士事務所で、くさって居場所のなかった彼ではもうないのかもしれない……。
……あれ? 今回そう言う内容だった? あれ、僕は活躍してなかったけ?
続く
見ていただきありがとうございます!!
また、何処かで!
(兵士の女体化は、バジリオによって却下されました)




