ミッシェルのツンデレ
僕らの会議はまだ続いている。そして僕はまだ晩御飯を食べきっていない。
まだメインの肉が半分もある。小食のウンディーネとは食べる量が違うのだが、会議と食事いっぺんに、ってわけにはいかなかった事が原因だ。
僕は頑張って咀嚼するのだ。モグモグと。
そしてウンディーネは帰ってはこない。最近、魚屋からやって来た、なぜか生きていた水槽の小魚をリビングルームで、また見ているのかも知れない。
「あの質問がそれ以上ないのなら僕から追加で報告していいですか?」
ミッシェルが、ふわふわの髪に手をつけて、挙手した。
「何か私に、話し漏らした事があったのでしょうか?」
ルイスの、ミッシェルを見る目が少し怖い。ミッシェルは、それに怖気付いたのか、少しずつ手を下げ「うーん、なんというか、ルイスさんには言いづらいのかみんな僕に言ってくるんですよね……」
ミッシェルは、ルイスの機嫌を損ねないように、言葉を選ぼうとはしている。
「ハヤトさん、預かりになったウンディーネやフィーナさんやシルエットさんが怪我をしてもハヤトさんの自動的にかかる保険から治療費や教会での寄付の費用は出ないそうです」
「それならコトハ嬢から聞いてますよ」
「そうなんですか? 僕と同じ事務方なので彼も伝える義務があるみたいで、なら良かったです」
「その事については、わかりました。誰かも」
「「…………」」
ルイスがミッシェルの知り合いについて言った時、ダイニングルームの温度は、3度くらい下がった気がした。
だから「最近、パーティーの質も上がって、低レベルの魔物のドロップ品ならいつでも、手にはいるから価値が下がってギルドもドロップ品の売買の宝珠が下がってるからそんな感じに、世知辛くなってしまってるんですかね……」と、ミッシェルは話しを反らすために語り、ルイスをチラチラ見る。しかしその結果、彼はガックリとうなだれてしまう。
ルイスの記憶力には、彼の友人の怠慢さは刻まれてしまったのだが、さすがこの前まで、兵士の事務関係を取り仕切る部署にいただけあっていろいろ詳しい様だ。
「ですが、それでもエクストラ級の魔物の量は減らず、冒険者の経験と、能力のアップ待ちの状態なので、やりようによっては金策面ではいろいろ出来ますよ」
「そのやりようをお前たちがしばらく見せれば、何か変わるだろう。そうすれば出発が早まる。そろそろ本気で先を見据えて、身の振り方を考えておいた方がいい」
ぬいぬいの一言に、皆が沈黙する。
それはやはりルイスも一緒で、やはり僕はフィーナ達とだけで魔界に行くと言う事もありうるって事である。
しかし幸運にも彼女が来た事で……。
愛が深まれば……。
そこが都なのである。
しかし魔王は、それは許さないだろう。僕だって大事な娘がいきなり男と結婚して暮らしだしたら世界を滅ぼすかもしれない。有り余る力を持っていれば。
「僕は、やはり彼女がいてくれてなお、魔界に行かねばなりません。だから強制は出来ません。僕は自分がなんなのか? と言う問いに草彅ハヤトと言う答えしか持ってない。お願い出来る身分でもないのです」
僕は1人1人の顔を見回す。
シルエットは、凄く楽しそに見ているけれど、後の皆は、真剣で切実な顔をして、斜め前の机を見て……ミッシェルは顔が赤いし、少し泣きそうである。なぜ?
そこで、彼は予想もしない事を言う。
「ハヤトさん……ついて来てくれとは、言わないのですか? 何故?」
「えっ? なぜ……?」
「はい、僕が読んだ物語は、勇者は一人では戦いに挑まなかった。どの時代でも仲間とともに、ここから遠い空を目指し駆けていた。貴方は、一人で行けばいいけれど……貴方の物語を読む子供達はなんで思うでしょう……それだけ勇者の在り方はこの国にとって特別です」
「いや、でも……魔界に入ってからの旅は、本当に僕自身の問題だから」
「違います! 勇者の問題です。そして勇者の行動の結果は、仲間がそう思い動い結果なんです。この国では!」
彼は椅子から立ち上がり、両手をついて真剣に僕を見ながら話す。
「ミッシェル……いい加減に、気持ちを大義名分で、偽るのは止めた方がいいですよ。彼は貴方の家族ではないので……役職や立場でこうあるべきと言う考え方はしないので、貴方の話し方では、ハヤトが理解に苦しむだけです。貴方の気持ちを素直に言えばいい。その方が彼には伝わる。そう思いませんか? 貴方も」
ミッシェルとは逆に、ルイスはとても冷静で、そんなにミッシェルの気持ちについて考えるのか……、ルイスでもって気持ちになる。
失礼な言い方だが、あえて他人の気持ちを取り込まず、最良の結果を導きだすのが彼だと思っていた。
だから感情論で、他のメンバーが、僕について来るという愚策を犯すのを止めてくれるだろうと、彼に今回も甘えられたらなんて事も正直考えていた。
「ルイスさんは、そうやって僕の事を何でも分かった様に言うのやめてください。僕は……心が広いので、ハヤトさんが行って欲しいと言えば魔界について、行くことを考えなくもないっていいたいだけなんです。でも、それでは僕が偉そうだら……あえて言葉を選んだだけです。僕は単に勇者を見捨てた仲間にはなりたくないですし、いや、皆さんがハヤトさんを見捨てるのか? とうか言いたいのではなく……あくまでも僕は、物語で偉大な人間として後世に語られるのもいいなって思ってるだけなので、ハヤトさんはそこんところ間違えないでください」
……ミッシェルの気持ちは、うれしくもあり、盛大なツンデレを見せられた気持ちでもあった……。
「僕は言っていいのだろうか? 皆に危険な魔界へ来てくれと…………」
「まぁ……パーティーのリーダーなのだからそれを言う権利は、あるんじゃないですか?」
僕はそう言うルイスの顔を見る。僕の顔に気持ちが書かれているのなら、今、僕の顔に『信じられない、なんかうれしくなる』と、書かれている事だろう。
「無理な人は大丈夫。僕はその気持ちはわかっているつもりだ。でも、僕について来てくれる人はついて来て欲しい。でもその事についてはよく考えて欲しいんだミッシェルも、みんなも答えは時期が来たら聞くよ。でも、今、そう言って貰えた事がうれしい、ありがとう」
僕は、机に手をついて頭を下げた。
「そうですね。私もその事について改めて考える様にします。意見がないようでしたら、報告は以上です」
辺りをみまわしても、今は報告についてはない様なのでルイスの言葉で話はおわった。そしてぬいぬいが僕の肩を叩きさり。
みんな静かその場を去る。
ダイニングルームルームには、僕とフィーナだけが残されて、彼女は黙って僕が食べ終えるのを見ていた。
続く
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