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ウンディーネ、大泣きする!

野の植物を食べるのは、ギャンブル感が強そうですね。 

 大豆畑からの道、人々が家に帰ろうと思う頃、僕とウンディーネは僕らの住むホイルトツェリオ城への道を帰って行く。


 人間の住む場所へ足を踏み入れウンディーネ。彼女と僕はこの途切れる事のない道のように、いつまで続くのかわからない僕の一生をややこしい関係のまま行くのだろう。たぶん。


 しかし雪女、鶴の恩返し、シンデレラの例もある。けれども僕は戦闘面については、彼女無しではたぶん生きていけない。


 これはもうウンディーネの事を可愛い手のかかる妹が出来たと思い、生きていくしかないのかもしれない。そうフィーナが来た日の今日、再認識してその気持ちを強化しなきゃ。

 まぁ――本物の妹いるし、いける! って言うか、行くしかない。


 前を見て歩き出すと、ウンディーネが、僕の顔をちらちらと、うかがう様に見ている事に気付く。


「ウンディーネ、何が隠した?」


「ウンディーネ、全然隠してないよ? 主様、早く帰らないと夕食に遅刻しちゃうよ?」


「エプロンのポケットの中、見せて」


 彼女はポケットを明らかに挙動をおかしい感じで隠すと、ゆっくりポケットの中を探りだした。


「はい……」

 ウンディーネは、ポケットをゴソゴソさせて赤い実を手のヒラにいっぱい出した。赤くてトゲトゲしていて、春に毎年みていた、花粉の模型を思いだす。


「独り占めじゃないよ。主様にもちゃんとあげようと思ってたよ?……一個くらいなら……」


「食べれるの? それ」

 僕は少し引き気味に、聞く。


「うんうん、でも、ウンディーネが好きなだけかもしれない。主様は、全然無理する必要はないと思う!」


「ウンディーネ、ご飯はちゃんと食べれるなら……後、ルイスに食べれるものって確認してもらってからならいいよ。君、全部食べな。好きなんでしょう」


「主様、いらないの? 美味しいよ」


「くれるなら1個だけ」


「うんうん。やったー! 主様、走って帰るよー!」


 ウンディーネは、そう言って道の悪いその道路を走る。

 水色の長い髪を跳ねさせて、彼女は走って行く。

 永遠の少女の様な彼女を、過酷な魔界へと続く道のりだけど、泣かせない様に、笑顔である様に、頑張っていかなければならない。


 ☆★☆★☆


 しかし、ウンディーネは、家に帰り着く時には、泣いていた。

 めっちゃ泣いて……扉の鍵を開けている間の今も、瑠璃色の瞳の目から大粒の涙をポロポロととめどなく流している……。


「くやしぃ……あんな犬に、吠えられるなんて屈辱耐えられない――!」


 もうすぐ夜になる今の人通りの多い時間。城下町では、犬を連れて歩く人も多い。

 そもそも異世界で、犬より危険な感じの人も多く歩いているし、ぬいぬいの様に善良で子供の様な最強魔法使いまで歩いている。


 そんな見えない危険いっぱいの異世界のこの国では、皆、見かけだけは善良で、動物の躾も災いを避ける為にきっちりとされている事が多い。


 そしてウンディーネの言っている。大きいブルドックの犬もちゃんと躾は実はされていた様だ。


 そして躾の行き届いたレト君って犬は、飼い主のおじいさんをウンディーネから守ろうとしてまず、警戒の唸り声をおじいさんの前であげ、その体を低い体勢にして身構えていた。


「ウンディーネ、ちょっと待って」と、言って僕は慌ててウンディーネに声をかけ、その手を掴もうとしたが――。


 彼女は、走るのは疲れもうやめたけど、もうすぐ家に帰り着く。家に帰ったら早く木の実た――べよう。って感じで無関心で、レト君に近すぎ、僕も間が悪くレト君のまん前で彼女を止めてしまったのだ。


 ワンワンワンワン!


 レト君おじいさんの前を、一所懸命守り吠える。


 うちの狂犬ウンディーネさんは、「あなた何? やるの?!」って言って、戦闘体制に入ってしまい、ファイティングポーズとっている。


「ウンディーネ、なにやってるの? 君、大精霊様でしょう?!」


 子供の喧嘩に堂々と参戦したみたいなウンディーネをそこから無理やり引き剥す。


 そしておじいさんは、この世の終わりに命乞いをする人のようになっていた――。


「すみません、すみません……レトの命だけは――」

 必死で、レト君の体にしがむつく。


 そして僕らが離れた事で、おじいさんの「レト、お座り!」という声がやっと聞こえたらしく。……レト君は、おじいさんとウンディーネを交互に見てお座りをしてくれた。


 しかし少しでもウンディーネが動くと、ヴゥ――と、うなってしまうので……僕はあわてて――。


「おじいさんすみません。怖がっていたのに不用意に近づいてしまって、あのウンディーネが動きくと怖がっている様なのでどうぞ先に行ってください」


「ありがとうございます。ごめんなさいウンディーネさん」と、おじいさんは謝り、僕らの前を横切った。

 そして何度も忠犬レト君はウンディーネからおじいさんを守るため警戒し振り向いていた。


 不意に吠えられた事や、ウンディーネは何もしてないのに僕が謝ってた事、レト君を優先させた事や振り向かれた事全てに、驚き、怖さと、大精霊としての尊厳を傷つけられた事でウンディーネの今の大泣きに至ってしまったようだ。


「ウンディーネ、怖かったね。大丈夫だから」


「ウンディーネ、あんな犬怖くない!」


「そうだの大精霊だからね。偉いよわいものをちゃんといたわれたよ」


「違う! ウンディーネは怒っているの」

「うん。うん。そうだよね……、でも、街だから人がいっぱい居るからいろんな事があるよ」


 今後の僕らの為にウンディーネの怒りは、あまり肯定しずらい立場の僕は、彼女のその他の愚痴を繰り返し聞く事になってしまった。


 このやり取りは、城への続くクネクネとした登り坂で、何度も繰り返された。


 そしてアニス王が、レミナ王妃へのプロポーズの場所で僕は何をしているの? と、自問自答したもの。



「…………」玄関の前、鍵を開けた僕はやっと今回の注意点に辿り着く。


「ウンディーネ、思うんだけど……、気配と言うか、君の強さを敏感な犬に感じ取られる同じ事が、他の不都合な場所でも起きないように、君はしなければならないと今、ふと思ったんだ。厳しい事を言うけど、弱い魔物の狩りの時に困るし、最悪なのが強い敵にすら僕らの侵入がわかってしまう事なんだ」


「でも、やり方が……あっ、わかった。シルエットなら教えてくれるかも? そうね。頑張らなくちゃ」


 僕は、ウンディーネの顔を見る。彼女は形ねいい唇を、少しとんがらせ、人差し指で唇を触りながら考えているようだ。彼女に目標とする人材が出来たのは、喜ばしいが、僕は怖々と彼女に聞く。


「もしかして、シルエットさん強いの?」


「うん、フィーナの魔力も凄くて、主様と同じくらい。いい匂いも同じだけど。シルエットは私が前一時期、水で遠くが見通せる場所で見ていた、とっても強い一族に感じが似ているかな? こう一撃必殺じゃないんだけど。いろいろ多芸多才の方で強い。でも、水が嫌いぽいから途切れ途切れの、姿しか見せてくれないの……ケチねーー」


「はぁ……そうなんだ……」


 アニス王の件が落ち着いたら、最強ぽい魔物か……。

 味方としては最強だが、気まぐれそうな彼女は僕には、操縦できない。


 波乱の予感しか思い浮かばない。


 しかしそれは起きてから考えるべき事、今日は、フィーナとシルエットさんを歓迎しよう。


 そして僕が世界に合わせて強くなろう。一歩ずつ確実に……。

 続く


 

見ていただきありがとうございます!


また、どこかで。

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