恋と幸せがやって来た日
王が生還を果たしてたあの日から幾日か過ぎ、僕はやっとあの可哀想な青年の姿を、ただ後ろで眺めるだけの夢も見ない日も出来た頃。
僕の以前の眠りのように、深く眠りにつけるようになった。
そんなある日、僕は頬のこそばゆさによって目が覚めた。すると目の前にはとても綺麗な女性。
紫の髪、ルビーの瞳、妖艶な女性と言うのは彼女のための言葉の様に感じるような女性だ。
その女性に頬を指で押されていた。一夜の過ち? しかしどんな仕組みでそうなった??
「あっ、目を覚ました。黒髪に、ブラウンの瞳は、よしのと同じなのね」
よしの? その言葉には聞き覚えがある……。
そして彼女服に、後ろから手がかかり、ピョコ。っと、銀色のもふもふな狐の耳がのぞく。
僕は首をひねった。……夢か?
「ハヤト、お久しぶりです。私のこと覚えてますか?」
「フィーナ!」
「は、はい!」
僕はベッドから飛び起きて、パジャマで、手を広げて……。
彼女は、女性の横から出て来て、僕の前に立ちもじもじとしている。僕は彼女を抱きしめて、いい関係だったけ? と、固まっている。
「ハヤト会いたかった……、でも急に決まってしまって、可愛い洋服を仕立てている暇は無くて……」
「大丈夫……フィーナはいつでも可愛いし、服は僕が買ってあげるし、僕なんて先日、死にかけてぼろぼろです。だから、行こう僕らの街へ」
僕は、申し訳ないけど、アニス王のデートプラン丸パクリする気満々だった。
「その格好で?」
綺麗な女性は、さも面白いものをみたって感じで笑っている。
「あ……こんな格好でなんですが、草彅ハヤトです。よろしくお願いします」
「今日から世話になる事になったわ。シルエットよ。よろしくね」
「フィーナも? フィーナも一緒に住むの?!」
「はい。宜しくお願いします」
「お義父さんは、いや、魔王は大丈夫なの??
僕、殺されない? 門限はいつ?」
「あら、怖い顔」
シルエットさんが、そう言うので、視線の先を見る
ルイスが、驚きと少しの戸惑いを混ぜた様な顔で少し開いた扉の隙間の向こうに立っていた。
「ルイスどうしたの? 主様に朝の挨拶するんだから早くそこをどいてー」
と、ウンディーネの声もする。
「ちょっとごめん、うちの執事に紹介するから」
僕は扉を開ける。
「おはよう2人とも、今日は紹介したい人が居るんだ」
「シルエット、フィーナ、こちらがルイスとウンディーネ。僕の冒険を助けてくれる執事と水の大精霊様だよ」
「ルイス、ウンディーネ……ウンディーネ?」
ウンディーネは、僕の予想にない行動をする。彼女は僕の前を通り抜けて、フィーナの手を両手でとった。
しかし明らかにシルエットさんが警戒したのがわかる。
「ウンディーネ、勝手に人に触れてはだめだよ」
しかしウンディーネは、目をまんまるにして、フィーナの事を見ながら「主様と同じ匂い。もしかしてあなたの匂いなの?」
そう聞かれたフィーナも困惑はしているようだ。
「ウンディーネ、初めましてフィーナです」
「ウンディーネです……」
ウンディーネは、そう言ったきりフィーナの手をとっている。
ムッ。僕は、フィーナの空いた手と手をつなぎ、「ルイス、ウンディーネ、僕と初対面なのだけどシルエットさんと、えっと魔王の部下のフィーナで僕の恋人です」
「シルエット様、フィーナ様、執事のルイスです。お困りの事はどうぞ、私めに」
「ウンディーネです」ウンディーネは、ウンディーネですって言うマシーンぽくなっちゃっているな……。
「シルエットよ。フィーナのお目付け役できたの、私の日常生活さえまかなってくれたなら、私の事は気にしなくていいわ。好きにやるから」
シルエットさんは、あっさり養ってくれって意味あいの事を言った。
「そうなんだ、ルイス。これから2人はここに住む。……住めないだろうか? ダメな面倒なお願いなのだけど……僕らの住む家を探して欲しい」
「ハヤト、ここは勇者の家です。だから気にする必要はありません」
「はい」
そう言うと、彼は僕にだけ聞こえる声で……。
「英雄、色を好むともうしますので、中にはそういう方もいらっしゃいますので……」
ルイスの今の例はたぶん、わざと僕を困惑させたいために言ったのだろが、フィーナとシルエットたちには聞こえたようだ。フィーナの少し慌てた顔が可愛い。
「魔王様の直属部下で、白銀狐のフィーナです宜しくお願いします。」
フィーナは、ルイスに対してはお仕事モードに入ったようで彼女はきっちりと挨拶をした。
そうしてこの館の寮長のようなルイスに、ちゃんと挨拶出来た事で少し気がゆるむ。
僕とフィーナ、二人で、顔をあげフィーナ目が合うと2人で、笑った。
先は、遠く道は険しいのかもしれない。
でも、やっとスタート地点に立てた気がした。彼女が、隣にいてくれるだけで、世界は事足りていた。
☆
そして一階へ降り、朝食を作って居たオリエラ、昨日たまたま泊まりこんでいて、朝食を手伝っているぬいぬいにも挨拶を2人はしていた。
そして朝飯を食べながら、みんなへの自己紹介を全て終える。
2人の魔界からの来訪者。
その反応は、昨日夜遅くまでお酒を珍しく飲んだぬいぬいが始終眠りこけながら聞き、オリエラはぬいぬいを起こしながら聞いた。しかし僕らの恋に夢見がちに「素敵」と、ささやいた。
ミッシェルが、一緒に住む事に抗議していて、シルエットにちょっかいを出されていた。
「ここは、みんな可愛い子ばっかりで天国かしら」と言った。シルエットに少し波乱の予感を感じだが、魔王をの顔をたてて、厳重に見守ろう。
僕とフィーナの事については、彼女の種族や魔王の幹部と言う事については皆、結構沈黙し、オリエラとミッシェルが、学生が聞く事を根ほり葉ほり聞く。
それでもフィーナは、「皆さん楽しい方ばかりですね」と言ってくれたので、僕の恋人マジ天使……。
そんな感想しか出ない。
そんな騒がしい一日もここ大豆畑で、日が暮れようとしている。
フィーナとシルェットとミッシェル、ルイス組は、ギルドに行って彼女達について、レンさんに相談に行ったのだ。
道沿いの畑、大豆の苗が、風に煽られて揺れている。まだまだ冷たさを感じない風に苛立ちを感じながら、畑に水を撒く。
ウンディーネいつも通り黙々と、雑草を抜いている。
いや……いつも通りではないか……やはりどこか沈んでいると言うか、もの思いにふけっている。
「ウンディーネ、水をすべて撒き終わったし、もうそろそろ帰ろうか?」そう言ったらいつも子犬の様にやって来るのに、今日もウンディーネまだ黙々と雑草を抜く。
「主様、シルスさんの馬見た事ある?」
「いや、ないよ」
「シルスさんとその馬は、戦場でいつも一緒に駆けるんですって、その馬は女の子でいつも信頼しあっているみたい。私は、少しうらやましいと思った。ウンディーネたちと人間の関係もそうだったら、他のウンディーネは人間を愛しても消える事はないのにって思ってた」
「でも、人間と馬は生活サイクルが違うから……」
「そっか、ウンディーネたちは馬小屋で寝かせられたら、たぶん国の1つくらい滅ぼすか……」
「ウンディーネたちは、いつでも美しく唯一無二、恋人と破局したら、どちらかが死に。馬小屋で寝かせら、国を滅ぼす。生き様としては憧れるけど、君は違う。僕も違う。今までは重いと言われて、正直振られた事があるけれど、今は振られて良かったと思わなくもない」
「そういうもの?」
「いや、僕の強がり」
「そうか……」
「結局幸せになれば、いいんですよ。僕は君に、他のウンディーネみたいに死んで欲しいくないもん」
「美味しいケーキ食べれなくなるしねー」
「ねー」
正直、恋は先はわからない……。
でも、……やっぱり僕はフィーナが好きなんだ。
それと同じくらいウンディーネも大切だけど、きっとこれは恋じゃない……。
続く
見ていただきありがとうございます!
また、どこかで!




