王、奪還作戦 その始まりの前に
昨日、僕らはギルドランク、エクストラ階級へと昇級した。そんな僕とウンディーネは、朝から大豆畑にいた。
大豆の苗は、バレーボール1つ分の大きさまで成長していた。そう大豆の苗が成長とするとともに、街道沿いに突然ポツンと畑がある事に不思議さが増す。
他の畑も家もない、街道がひかれただけの土地にある畑なので、動物なのか、魔物になのか、結構荒らされている。
枯れかけている苗は、魔法をかければ回復するものもあるが、土が掘り返されている時には、どうしょうもない。
心理ダメージが大きすぎて、無言で畑を耕してぼぉーっとただ見つめしまう。心の切り替えが、なかなかうまくいかない。
このまま収穫0ならどうしょう……。ルイスは、大豆畑の収穫に結果を求めているのだろうか?
「主様あまりゆっくりだと遅刻しちゃうよ?」
「そうだね」
今日の目標の作業は、添え木をそれぞれの大豆の苗の横にさし、雑草を抜く事。
作業をしながらも大豆の苗をみると、幹に多くの緑の葉が付き、植物を育てているんだなっと思わず少し感動する。
「主様、苗がこんなに大きくなって、実るのが楽しみね~」
ウンディーネのレインは、とても嬉しそう僕に語り掛けて来る。
「そうだね。レイン、きっと今年はここでたくさんとまではいかないかもしれないが、きっと美味しい大豆が取れると思う。そしたら茹でて、美味しい枝豆を作ろう」
「枝豆かぁ……茹でる位くらいなら、私も出来そう」
「きっと出来るよ。そしてきっと美味しい」
「うん」
ウンディーネは、にこにこの笑顔で言う。彼女は、今日も多くの雑草を黙々と抜いていたし、こういう畑仕事の様な作業が結構好きなようだ。ウンディーネの好きな花を植えればきっと喜んでくれるだろう。だが、僕たちは、その花が咲く前にここを離れてしまう。
そして僕は、魔界にたどり着くのだ。そうしないと、情にほだされそうな、今、正直辛い。……いやいやいや、そんな事実ないから、大丈夫だ!
……そういえば昔、雑草を抜かないで育てる方法も、テレビでやっていて、そっちにも実は興味があるんだよなぁ……。しかしそれはまたの機会に。もともと修行の一環だしね。
僕とウンディーネは20分位かけて、雑草を抜き畑のそばに重ねて置くが、これでこっちの草を魔物やら野生動物が食べてくれるといいが、この抜いた草があるからいろんな動物が集まってしまう事態になってしまうのかどっちだ?
「ウンディーネ、朝の畑の世話は終わったし帰ろうか」
「うん」
そう言うとウンディーネは、僕の腕に絡みついて歩く。
「ウンディーネ……腕を組むのはやめよう。恋人みたいだし……」
「はい、主様……」
少し落ち込む彼女、そんな彼女を見ない様に僕は、道の先を見る。そうするとウンディーネの歌声が聞こえる。
彼女は、うれしいでもない、悲しいでもない、優しい歌をうたう。
僕にはなんて歌っているのかわからない。精霊の歌かもしれない。違うかもしれない。
言葉は、わからなくても……この場面で、優しい歌をうたう彼女のセンスは好きだ。言わないけどね……たぶん永遠に……。
彼女が歌い終わると、僕は拍手をする。
えへへと言う様に、笑う彼女。
「ウンディーネ、昨日のオリエラのお父さんの話しだけど、オリエラのお父さんはこの国の王様で、今、呪いによって死の淵にいる。だから僕が身代わりになる。そしてオリエラのお父さんを救って見せる。そして僕も必ず生還する。」
「主様なら大丈夫なの?」
「それは正直、わからない。勇者はこの世界で世界で最強である。らしいけど……、僕、自身は実感も実績も残してない。けどさ……」
「でも、やるのね」
「そうだね。オリエラはいい子だ。助けてあげたい」
彼女は、拒否するかと思ったが、僕の考えを彼女は受け入れてくれているようだ。
「わかった、私が絶対死なせないから、安心して。その為に、精霊は契約するのだから」
名も知らぬ、この道で僕はウンディーネの事を見つめる。彼女の瞳は、やはり魅力的ですべてを受け入れ、破壊する海と同じ色をしている。
☆
僕とウンディーネが僕の未来について、あの街道で話して歩いたあの日から一週間もしない内に、僕たち勇者パーティーは城の宰相のダイジスさんの前に呼び集められた。
もちろんそこにオリエラの姿は無い。
彼女は、この事態になってようやく父と面会する事が許されたのだ。
それだけ女王の王に対する愛が強かったのか、辺境の姫君に対する嫉妬が強かったのか、それは僕にはわからない。
わかるのは、王の心と体は、亡き幻影の呪術師に囚われている。 そのため死の淵にあるって事だけだ。
日が昇る2時間前に、会議室のような場所に呼び集められ人々は皆、顔色が冴えない。まるで呪いが、次の相手を探し人々にその手を伸ばしている様に。
王の呪い解くための、『王、奪還作戦』につどいし人々。
けれど、前日までの協議の時間にも、聖女と、日いずる国の巫女は現れなかった。
聖女は、日に日に悪くなる王の体調を回復をするため、巫女は急に決まったこの作戦の為に、台風の多いこの時期に船を出し嵐に巻き込まれていたとの事だ。
しかし今回の作戦には必ず彼女たちは欠かせない。
僕の命運をにぎるのは、彼女たちの能力次第。いや、もう一名うちのウンディーネも回復役としてこの舞台に上がる事になっている。
しかし彼女の真の役割は、大精霊と契約者の間にあるとされている不思議な力や救いをあてにしたものだ。そこにあまり根拠などはないらしい。
そしてそろそろ作戦開始の時間だ。
この時間もオリエラを探しだした占い師が、だしたものらしい。
僕は王座の間に、1人向かう。
僕は横たわるべ台へ寝かされ、魔封じの呪文を体にやたらめったら描かれる。
そして王の間の扉を最初開けて入って来たのはぬいぬいだった。彼は魔よけのペンダントやら、御神木やらつけられている僕の前まで、やって来て窓辺に座る。
「ぬいぬい、久しぶり」
「お前は、面白い恰好をしているな」
随分つかれた様な彼だったが、言っている事は、相変わらずだった。
「要点だけ言う」
「わかった」
「占い師の結果が変わった。いや、詳細がわかったと言っていいだろう。お前にあのウンディーネより以前に、そして強くお前を加護する存在いる。勇者という事と別にだ」
「だから、僕は選ばれ、死ぬ事は無いって事ですか?」
「選ばれたまで正解だろうが、まぁ、それに関して言うなら、この国のだいたいの子供がこの事態を知れば、お前を身代わり選ぶだろうな」
「うーん、子供たちに選ばれたなら光栄ですよ」
「だから、勇者に対する過信も根強い。もしかしたら聖女、日出ずるの国の巫女のお前を守る力も、お前の力を信じているというめいもくを盾にする者によって、消える瞬間はあるかもしれない。そうすればお前が、死ぬ確率はだいぶ高くなる。それでもいいんだな?」
「いや、全然良くないよ? なんでいいと思ったの? だから僕は僕の仲間にいざっていう時は助けてくださいって言ってあるし、ぬいぬい師匠も宜しく。可愛い弟子は死なせたくない。でしょう? ただじゃ死なないから、命根性汚く生きて生還する。絶対!」
ぬいぬいは少し鼻で笑う。「いい目だ。言ってる子供の物語に載せられんがな。じゃー頑張れよ。俺は寝る」
「今から、寝るの?」
「そうだよ。寝ずに、呪いについて調べても、穴1つみつけられなかったがな。不甲斐ない師匠ですまんな」
「そうなんだ……ありがとうぬいぬい師匠」
彼は、後ろ向きで手を振りながら僕の前から消えると、そこら辺の神官に寝て良い場所を聞いているようだ。神官がとても驚いている。
こうして僕の長い1日の最初の重要登場人物は疲れ果てて登場し、夢の中へと一時退場した。
続く
見ていただきありがとうございます!
また、どこかで。




