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ギルドクエスト進級試験 その1

 ギルドクエスト上級、そのランクになればギルドに貼られている、すべてのクエストがどれでも受けられるようになる。


 時々、上級クエストでも、高いランクの方がいいだろうという貴族が、低ランクでは無くあえて上級のクエストへ申し込む事があるので、クエストの選び方次第で楽して高額報酬も夢ではない。夢と希望にあふれたランク。それが上級ランク。


「ハヤトさん、ここはあえて蟻の巣を狙ってみませんか? 危険がありますが、質の良さそうな顧客、いや、パーティーと一緒に組んで戦えば楽勝ですよ!」


「うーん、そうだね。蟻なら数も居るだろうし、でも、もう探す時間はもうないから自ら蟻の巣へ挑む、猛者な顧客で我慢してミッシェル」


「ハヤトさん、わかりました。僕は頑張りますよ! ありがとうございます」……


 そう言ったミッシェルは、ギルドクエストの進級試験の大事な場面で、大事な顧客を探している事に悪びれる事なく、逆に僕の気遣いに感動していた。


 そして自分の持っている、地図をじっくりと見て――。


「ここにしましょう。ここは蟻の巣も多くありますし、ある程度ひらけているので、上から襲われる心配もない。何よりスタート地点が近いので、ここを狙う顧客は多いでしょう!」


「どれ、どれ、うん! いいねぇーここにしましょう」

「なかなか、狙いどころでごわすな。さすが勇者パーティー」


 オリエラとスドウは、ミッシェルの意見に賛成する。しかもスドウは、僕らが勇者パーティーと知って近づいて来たらしい。なかなか抜け目がない。


 昨日に、ルイスから繰り返し言われたのだが、パーティーで狩っているところに、魔物を引き連れて逃げながらやって来て、相手に魔物を押し付けた後逃げるか、押し付けた相手が強そうなら共同して戦った後、倒して貰った御礼をいいつつ魔石をちゃっかり稼ぐ奴がいたり、普通に余った魔石貰おうする奴に、絶対に屈しないでくださいって言われたが……。


 ――スドウさん、大丈夫ですよね?


「とりあえず蟻は、メンバーの立ち位置と蟻の巣を壊さない様にすればいいでごわすよ」


「でも、顧客とか抜き楽しみだぁ~合同戦は、授業でもやったけど実際はどうな風になるんだろう?」


「ミッシェル、顧客、顧客と、言ってると、本番で出ちゃうからこれから禁止で」


「そうですね! 信用第一ですからね」


「ところで、蟻には魔法は何にしょう? 魔石の事を考えたら氷はダメだしー」


 そうやって、皆で、作戦を立てていると、「皆さんなんか初々しい感じで、いいでごわすなぁー」

 スドウさんは、そう言って笑顔をみせる。その笑顔は、なんか信用出来る。


「あのスドウさん、荷物運びって戦闘中どんな感じの配置なんですか?」


「そうごわす、伝え忘れていて申し訳なかったでごわす。おいどんのやり方では、だいたい後衛の位置に陣取るでごわす。まわりの見張りやおいどんの知る限りのモンスターの知識をお教え出来るかと、後、こんな事お伝えしたくないんですが……死体も2名までならかつげるでごわす」


「わかりました。今回は初めてミッシェルの隣でお願いします。うちは結構、立ち位置調整したりすると思うのでそこは柔軟にお願いします」


「スドウさん、お互いがんばりましょうね」


 ミッシェルのキャラが変わっている……。 お金にかかわる時でも、ちょっとなまいきな後輩をつらぬいてくれ! いや……むしろ、今のままがいいのか?



 キ――ィ――ンマイク特有のあの反響音がなった。


「やーみんな初めての人もいるかな? ここホイルトツェリオ城のギルド長を、務めるレン ホルンだ」


 キタ――――!! 異世界のブラックギルドの犠牲者レン ホルンさん。上級試験のテストが、ギルドの公での最終テストだから来るのはわかるが……。そうかそうなのか、せめて試験の間だけでも、冒険者の戦いぶりに心を和ませてくれるといいのだが……。


 今日の彼女はやはり金髪のおかっぱで、スリットのあるタイトスカートにやっぱり、異世界風ポンチョみたいな服をざっくり着ている。


「今回も、いつも同様に事故やけがなどあっても、すぐに助けに行く事は出来ない。無理のある行動は避ける様に心がける様に、後、死体を見つけた場合、配った布で覆って欲しい。いろいろな効果があるからね。じゃ――みんな、頑張って!始め!」


 上級試験が始まった。この階級になるとみんな歴戦の猛者だろう。そう思ってた僕の横を、アウトロー風の男達が走って、アァァァァァ――――――!一人、足を滑れせ下に落ちていった……。


 辺りが騒がしく。少しだけ悲鳴があがったが、「行こうか」と僕らのパーティーは冷静に進み出した。


 休憩会場からの急な坂をくだると、すぐ地面の土は川辺特有のやわらかな土へと変わった。


 試験会場のルルデコの湿地帯には、湿地帯特有の植物の他に、緑の蔓に小さな葉、時に紫色の花咲かせる植物の様な物が棲息している。


 そんな湿地帯の植物の上を、1メートル位の長さの細長い木の板が連なって置かれている。


 道の役目をはたしているそれは、とても遠くの方まで枝わかれをしながら続いている。


「ああぇえなんだこれ――――!?」


 板の上を慎重に進む僕らの耳に、彼の声は混乱と戸惑いの色を含んで聞こえてきた。叫んだ彼の足元には、木の板は存在せず、彼は足元から次々に、緑のツタが彼を侵食していく。全てを覆い隠すか、そう思った時には彼の姿は消えとてつもない早さで、遥か向こうに連れ去られているところだった。


 その速度なとても早く、初見の僕には魔法での対応は出来ずにいた。


 今、冷静に考えてあれにどう対応すればいい?


「こう言う時、凍らせればいいの?」


「彼ごとですか? 彼死んじゃいますよ? それより急ぎましょう。止まっている事によっての面倒ごとは、ごめんこうむります」


「わかった。進もう」


 あのツタなんだ? あの本体はどこに? しかも1体なのか2体なのかそれとも、もっと多いか見当もつかない。ただ言えるのは、彼を助ける事で、確実に時ロスと僕たちのパーティーの命の危険が増える事はわかっている。

 人、1人を見殺しにした後味の悪さは、僕らの心に影を落とす。


「皆さん、さすが勇者パーティーだけあって本当に、優しいでごわすな。でも、大丈夫でごわす。彼は直ぐに死ぬ事は無いでごわす。この後に行われる魔物撲滅祭で彼は救出されると思うでごわす! 逆に、むしろどうせ死ぬならあの魔物でラッキーでごわすよ!」


「やはり魔法で復活出来ないって、死に方もあるって事ですか?」


「そうでごわすな」


 彼は言葉少なく、そう言った。


 進むうち、木の道の上に待ち受けるカエルの魔物がいた。後ろに『攻撃』のハンドサインを送り。槍を使い倒す。体から魔石は湿地の水の中深くに落ちた。カエル自身はツタに絡まれやはりどこかへ連れ去られて行った。


 木の道を黙々と魔物を倒し歩いた。長かったようでもあるし、早かったようでもある。


 そして湿地帯を抜ける少し前に、魚を槍で貫き連れて行く。木の道は終わりやっと乾いた地面が見える場所にでて、草地を避け先へ進むと標的の蟻が姿を現したのだった。


 続く

見てくださりありがとうございます!


また、どこかで!

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