ギルドクエスト 蜂の撲滅 後編
大岩をより深海の奥深くへ落とすとともに、蜂の巣が外側から破れ、蜂たち亡骸が水中に折り重なるようになり、水を隠していく。
実は経験の浅い僕には、大変なピンチだった。
「深い深い深海の底近く、座礁した船は帰れず舟板を散らす。その悲しみによって大岩を隠す」
そしてピンチは必然と、大きなピンチを連れてくる。
骸になった蜂たちが、波にもてあそばれるように揺れ出し、シャキシャキと言う音や羽音が一定のリズムを持ち始めたのだ。
「歓喜ですよ。どうしますか?」
ミッシェルが言う。
歓喜については、あのスライム討伐の際、スライムの異常行動の鳴き声について、ルイスに聞いた時に習った。
「雑魚の魔物が一定リズムを保ち、歌い出した時、我々はそれを『歓喜』と言います。魔物が本当に喜びを表しているかは別としてですが」
「そこでそのキメ顔いる? かっこいいですが……」
「いります。そしてお褒めの言葉ありがとうございます。そして歓喜の後には、その集団より格上の存在が現れます。でも、心配する事ありません。上級クラスは、普通の強さがそれくらいですから恐る恐る足りずです。そして上級の魔物も時に歓喜し、我々は魔物の強さに慣れいくのです」
そんな過去を思い出し現実逃避しつつ、水圧を1段上げる。
僕か蜂かのチキンレースは、僕が逃げればすべての人々を危険にさらすのだ。
「主様、逃げて!」
ウンディーネの声が遠くで聞こえる。その声が聞こえるほど歓喜の音は弱まっている。
――もう一段階上げれば終わるはず!
チカラを込める。波の揺れが激しくなり、大岩が砕けた!
その気の緩みが、反応速度の遅れとなった。
巣を食い破った女王蜂が中から苦しみ、のたうちまわりながら出て来て、僕の姿をその濁った眼で捉え時、彼女は微かに笑った。
僕には確かにそう見えた。彼女は、もう既にほとんど残っていない羽を羽ばたかせ、僕に向かい飛んでくる。
コマ送りの様に時は進み、ルイスの矢もオリエラの魔法剣も、彼女を止める事は出来ない。
もはや魔力もあとわずか。魔法への意識を無理矢理保ちながら、槍を手に持ち彼女の横面に、矛の先を全力て刺し貫いた。
しかし彼女の軌道を、少ししかそらせず、あの不気味な口が僕を肩を食い破る。ギシピチィシという最悪な音が僕の耳の届いた。
僕の肩を深く喰らいついソレを、払いのける余裕も、恐怖も水の魔法の維持と解放に持っていかれてる。今の僕はただの蹂躙されるでくの坊とかす。
しかしそれはつかの間だけで、ルイスの何本の風をまとった矢とオリエラの炎の刃が、女王蜂を切り刻むまでのわずかな時間であった。
しかしその頃には目の前が、徐々暗くなっていく。水を逃していく作業も、すぐさま曖昧になっていく。
ミシェルは、僕の肩に凄い量の回復魔法をかけて、肩が燃え上がるように熱い。
みんな何か叫んでいた様に思う。だけど……魔法に集中しないと……だからよく聞こえない。
その時、僕の肩を誰かが叩く。その手があまりに優しくて僕は、思わず振り返ってしまった。
「ウンディーネ?」彼女の髪が、水中の中にいる様に空いっぱいに広がる。やはり、水の中の彼女の方がきれいなのかもしれない。
そう僕が思った瞬間には、僕は作った水の檻は、彼女の腕の一振りですべては霧となり霧散していた。
僕は、ウンディーネとミッシェルの支えられ深い闇に落ちた。
◆◆◆◆◇◇
僕は暗い闇の海から這い出すと、僅かな炎はそこにはあって、そこには誰かが居てくれるはずと、僕は勝手に考えていた。
海岸の砂に足をとられながら進んだ先に、やっと探していた炎が空中に浮かび漂っている。
とても小さく。でも、暖かい。ゆっくり両手で包み込む。
「あたたかい……」
その時、僕の手の隙間から、光があふれて辺りを照らす。
ーーここで、僕の世界はふたたび暗転した。ーー
………………目を開けると、光はあった。でも、それは燭台の上のろうそくの明かり。
僕は、ベットから起き上がろうとすると――。
「起きないでください、回復魔法を使ったと言って、今回流れた血の量が多すぎたので、少し揺り戻しが来る可能性があります」
それは、ルイスの声。
横を見ると白いガウンの似合う男ルイスがいた。ルイスは、コーヒーを飲んでいる様で、白いコーヒーカップを持っている。
でも、冷めているのか湯気の白さを見る事は出来なかった。
「何で、ここに?」
「貴方のウンディーネが、貴方の足から離れなかったので、対抗出来る僕だけが残されました」
ベッドの足元の部分的には、ウンディーネがスヤスヤ寝ている。
「そっか」ウンディーネの頭を撫でと、さらさら、ツヤツヤで絹の様だ。
「じゃ、私がこれで――」
「ありがとう」
「あっと……ハヤト、学生もいるので愛のいとなみは、お控えください」
「そうですね」僕は、笑った。ルイスのガウンをしっかり持って。
「自分の身は自分で守る。でも、今日は体調不良なのでお願いします」と、必死でルイスに拝み倒し。彼は、ソファで寝る事になった。
次の日、朝からウンディーネとルイスがもめる声で目を覚ましたが……僕は、いろいろな事に感謝しながら起きたのだった。
続く
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