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噂(うわさ)

 ランチの時間の食堂、ここでは多くの人が賑わいっているが、人種の違う異世界から来た僕と水色の髪、瑠璃色の瞳のウンディーネがトレーを持って並んでいても、今となっては驚く者はもう居ない。


 それより今日のランチのメニューと、その量が、みんな気になるようだ。


 今日のメイン料理は、野菜とビーフと豆の入ったトマト味スープ。


 野菜とビーフの肉が一緒に煮込まれ、トマト味が強く主張せず、肉の味が全体を包み込んでいる。


 豆もすごく柔らかいのに、その形ちゃんとを保っているので、ついつい豆を銀杏(ぎんなん)の串刺しみたいにしてみたくなる。僕は、小学生なのか……。


 そして少しかためのコッペパン。そのパンを僕はスープをくぐらせる食べている。みんなそうしているから真似しているだけだが、やっぱりこれが美味しいのだ。


 向こうの世界へ戻り柔らかいパンに、物足りなくなったらどうしょう。


 ふと目線を上げると横に座るウンディーネが、不思議そうにスープを飲むその手を止めて僕を見ている。


「うん、どうしたの?」


「美味しい?」


「うん、美味しいよ。ウンディーネはこんな感じに煮込まれたお肉も駄目なの?」


「少しづつだめじゃなくなってきたかな? 主様(あるじさま)やルイスと食べるとその事で少し美味しく感じるかな? 食事をとる必要がなかったウンディーネが、料理を美味しと感じるのは凄い。これはきっと楽しいって気持ちだと思うけど、不思議気持ちもあるのよね……。()()()()?」


 どう思うって彼女は、力いっぱい言った。


 僕の妹に対し教育の為に、変な事言えない。と、思った時と同じようなプレッシャーを感じる……。


「うーん、そういうのが沢山の中で暮す事の醍醐味だよね。だから僕は君に、そういう気持ちをいっぱい知って欲しいな。せっかく君は、その機会を勝ち取ったんだから」


「そうか、そんな考えもあるのか……。後は、毎日フルーツの盛り合わせを食べてたらきっと幸せだと思うけどな……」


 そう言って、彼女は僕にこれは独り言ですよって言える音量で、僕に願いを伝えているのだと思う。


 僕はもちろん彼女の独り言なので、残念ながら聞こえないのだ。


 そして付け合わせのフィシュアンドチップスを食べる。今日は3つの選択だった付け合わせ、残りの選択はローストビーフか、フルーツの盛り合わせか選べるたのに……。


 また今回も、フィシュアンドチップスを選んでしまう。今日は、タルタルソースも付いて来てたんで、つい……。


 前回は、レモンのみだったから、どんな味が確かめたくなるのは仕方ないよね。


 そして食べたら全然違った。手作りタルタルソースは濃厚でゆで卵がざっくり混ぜられていて、たまごの味が美味しくあじわえる。ポテトに付けても、魚に付けても美味しい。(当社比)


 その時、兵士練習場の茶色い事務服を着た青年が、ぐいぐい人込みをかき分けて歩いてくる。急ぎの用だろうか? 危ないなぁ……と僕はそれを見ていた。


「こんなところに居た!」


 その彼は僕に向かってそう言った。彼の年齢は、僕と同じくらいか、もしかすると僕より若い。クルクルふわふわの栗色の髪で可愛らしい顔って印象だが、僕に対して怒っているのでもしかしたら幼くて、我がままな性格の人物なのかもしれない。


「はい」僕はその理不尽な怒りをどうとらえていいのかわからず、座ったまま聞いていた。


「ルイスさんですよね?」


「いや、草薙ハヤトです。初めまして」僕は、立ち上がり彼に挨拶をする。手も差し出す。


「そうだった。あの人が、ルイスだった。もう何なんですか? あの執事さんは、まったくもう」

 やはり彼は、ルイスに怒っているようで、顔は赤く、頭から湯気が出そうなくらいだ。なんか話が、長くなりそうなので思わす座った。


 そして目の前に座って兵士さんが横にずれてくて、縦長の机の向こう側の人々が4,5人場所を変わった。

「すみません」


 僕はそう言ったが彼は、何も言わず当然の様にそこへ座った。


「あのですね!」


「御礼を言うのが、先では?」


「えっ?」


「席を譲って貰ったのだから、先にお礼を言うべきでしょう?」


「あっ!?……ありがとうございます……」


 いきなり、声のトーンがダウンして、消え入りそうなそうな声で言ったので。譲った兵士さんも「いや、たいした事ではないから……」と、言うのだった。


 ――なんか、彼はかわった。青年だ。ルイスは、彼にいったい何をしたのか?


「うちの執事が、何か失礼な事でも?」


「彼、僕が仕事で少し手が空かず、待っていただけで……『私が、その仕事をお手伝いしましょうか? 貴方がやるより早く終わると思いますよ。私、貴方より有能なので』言うんですよ? ひどくないですか?」


「はぁ……」僕は、それしかいう言葉がなかった。「ヴーン!」とウンディーネが言った。ウンディーネまでどうかしたの? と思ったら、彼女はきつい目つきで彼を睨んでいるし、地獄!


「で、僕に何の用ですか? 彼の非礼を詫びて欲しいのかもしれませんが、ルイスにも話を聞かないと、僕は何もできませんよ?」


 そう言うと彼は言った。


「あっ、すぐに事務所に来てくださいお願いします。では!」


 名も告げず、彼は帰っていた。いや、どういう事だよ!? 何の用で僕は事務室へ行くのだろう? ルイスが嫌だから僕に来て欲しいの?


 彼が今のような態度なら、ルイスが無礼な態度をとる事も仕方ない事だろう。ルイスは、もともと凄く無礼な人だし。


「何あれ? 主様(あるじさま)に、あんな態度は良くない! 彼には素敵な水辺を紹介したいけど、どう思う?」


 ウンディーネは、少し楽しそうに話すが……彼女は美しだけの存在ではない……。凄くためらうが、聞かないと後で後悔しそうなので、彼女に真意を聞いてみる。


「彼は、そこでどうなるの?」


「私達の隣人が、がぶっ、もぐもぐ」


 ウンディーネはかわいい仕草で、フライドしたチキンを食べる姿に、似た姿を表現してくれる。だが明らかに駄目な行為である。


「それは、駄目だから……身近な人、例えば、僕で想像してみてよ」


 僕は少し呆れながら、残りのポテトを食べる。


主様(あるじ)は、あの人間と違うし、ウンディーネには、主様に……そんな事……想像出来ない……」


 そう言うと、ウンディーネは、目にいっぱい涙をためて……それが少しずつこぼれ落ちる。彼女にハンカチを渡すが、次々涙がこぼれる様で止まらず、僕は周りの目が痛い。


「ウンディーネ、お皿を片付けて来るから、ちょっと待ってね。」


 僕がお皿を持って行くと、食堂のおばちゃんが、僕を呼び止めて、携帯用のお茶をくれた。お茶はほかほかで今、入れてくれたのだろう。


「大精霊のウンディーネとは、うまくいかない事もあるかもしれない。でも、負けるんじゃないよ!」


 彼女はそう言って僕を励ましてくれた。ありがたい……でも、違うんです。僕もいろいろな意味で泣きたくなった。


「ありがとうございます」僕は一礼してその場を後にした。


 うーん……皆さん、僕とウンディーネの関係どんな風に想像していらっしゃいます? 困った。


「ウンディーネ立てる?」


「うん、大丈夫ごめんね。 ウンディーネもっと人間の気持ち、勉強するね」


 その後、ウンディーネとウンディーネが最初に現れた噴水で座ってた。水辺で、彼女の故郷につながるこの噴水しか、彼女の喜びそうな場所を僕は思いつかなかったのだ。もちろん人通りが多かったが背に腹は代えられない。


 それによって僕が無視していたものがある。それは兵士専用事務職員の呼び出しをだ。何しに行くのさえ知らないけど……。


 でも、それとは別に事件は起きていた。


 事件を見て、そして伝え聞いた人が、次の別の人々に伝えた事が間違っていたり改変されていた事が問題だった。


 そして噂が加速するのだ。


 だから、最終的に、①兵士練習場の事務員が勇者と彼のウンディーネに無礼な態度をとった。②その結果、勇者のウンディーネが城の噴水広場で凄く悲しそうに泣いていた。そして勇者はそんな彼女に黙って長時間付き添っていたと噂が流れてしまった。


 あんまり間違いでもなく、正解でもない。


 その噂が、僕達の運命を大きく変えるのだった。


 続く

見ていただきありがとうございます!


また、どこかで!

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