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ウンディーネと大混乱

 僕と、執事のルイスと、メイド姿のウンディーネは、勇者の間に戻った。


 まず門の前に居る衛兵のシルスさんに、そしてウンディーネにも彼を、それぞれを紹介した。そうして困った事があれば、シルスさんに相談するようにとウンディーネに言い。シルスさんに中で、異変を感じたら二人以上で中へ入ってもいいので、彼女が一人の時は少し様子を見てあげてくださいと伝えた。


「わかりました。ウンディーネさんよろしくおねがいします!」


「こちらこそ、よろしくお願いします。うちの主様(あるじさま)がいつもお世話になっております」


 と、ウンデーネは余所行きの顔で言う。


 うちの家の扉の鍵を開けている執事と、メイド姿でスカートをちょこんとつまみ、歌をうたいながらクルクルと回っているウンディーネ。二人は大変見栄えがいい。


 もうずっと見ていたい。よし!


 そして僕は家に帰り着いた。


 ルイスからは「大豆の発芽について、魔法学校の魔法植物学の先生に合格点をいただきました」と、聞いた僕は、リビングルームで残りの15鉢の大豆の発芽を嬉しい勢いのまま行い。


 僕は大豆のすべての発芽と、自分の気持ちをモチベーション維持していく方法を習得。その成果を得て、午前中の大豆の苗づくりを無事終了させた。


 僕がその作業を行っていた間、ルイスとウンディーネは、ルイスが彼女の分の家事の仕方を彼女に教え込んでいた。



 そして今、15鉢の大豆の双葉の前で、ルイスは僕の隣の椅子に両肘(りょうひじ)を付き、ひたいをその上に乗せ頭を抱えている。


 それを集中力を途切れさせたくない僕はしばらく見て見ぬふりをしていたが、やっと彼の困惑の内容も聞けるようだ。


「ルイス、ウンディーネの家事はそんなに駄目?」


「彼女の家事能力は、さすが良妻賢母となるべくその能力を成長させているウンディーネだけあって素晴らしいです。しかし……」


「しかし……」


「彼女の問題は、その突飛な発想力です……。その発想力で2階の廊下が水浸しです。後……」


「あと……」


「彼女のその強大な魔力で、魔法洗濯機が逝き。そして買ったばかりの洗剤は無くなりました……」


「えっ!? 1時間も経たない間にそんな事が!? で、彼女は??」


「あなたに怒られると思って、自室で泣いてます」


「わかった! 魔法の洗濯機の事…………いや、なんでもない。ルイスは少し休んでいて」


 すべてが完璧なルイスは、たぶん……ウンディーネの人並み外れた外れた破壊力に戸惑い。そして完璧であるが故に、先の計算をしつくして動けない状態になってしまった様だった。


 僕は慌てて、2階に行く。廊下が本当にビショビショだ。


 そんな廊下に立っていると、泣き声が聞こえたので彼女の部屋すぐわかった。


 トントントン


「ごめんなさい。ルイス、まだ主様(あるじさま)には内緒にしていて」そう言いながら、扉を彼女は開けてくれた。


 僕の顔を見た途端に子どもの様にヴァ――ンと、大泣きし僕の胴に泣きつく。


「ヴンディーネをがえさないで…………、みんなに内緒で出てきたから帰ったらおごられる――」


「えっ? 言わないで出て来たの??」


「うん……ウンディーネとその恋人や夫の間には、いつも死が付きまとう。泣いている数々のウンディーネを見て小さな精霊だった私は思ってたの。その気高さ、傲慢さが、あなたの恋人を殺し続けているのに本当に大馬鹿だわって……。だから完全なウンディーネになる前、ウンディーネの誕生の地から出ちゃったの。私が私にした最初の魔法の契約は本当に好きな人を得る為に、賢さを捨てる事。だからもうがえれない」


 そう言って彼女は僕のシャツをビショビショにした。


 僕は困ってた。そして卑怯な発想の転換、彼女の本当の恋人が他に現れる。それまで僕が彼女のそばに居よう、それが主人の務めだから。


 しかし僕がもしフィーナにそんな事を思われただら……僕はこの世から消えたくなる。たぶん……だからウンディーネはたぶん僕より愚かで、強く、少し尊敬する。


 だから僕は彼女の手を引いてまず、ルイスのところへ行き、彼女と一緒に謝った。


 そして床を一緒に拭き、ワックスをかけた。洗濯機は水をふわふわ浮かしながら持って行き、昔ながらの洗濯桶と洗濯板でルイスに聞きながら一緒に洗い、下着は自分で洗って貰った。


 そして講習は、お昼ごはんの時も続いた。


「とにかく言われた事しかしない! したい時は僕かルイスに聞く! わからない時も聞く! わかった?」


「わかった」


「じゃ言ってみて?」


「言われた事だけする! わからない事はみんなに聞く!」


「最初は見てるから。僕を呼んで……朝か夜。昼は訓練に行くから……」


「ウンディーネも行きます」


「えっ? ルイスいい?」


「ぬいぬいの魔法練習の時はわかりませんが……、一応、兵士の練習場の事務所ではウンディーネだけお城に残されても困ります。って口ぶりでしたね」


「えっ? ルイスにですか?」


「そうです。あちらもうちの家系には少し劣りますますが、見た事のある名家の御子息だったのでまぁ……よくある事です」


 ……貴族の間のどろどろしている心理戦では、圧勝している様なルイスなのに……やはり貴族の世界は広くいろいろ大変らしい。僕は貴族の世界には、絶対に関わらない事を心に誓った。


 食べ終わった後は皿を運び、謎の洗剤の適量を教えで皿を洗う……なんか燃えカスぽいといつも思う洗剤。


 そして僕らは畑仕事に出る。


「主様と一緒に走って行きます!」


 ウンディーネは、歩く事自体した事がなかったはずだ。


 ルイスと一緒に馬車に行くように進めても、彼女は決して首を縦に振らず。結局、僕と走って行く事になった。


 大豆の苗と追加の道具が、ルイスと共に荷馬車で畑へと向かうのを見送り、僕は小さなため息をし走り始める。そしてそれにウンディーネが続く。


「畑ですか? 勇者様、精が出ますね」


「はい! ありがとうございます! お互い頑張りましょう! 行ってきますー」「行ってきます」


 門番が、勇者に掛けて良い言葉では無い様に思うが……。


 まぁ、最近、勇者も多様化の時代だからこんなものだろう。


 城から出てしばらくは石畳が、永遠と続く。山は、緑に覆われ鳥の声が聞こえ、マイナスイオンはとどまる事を知らないだろう。


 その中で僕の呼吸音と石畳を踏む足音が静かに響く。


「主様、もう走れな――い!」


 ――思った以上に早かった。ウンディーネの弱音。また、城下街へとくだる石畳も降り切ってなかった。


「はい、おんぶするからここにのって」


「はぁーい♪」


 彼女は大精霊であるが、結構軽い…………そこは関係ないか。しかし彼女をおぶって畑まで行けても、仕事に触りがあるだろう……。どうする?


 僕は彼女を背に乗せたまま石畳を降りきると、今度はつかの間だが草木を踏み分ける音を聞く。もうすぐ城下街へと行きつくだろう。だが、目的地には遙かに遠い。


 街の看板が遠くに見えた、繁華街を水色の髪の少女を背負い僕は歩く。そうすると……。


「この子がウンディーネちゃん?」


 いつしか街の子どもが集まっていた。


「駄目です! 学校で知らない大人に声を掛けては駄目って、今日習いましたよね?」


 そう付き添いの先生が彼らを止めるが、異世界の子たちはわんぱくでどんどん集まって来た。


「はい! 習いました! 水色の髪の大精霊様には絶対声を掛けちゃだめって習いました」


「お前馬鹿。そこは秘密だろ?」


「ははは、ウンディーネそんなに怖くないから大丈夫だよ」


 僕は、慌ててウンディーネをフォローした。


「ウンディーネは優しくて、きれいだから大丈夫です」


「「本当!? ウンディーネはどこから来たの? 魔法見せて!? 好きな食べ物なぁに!?」」


 ウンディーネの言葉に辺りの子どもが、すべて集まり僕らは進めなくなる。


「「やめなさい!! みんな早く家へ帰れ!!!」」


 先生の声か、新たな子どもを集めていた。パニックアクションホラーである。




「みなさ――ん、お菓子食べませんか!? アレルギーある子は鉛筆をどうぞ」


 聞き覚えのある声と思ったら、ルイス!! ルイスがお菓子を配っていた。


「頂戴! 頂戴!」子ども達がルイスの前に群がった。


「ハヤトさん、ハヤトさん! こちらに!」


 御者(ぎょしゃ)の兵士さんが僕らを先導し、僕はウンディーネに麦わら帽子とタオルとかぶせそこから脱出した。


 なんとベンチの近くで、荷馬車が止まっていたのだ。


 そして城下街から出てしばらく待っていると……ルイスが歩いてやって来た。


「お菓子を先生に押し付けて、逃げてきました。子ども達がわらわら学校から一緒に出て来た時は、悪い予感しかしなかったのすが、引き返す事も出来ずに、慌ててお菓子と鉛筆を買った事でなんとかなって良かったです」


 そう言ってルイスは笑った。


        続く


賢さは、いろいろある思います。


見ていただきありがとうございます!


またどこかで~。

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