愛するウンディーネ
魔力を回復するためのサラダを食べ終えた僕は、その効果がでるまでの間、休憩するつもりだった。
しかし休憩するために向かった、城の噴水前のベンチで僕はある異変に遭遇する。
バシャン
大きな瓶の水を人工池へと流し込む乙女像、その瓶からスライムの様なものが流れ出た。
その時の衝撃で、辺り一面に水が飛んいる。
僕もビショビショだった。
人工池に目をやると、そのふちに手がかかたった。
――手? しかもその手はか細く女性の手のようだ……。
そしてもう一本の手がかかる。
その時には周りでは怒号が飛び交い、すぐに兵士が、噴水の周りを取り囲むまでなっていた。
僕らが静かに見守るなか長い水色の長い髪の少女が人工池のふちから瑠璃色の瞳の目までを覗かせ周りをうかがっている。
それを兵士はただ息を飲んで見つめいる。
皆の呼吸音が荒く聞こえる。
その影で僕は、その少女を恐怖を持って見つめていた。あの瞳には見覚えがあった。
大精霊のウンディーネ、それが彼女の種族の名前だ。
以前は、もっとヒレや鱗があったが、あの瑠璃色の瞳は間違いなくウンディーネのものだ。
……しかし何かあったら刺し貫くのは僕の役目なのかもしれない。 しかしあんな少女を?
「ウンディーネだ……」誰かの呟いた言葉が、波紋の様に周りの人々に広がると共に、彼女の隠され力を認知させる。だが、同時に彼女の種族の恐ろしさをしる兵士達は、より動く事な出来なくなってしまった……。
手に力を込め人工池から乗り出した体は、華奢であるが……おもいのほか豊満で……、いや、違う! スケベな意味じゃなくて、事実をそのまま思っただけで……これは浮気心じゃない。
気づいた時、彼女は僕の事を見ていた。
一瞬の油断が僕の命とりとなってしまったのか、彼女は両手を挙げ、今まさに詠唱を始めようとしていた。
「僕の周りから逃げて!?」
そう言った時、一斉に兵士が僕と彼女の間に立ち塞がったのは少し泣いた。
「なんで!? ウンディーネは好きな人に会いに来たのに隠すの? なんで?!」
だいたいそこに居た人間は、みな『は?』ってなっていたと思うが、戦闘体制はくずされなかった。
そこへある人物が、介入する事になる。
「貴方、ハヤトが好きなのですか? ですが、彼には好きな女性が居ますよ? ウンディーネは、その恋が遂げられないと身勝手に相手を殺すのですよね? それって本当の愛なんですか? 愛される自分が可愛いだけじゃないのですか?」
――めちゃめちゃ質問するじやん。 だが、おかしい? こんな事を言うのはうちの執事しか居なかったが……、彼は人前ではこんな振る舞いはしないはず。彼は冷静なようで、案外そうでもないのかもしれない。
僕は兵士に止められはしたが、今、1番危険なのはルイスだ。だから「ありがとう、でも、彼はうちの執事なんだ」と、言うと、兵士たちは考えたあげく道は開かれた。
「ウンディーネはただ彼が好きなの! それじゃいけない?」
「貴方が彼を連れ去ったり、殺したりするのがダメだって言ってるだけです。ハヤトがハーレムを作り、何人女性を囲おうと私は感知しませんので、勝手に好きになればいいですよ」
彼は優しい笑う。気のせいか、皆のいろいろな視線が痛い。
「って、ハヤト、そこにいるなら、早く名乗り出てください」
「ハヤト? 覚えていますか? 小さな小瓶のあなたに何度も会いった。このウンディーネを!」
「覚えています、でも何故?」
覚えています。そう言った時、彼女の頬はピンク色に染まり、髪は少し逆だった。彼女は祈るように手を結ぶ。
そしてすぐさまルイスを指差す。
「そこの無礼な人の子、ウンディーネの愛は本物です! 本当は嫌だけどハーレムも許します! 嫌だけど! ウンディーネのチカラも捧げます。ハヤト様、主様に! 私はウンディーネです。その力要らないなんて言わせません!」
「それなら僕から、文句の付け所はありません」
ルイスが、勝手に陥落してしまった……。
僕の身に覚えのない、僕のハーレムが許容された状態のままで……。
「すみません、身の危険は無いようなので、兵士の皆さん持ち場に戻ってください」
「って、なんでルイスまで家に帰ろとするんですか? 一緒に残ってくださいよ」
「わかりました。主人の女性問題をなんとかするのも私の役目。と、言いたいですが、こんな往来のある場所でする話でもないでしょう。家に帰りましょう。紅茶でも入れますよ」
「そっか……ありがとうルイス」
「人の子、ありがとう」
「ウンディーネ、私が先にハヤトにつかえました。貴方は後輩なのですが、ルイスでいいでしょう。しかし敬意を持ってです!」
「はい……ルイス」
ウンディーネは、素直に従った。
勇者の間にやって来たウンディーネは、ずっとキョロキョロしていた。
リビングでルイスに紅茶とミルクと砂糖を出されると、全部いれて「美味しい」と、目を輝かせる。
少し落ち着いたところで、僕から改めて恋人の話を切り出す。
「ウンディーネ、僕には好きな人が……」
「私、別に……主様と一緒に居られれば……1番、2番とかどうでもいいのただ、一緒にいらればいいの……そしていつか……あなたの好き子たちと、ルイスに勝ちます」
――泣いてる……一大決心して泣いている。可哀想だが、ここで折れるともっと子のためならない。
「じゃ……精霊の主従の契約をしましょうか……さぁ、お二人とも参りましょうか」
ウンディーネもルイスも一斉に明後日と明日の方向に走るので、僕は2人の会話に追いつけない。
「ふたりとも待って、ちょっと落ち着こう」
「主様は関係ない。これは私の決めた事だから」
――だから、なんでだよぉ!
「ハヤト様、彼女は四大精霊と言われる、ウンディーネなのですよ。ここで契約してしまえるなら、してしまった方が我々の為になります。ですので……ハヤトの恋人の事は私が、彼女にいい含めてみましょうか?」
「本当ですか?」
「本当です、仲間を今から裏切ってどうしますか?」
「では、お願いします……」
「お待たせしました。ウンディーネ様お名前を、伺っても?」
「名前は、彼にしか伝えません。私の事は、ウンディーネと呼んでいただければ結構です」
「では、ウンディーネ、もう一度いいますが、ハヤト様には恋人がいらっしゃいます」
「負けません」
ウンディーネは僕を、瑠璃色の瞳でみつめた。
「私はそんなハヤトと一緒に旅をし、お仕えするものです。でも、貴方はそうじゃない、今なら泡とならず済むでしょう。これは、貴方の為に言っているのです。貴方は、私とは違うのだから。……そうですよね?ハヤト?」
「はい、僕にはただ一人の恋人がいるので……君は帰るべき場所に帰ってください。絶対無理です」
「そういうわけです。お帰りはあちらです」
ルイスはそう言って、リビングの扉を指さす。言いたいことはあるが、なんとかまとまりそうだった。
「でも!でも……ハヤト様は、ウンディーネの力が必要なんですよね! 貴方の隣に違うウンディーネが、立つのは嫌なんです。私が貴方のただ一人のウンディーネになります。話は聞きました。だからもう十分です。契約をお願いします」
「貴方が、そこまで言うのなら私に、伝える言葉はありません。ハヤトも諦めて契約をいたしましょうか? ハヤトが魔界に通用する力を得られるとい絶対的な自信があれば別ですが……。貴方が魔界に住む彼女に、操を貫き通せばいいだけです。厳しい魔界に住むものならその苦渋の選択を受け入れてくれると思いますよ」
あ……ルイスがしたのは、僕が諦める為の布石作りだった。そして最終的に陥落したのは僕だった。
ルイスが言っている事に、間違いは無く。偶数、力を得る事はとても珍しく、そしてウンディーネのチカラは扱いが難しいが、誰でも戦いに生きる者が欲するチカラなのだ。
そのまま、僕が召喚された教会で、僕が右手を差し出し彼女が忠誠をたて、右手にくちづけして終わった。
「川の流れが止まらない様に、氷の下で流れゆく水がある様に、わたくしの忠誠心は留まる事を知らず貴方に捧げ、導くでしょう。永遠の誓いをここの立てます レイン」
儀式は、滞りなく終わり。鍵を返しに行く、ルイスを噴水で待っていると――。
「私はレインと言います。主様だけがそう呼んでください」と、僕の耳に。ウンディーネが内緒話で伝えくれた。
続く
ウンディーネちゃん初登場でした。
見ていただきありがとうございます!
またどこかで!




