大豆の発芽
僕の部屋で今日も目覚める。
変わっしまった毎日は、もはや日常となった。
しかし今日は変化があった。朝、ジョギングに向かおうと扉を開けた僕の前に紙がぶら下がっていた。
『おはようございます ジョギングへ行く前に大豆の発芽を12鉢分お願いします。残りはリビングにおろしました』
そしてルイスの署名。字もきれいなのか彼は!?
それにしてもルイスはまだ1階に居ないようなので、ふたたび自分の部屋へ、戻ったのかもしれないが……。うちの執事は、いつ寝ているのか悩む……。
部屋の前に、置かれた苗ポット。それは思ったより小さく可愛い。発芽して部屋に、飾っておいても見栄えが良さそうだった。
試しに僕は、1つの大豆に魔法をかけると、小学校の頃見た発芽の映像の早送りのように、芽の腰は土から飛び出しゆっくりお辞儀をしたまま、成長しゆっくりその2枚の手を土からもたげると、大きく手を広げる。
――双葉は可愛い。しかしルイスはこれを魔法学校持って行って『全然駄目!』って言われた場合、残りの苗をどうするつもりなんだろうか?
しかし魔法の練習だから、もう一度やりましょうと、簡単に言われてしまいそうな気もする。
そうは思っても僕は、黙々と作業をこなす。
効率のいい魔法の発芽の仕方。①まず、魔法をかける、苗ポットに集中する。②土の中の大豆を想像する。(間違っても想像とあっているか掘り出さない。あってない場合、想像の確信度がたぶん落ちる。)想像はイメージを強化するため、少し他の大豆と違うな程度の変化を持たせる。③大豆の成長過程を想像する。④それを発現させるべく、木の魔法かける。想像通り双葉が出て来て。ほら簡単に出来た。⑤ネガティブの事を考えたら負け!
その繰り返しで12鉢の双葉の苗ポットが出来た。玄関の所に置いておくか……。
そしては朝の準備を済ませ、最後にあるるさんの麦わら帽子をかぶり、僕はジョギングに行くのだ。
朝の城内を走るとさすがに暑い……。そして木に蝉が止まっていた。
……って蝉!? 異世界で蝉が居た、なんかバイクのモーター音みたいな音で鳴きだす、蝉が。
もしかしたら蝉でないかもしれない。バイクの虫かもしれない? んなわけないか……と、僕はまた走り出した。
☆
家に帰り着くと、玄関の苗ポットが消えていた。もうルイスは魔法学校へ出発したようだ。
ダイニングルームに、『朝食とサラダは兵士の練習場の食堂で食べてください』と、置手紙があった。
今、調理場は混んでいると思うので先に、大豆の発芽を行う事にする。
僕は古新聞を探すと片手に掴み持っていく。そして新聞紙を、リビングの床へとひいた。
先ほどの12鉢でも少し床が汚れてしまった、今回は、数が多い分汚れは酷い事になるだろから前もって引いて置いた。
今度の箱は、15鉢分入るものが3箱。
始めは黙々と苗ポットと向き合って来たが、もしかしてそろそろ何かの要因で、限界が来ているのかも? そう感じたのは結構すぐだった。
それでも僕は苗のポットの大豆と向き合うが、苗を育てる以外の何かが、自分に必要になってきていた。
「お前はどんな芽になるんだい? 僕に教えて欲しい」
「よし! 悟った! お前の姿はこれだ!」
よしOK!出来た!
……10鉢は出来たが、やはり辺が山場なのか? 頭がまとまらないなってくる。
魔法には、思いのほか集中力を使っているようだ。魔法の呪文代わりに、言葉を使いやっている事を肯定するところまで試行錯誤して自分の気持ち発芽という行為に集中しょうとしていた。
「発芽ビームー!…………わぁ!? 苗の幹の成長が悪い方にヤバイ!?」
はぁ……この大豆を沢山育てたら、おじいさんに会える。そう自分を騙すんだ……。いける! いける!
「見ててくれ、じぃちゃん!」
精神を集中し、1つ1つの苗を丁寧に……。
「5鉢連続出来た!! やった――! じぃちゃん今から行くからねぇ!!」
――ってじぃちゃんて、誰だよ!? って駄目だぁ……。自分で突っ込んでしまった。せっかくいい作戦だったのに……いや、あほな作戦か……。
もう、気を取り直すためにも、シャワーへ行って、朝ごはんを食べに行こう……。
そして僕は1箱分の苗ポットを、今度は玄関先に出し、シャワーを浴びて、今、気持ち新たに食堂に来てみれば。
今日の朝食メニュー、ふわふわチーズオムレツに、食べるとサックサックと音がする事間違いなしのクロワッサン、そして少し酸味が強い感じのオレンジジュース。
そして木のボールいっぱいの、魔力回復サラダ(ほぼ草)
――なんで? なんでこんな葉っぱいっぱい?
僕はそれをサラダスタートで、食べる。
クロワッサンも無理矢理、葉っぱサンドにして食べた。葉っぱは、モキュモキュというオノマトペを響かせ僕の胃へと降りていく。
そしてせめて〆だけは、チーズオムレツで終わりたい。その希望通り食べ終わる事が出来た。
食べ終わると、調理場担当の兵士さんがやってた。
「勇者さん、今日のサラダ大地の栄養をふんだんに取り入れ魔力を回復するという、観点から出発し改良を重ねた野菜達をふんだんに使った、魔力回復と魔力の成長を促すためのサラダになっております。近年ではこちらの魔力回復飲料が、手軽に購入出来るためあまり食される事は無くなりましたが、やはり栄養面ではこちらの方少量ですが上回ります」
彼はそう紙を読み上げながら、魔法回復飲料をくれた。
「これ……ルイスが?」
「はい、勇者様にはまずは食育からと言われ」
「そっか……ルイスが……。ちなみに兵士さんが魔力回復する時は、サラダか飲料かで言うと?」
「普通に飲料ですね。即効性あるしおすすめですよ!」
「兵士さんありがとうございました」
「いえ、サラダまだ残っているので、いつでもどうぞ」
僕はいただいた、魔力回復飲料を開けて飲んでみた。レモン味のそれは、ゆっくりであるが頭にかかっていたもやを取り払い。
そして心の疲れを、癒してくれそうな気配を感じる。
そして僕は目頭を押さえて思うのだ。
今、魔法学校に居るだろう……ルイスに向かい……。
ルイス、いろいろな画策、楽しんでいただけましたか?っと……。
☆
朝食から1時間後、僕はまだ兵士練習場の食堂にいた。と、言うか、僕はふたたび魔力回復サラダ(ほぼ草)を注文し料理が来るまで待機中だった。
もちろん魔力回復飲料も頼んだ。頼んだが断られてしまったのだ……。
「ハヤトさん、すみません。練習時の魔力回復飲料は、1日1本って決められていて……」
「そうなんだ……、やっぱり薬みたいに、飲み過ぎると毒とか?」
「いえいえ、戦場で連続で飲んでも良いようにと考えて作られたているので、ジュースやコーヒーと同じか、それ以下の害しかないです」
「じゃ……なぜ?」
「どちらかと言うと、戦術の面からです。即効性があるからと練習時に、何本も飲める限り飲めば、長時間も魔法が撃てますが……自分の魔力の限界を知る事が難しくなってしまう。それじゃー自分の限界と知り、魔力がない時どうするべきか? と言う次のステップに進めないんですよ。魔力回復飲料の販売に携わる側としては、まず休息をとるよう勧めるようにって言われています。後、魔力がすぐ切れる事について上官に面談を申し込む事もおすすめしてます」
「じゃ……僕も相談した方がいいようだね」
「う……ん、それはどうでしょう? 時々、魔法使いとも合同で練習しますが、1時間撃ち続ける魔法使いが居たらやばい部類ですよ」
「……やばい……。そんな感じなんだね。ありがとう勉強になったよ」
「いえ、いえサラダをすぐにお持ちしますね」
と、いう事があった。
――発芽がさせるのも大変だ……。結構魔法は『やる気と根性』が必要だ。とか、考えていたが、一般的に考えて普通に活動限界だったようだ。
「お待ちどう勇者様」
長いコック帽をかぶった、コック長だろかっぷくの良い男性が、僕にサラダを持って来てくれた。
そして僕の前に座る。
「どうだね? この世界の料理は好きかね?」
「好きです。この前、美味しいフィシュアンドチップスの店も行ったし、ここの料理もどれも美味しいです」
「そうか、ダイジスに『もしかしたら勇者様に、とんでもない故郷の料理を作らされるかもしれませんよ?』と言われて、日出る国の料理について調べたのだが、調味料がなく困っていたが、お前さんはそんな事も言い出さず安心してたとこだよ」
「ははは、僕の国の食生活は、だいぶこちらよりなので、だいたいのものは美味しく食べられますよ」
「そうか、でも、時には故郷の料理も食べたいだろう。ここでは難しいが、城下街には日出る国の料理を食べさせる店があるから探して見るといい」
そして最後に、「またな」と、言って、厨房へと帰っていった。
僕は、黙ってサラダを、モギュモギュ食べた。今回は一品だけなかなか苦戦しそうだ。
「あの……これ良かったら貰ってください」と、言って斜め前の兵士さんが、見た事ないふうのきっていないドレッシングをくれた。
「そのサラダには、それが1番合うのですよ。大変ですが頑張ってください」
「ありがとうございます、ソルトさんドレッシング感謝します」シルスさんが彼の事を練習場で、そう呼んでいたのを、思い出して名前を呼んだ。彼は、すこし照れながら食器を片付けて、食堂から出ていった。
彼のおかげでなんとか魔法回復サラダは、食べ終えてすこし休憩の為に城の噴水前に座る。水の音を聞いていると心が和む。
バシャン
水音が辺りに響き渡った……。
その音を発した物は、大きな瓶の水を人工池へと流し込む乙女像、その瓶からスライムの様な姿で流れ出たソレだった。
続く
見ていただきありがとうございました。
また、どこかで!




