西辺境の戦いと僕たちの中の戦い
『ホイルトツェリオ』、この国の重要な地位に就いている人物を、僕は2人知っている。ギルド監督であり、ギルドマスターのレンさん、そして宰相のダイジスさん。
その要となるになる王が、死の床についている。物語では、かっこいい勇者は彼を救うのだ。
――はぁ……、それ僕か。
僕は、大きく息を吸った。少しずっ息を整える。目の前の二人はまだ冷戦体制だ。
ぬいぬいは怒っている。でも、ルイスはわからない……。
それは昨日の内に、オリエラがいる内に、この話をしたのなら僕は絶対『わかった』と、了解しているはず。
なら、ルイスの落としどころはどこだろう? それがいまいち僕にはわからなかった。
「ふたりとも座って」
僕は席を立つ二人に、座る様に促した。
2人は、静かに席に座る。
「馬鹿な事は考えるな、さっき言ったよなぁ? 焦るなと、この事は、お前の手に余る」
「わかってます、でも……出来る事はするべきです。王の身代わりになれば死ぬ。でも、それは今だかでしょう? だから死なない為にわかっている事実が知りたい。出来れば……、どうすればいいかも」
ぬいぬいは、何か言いたそうだった。僕の事を案じているのはわかる。
「ルイス、知っている事のすべて話してください」
「かしこまりました。まずわざわいには発端があります。まず、発端の地は西の辺境の領主の城、『ニラクル』、オリエラの故郷です。ニラクルの一族や兵士は、代々その地を守っただけあって屈強な戦士揃い、魔法の使い手、揃いでした。しかしある年、彼らの領土近くに住む『呪術に長けた魔族』が兵を挙げて、その侵略に手を焼くようになったのです。現在『西辺境の戦い』と呼ばれている。その戦いでは、今までとは何かが違いました。屈強な戦士、魔法使いが、1人ずつでありますが、確実死の床へついていったのです」
「その呪いが今なお、アニス王に?」
「半分当たりで、半分はずれです」
――半分ははずれ??
「ニラクルの窮地に領主は、この城のアニス王に『請願書』により救助要請の求めたのです。なにせ魔族の王の求めたものは、『ニラクル』の絶対的な蹂躙か、領主の一人娘との婚姻でした。そしてその由々しき事態を収めるべく、我が城の王、アニス王は、その時の聖女を連れ立ってニラクルに向かいました。聖女と多くの神官、呪いに長けた魔法使いたちは、数々の呪いを打ち破る事でやっと勝利の兆しが見えるそんな戦い……。しかしそんな神官もある魔物によって、また死の床に落とされる。こちらが数で呪いを制すれば、その魔物はその能力を上げて対抗してくる。諦めない者だけが、その盤面で勝利をおさめる。そんな戦いでした。しかしアニス王は見える敵のすべてうち滅ぼし、そして呪術の王の首を取ったのです。それは長い歳月の戦いでした。王妃一筋だった王が、辺境の領主の娘とあやまちを犯してしまうほどには……」
「そしてオリエラが……」
「はい。しかし姫君はその事を王には話させなかったようで、呪術の王を討ち取った王は、何も知らず、この地に帰還しました。そして盛大なパレード後に宴が執り行われたその時、王と王妃、そして大勢の人々の前に『呪術に長けた魔族』の最後の呪術士の影が現れました。その影はやはり幼さの残る青年で、神官や魔法使いたちの見た影と同じ者でした……。その青年はまだ変声期の終わり切ってない声で言ったそうです。己が命をかけて行った呪術で、もうこと切れている事を。その死によってアニス王、お前を絶対に逃がさないと、それだけを告げると、彼を見て膝から崩れ落ちていた王を、その影がは包み込みました。その時、王は涙ながらに言ったそうです。『何故?、こんな事が出来るのだ。どんな気持ちで、年若い青年を人を呪い殺すだけの道具に仕立て上げられるのだ!?』人々は魔物の青年にも慈しむ王の嘆きと、これから起こる悲劇を見ている事しか出来ないと悟りました。ただ一人王妃を除いて……」
「でも、そんな話なら通常の祝福や呪いの解除魔法で難しいと思いますが、ならどうやって? 聖女ももちろん呪いを解こうとしているでしょう? オリエラが生まれてから、何もしなかったわけではないですよね?」
「やはり、あらゆる方法で呪いの解除は試されました。そして王も自分、亡き後の政策についてあらゆる手を尽くします。蝕む呪術によって彼が、床に着くまで5年。その期間、呪いを解く方法は発見されず、王の身を案じた王妃が連れて来た、預言者にすがるまでなってしまいました。『王を救う人物が、西の辺境の地にいる』と予言者は予言します。しかしその頃には皆、すべての事に半信半疑で、疲れ果ててしまっていました。王家に関する事であるのに、ギルドの冒険者にクエストとして依頼るほどには……。ですが冒険者たちは、成果を挙げで帰ってきた。彼らの連れ帰った姫君は、王の血を引くものであり王を救う者になるはずでした。例え彼女の命がついえようとも……。現に彼女の登場ともに、先程の方法が発見され、そして新しい聖女となった、ルナ様は歴代の聖女の中でも秀でた力の持ち主。後は、彼女をその贄にするれば王は助かる予定でした。しかし彼女を連れてきた冒険者は、それを反対し彼女を自分の弟子にしてしまった。しかし今年の春先、件の預言者が新たに予言した『月』より来たる勇者をその贄に使う案をも、今度は、反対しているどうしたいんですか? ぬいぬい、貴方は?」
「おかしいだろ、自分の命を永らえさせる為だけに、自分の娘を生贄にするなんて……。例え存在さえ知らなかったとて、あの王が許すはずはない。 それにこいつにしても勇者であるけれど……それだけで、我が国だけの問題に巻き込むべきではない」
ぬいぬいは、僕が現れてから今日に至るまでに、結論は出ているのだろう。彼の声は常に冷静に響く。
「オリエラはこの事を知っているの? ぬいぬい」
「オリエラにはまだ伝えてない。彼女や彼女の親族も王の落とし子として保護され、王族からは親族として見られていないだけと思っている。あんな小さな娘に、誰も真実なの語れるはずもない」
ぬいぬいの表情から苦悩が、読み取れる。自分に幼い息子が、出来た今、その苦悩はなおさら彼を苦しめていたのだろう……。
「では、彼女は何も知らないのですね……」
僕の声が只むなしく響く。ここには誰も僕に代わりを求める者は無く、ただ各々の状況が話さなければならない状況であっただけだ。と、信じたい。
「わかりました。今の所は僕が身代わりになる前提で、話を進めてください。ただ怖いだけで進まないと、すべて失ってから後悔する事になります。後、身代わりをする前提で、疑問があるんですけど……僕、魔王の義理の娘さんと凄くいい関係で、このまま婿養子もありうると思ってはいますが……。もし僕がここでアニス王の為に死んだらどうなるかな? って人間界と魔界の全面戦争不可避みたくならないかな? っと……」
「任せてくださいハヤト! 隠ぺいするのはお手の物です」
ぬいぬいが、あきらかにルイスに呆れている。わかる。わかりますよ。めちゃ、ぬいぬい! 人を詰めておいて、人間界をかけた一大事をさらっと明後日の事を、ルイス言い出しましたからね。
「とりあえず前回の失敗を踏まえ、王と勇者を一度に亡くす選択はしないだろう。王にはオリエラの他に、王妃との間に長男がおり、シゼルド王子は呪いの継続を恐れた貴族たちによって遙か遠い国で、その国の政治を学ぶという名目で寮生活をしているがな。とりあえずお前は木の魔法が使えるのだから……自分を活性化させ方向で、木の魔法を強化した方がいい。」
「ルイスの考えは?」
「私としては貴方に全ての事を知る権利があるから告げただけで、そこからどうするからはハヤトの選択しだいです。私なら今の状態では身代わりには決してなりません。死ぬのが落ちだからです。でも、このまま魔界に行っても死ぬことになるので……まぁ、目標があれば死ぬ気でやるでしょう? そうすれば、絶対に、あなたの望むだろうものが手に入る。悪い話ではないでしょう?」
「何から何まで、わかっていて少しムカつくなぁ……」
「違います。何から何までわかるよう訓練されて生きてきました。ハヤト、私はあなたの執事として、最善を尽くすべく生きているのです」
ルイスが、度肝を抜くような事を言って、開いた口が塞がらない。ルイスの顔はあくまでも真剣でよくわからない。
「こう言われれば満足ですか?」
凄い笑顔で、ルイスが言い。ぬいぬいはもはや聞いてない。
「でも、そこには真実がある。そうじゃないですか? ルイス……」
――どうだ困れ!!!!
ルイスはただ微笑を浮かべるが、ぬいぬいは美味しそうにご飯を食べている。僕もご飯食べたい……。最初、君たちが揉めてたよね?
続く
凄い台詞が長文でした……。お疲れ様でした。
見ていただきありがとうございます!
またどこかで~。




