決断の時を感じて
【この章のあらすじぽいもの!】
(ep.38)フィシュアンドチップスと僕は連呼する! そして事態は急変し、アニス王の様態の話になります。(ep.39)僕らが住まうホイルトツェリオ城の主、アニス王を助けるには……。そんな話をしていたのに、ラストまで真面目に持って行くべきだったのではないか? 僕はそう思います。(ep.40)ぬいぬいの魔法使い育成計画も、ルイスプロデュースで凄く脱線した。してない? 大丈夫?(ep.41)僕がただただルイスに迷惑をかけてしまいました。(ep.42)大豆を発芽させて、サラダの葉っぱモシャモシャ食べています。(ep.43)何者かの存在とルイスが全力で、僕の心をかき乱します。(ep.44)大精霊ウンディーネの心をがっちりと掴みました!(城の衣服の購買店のおねぇさんが……)(ep.45)とりあえず大混乱していたのは、ウンディーネ、ルイス、集団下校の生徒さんと先生ですかね? 僕的には学校の先生が一番混乱していた気がします。僕? 僕か……どうでしょう?(ep.46)ぬいぬい居ないから自主学習になってしまう。酒池肉林ではなく、お茶をティーカップで飲んで、フルーツを、ガラス器に入れて、きれいどころの執事とウンディーネと畑仕事。茶テフガ執ウ畑……これ何の暗号!?(ep.47)3人で回復魔法を試しが、ルイスが1番性能がいいようだ。(ep.48)僕が、謎の魔物に襲われる。川に住んでいて、粘着質、グッチョグチョ……たぶん僕一人だと逝ってた……教会に行っていた……。(ep.49)スライムの残党狩りをするべく川へふたたび参る! ギルドクエストも受けられて両得だ!(ep.50)なんと言うかあれだ。こういう感じは『日常』て言うけどイケメン執事が腰を痛めるのは、日常ではないか……。どうたろう?(ep.51)ウンディーネは、ノックして部屋に入らないダメ! だが、ルイスも鍵をかけて何も言わないから一度にいろいろ覚えるのは珍しくかな?(ep.52)ルイスは実家でも、見習いで執事してたのかな? 御両親に対しても小言言ってそうな感じはあるけど、御両親も立派そう。そして綺麗そう。(ep.53)上手くいかないって言うか、成長痛大変! みたいな?(ep.54)言葉のきつい青年、その青年にいらつくウンディーネ。過激なウンディーネの反応を咎める僕。そして泣いてしまったウンディーネ。なんかいろいろ難しい……。(ep.55)前回の結果が思わぬ事態を生み。そしてルイスが絡み、手が付けられなくなる。どうしてこうなった!?(ep.56)ウンディーネのギルドの身分証明のカードが出来た。そこに新しい人物が混ざると、その新しい仲間の成果が僕にいろいろな人々の感情を見せてくれる。(ep.57)新しい仲間に少し恰好をつけたかったが……やはり僕らは僕らなんだよね。素晴らしい勇者パーティーにはなれない。(ep.58)ルイスは新しい仲間を教育する為に、強く接しているけど……ルイスは、ウンディーネの物理(破壊)攻撃に弱い、ウンディーネは僕に弱い。僕は新しい仲間の彼に弱いって事になるのか?(ep.59)集まった仲間で顔合わせ。僕は少しは成長出来ただろうか?
城下街の喧騒の中を歩く僕たち。
「せっかくだから、ここで食べよう」
ぬいぬいは、ある店の扉を押して入る。
大きな窓ガラスの外から見た雰囲気、そのままこじんまりした雰囲気の店であったが、決して人は少なくない。
白い壁紙は清潔感があり、濃いブラウンの机と椅子。椅子に貼られた布地は花をモチーフしているが、決して主張は強くなく、落ち着きがある。
調味料もシンプルなのが使われているが、メニューだけがリアルなイラストが使われて食欲を誘う。
「いらっしゃい ぬいぬい、あるるは元気?」
少しくすんだ感じのピンクの上下の制服。ブラウンの髪で、顔に少しそばかすがあるが、それがキュート見える笑顔の女性がぬいぬいに笑いかけ、そう言った。
「あるるは元気だよ。今、実家へ帰ってここで、食べられない分のフィシュアンドチップスを食べている事だろうよ」
「あらあら、それは寂しわね……。でも、そのおかげで沢山のお客様が来てくれて、うちはハッピーだけど、注文が決まったら声をかけてね」
「俺は別に寂しくて大勢で、出歩いているわけじゃないぞ」
「ふふふ、ちゃんとわかっているわ。ごゆっくり」
そう言って彼女はカウンターへ戻って行った。言いたりない感じのぬいぬいがこっちを向き直る。
「で、決まったか?」
「木苺のジュース」「紅茶を」「じゃ、サイダーで、ってメインの料理は?」
「ここのおすすめは、フィシュアンドチップスしか無い。最初はそれを食べるべきだ。そしてサイダーはアルコールだが大丈夫か?」
「出来たら、アルコールの入ってない方がいいですね」
「では、お前がそう頼め出来るな?」
「あぁ、出来ます。出来ます」
「すみませーん」と、言って手を大きくあげた。先程の彼女が、すぐにやって来た。
「あぁ!? 貴方、噂の勇者様ね。そうか……なるほど。わかったわ!」
――何が、わかったのだろう……? そんな事を考えていた僕は、そうとうキョトンとしていたに違いない。
「私はマリー、勇者様、お名前を聞いていい?」
「草薙ハヤトです。で、名前がハヤトです。宜しくお願いします」
「わかったわハヤト。よろしくね。で、これで私は友達だから言うけど、お店で店員を呼ぶとは、こう目で合図して、こう……私を見つめ、目をぱちぱちってしてもいい。ずっと見つめるだけでも、まぁわかるわ。あぁ……この人注文したいのかも? もしかして私に求婚したくて悩んでる?ってね。勤務時間だから聞くだけは、聞きに来てあげる。それから手をあげる場合は、小さくさりげなくね」
「あっ……わかりました。そうするようにします」
「いいのよ。気にしないで、くよくよしたらうちの料理も美味しいなくなっちゃう……で、注文は何?」
「フィシュアンドチップスを4つと木苺のジュースと紅茶と僕はアルコールの無いサイダーってありますか? 後、ぬいぬいはなんだっけ?」
「俺は今日はシードル。ルイスもいるしいいだろう」
「わかった。全部大丈夫よ。じゃーごゆっくり」
そう言って彼女はカウンターへと消え、僕らは魔法学校の話に花を咲かせた。
その後、僕はフィシュアンドチップスの外国の料理ぽさと、マリーの人柄の良さに少しだがが外れたのか、食事中も合わせて5,6回は、フィシュアンドチップスと言っていたようだ。
そしてそんなに好きななら、おみあげにもって帰ればいいとぬいぬいに言われ、今度はちゃんと目配せでマリーを呼ぶ事が出来た。
「お待たせハヤト、料理の追加注文?」
「持ち帰りで、フィシュアンドチップス1つ。あっ、とみんなはいらない?」
「「大丈夫」」
「ふふふ、ハヤト気に行ってくれたのね。じゃー、オーダー通してくるわ」
そして出来た、フィシュアンドチップス持って帰った。
受け取る時、マリーは「友達になった記念にサービスしておいたわ」ってこっそり僕に伝え来た。
そしてお店の扉から出ると、ぬいぬいが「ここに連れて来た男は、だいたいマリーに惚れて、常連とコックの親父に阻まれ恋破れるか、常連になるかだから気をつけろよ」
「じゃ、僕は常連になる方ですね」
って言った僕は、フィシュアンドチップスを、昨日の内に美味しく食べてしまった。有言実行してしまう日も近いかもしれない。
☆
昨日の夜、夕食を食べた後、オリエラを魔法学校まで送ってから帰ってきた。
そして僕が思っていたより、僕の胃は油ものを許容しないようで胃もたれで、今朝早くに目が覚めた。
まだ食べだばっかりと言う感じ、僕の胃は食べ過ぎだぞと主張する。
――油物は、普段食べないのに結構食べたからな……。
ここは本当のイギリスではないので、本場の味とはどう違うか未定のままだが、僕のフィシュアンドチップスはあの店の味になりそうだった。
さっさといつも着ている、近衛兵の制服に着替えて、城の中を走る。
朝早くなのに多くの兵士達とすれ違う。
城の中は迷路のような仕組みなのだが、娯楽のない異世界で暇な時に走っていたら近場の道は、だいたい覚えてしまった。
それと共に知り合いの兵士もどんどん増えた。
走り終えて帰宅すると、魔法の火の力をお風呂の壁の、指定の場所へ注ぎ込む。魔法の湯沸かし器は、力を調整し決めた温度にしてくれるのだ。
だから蛇口をひねると丁度いいお湯加減のお湯が出る。
この湯沸かし器に感動するのも後、何回だろう……。いつか慣れてしまうのだろうか?
魔法についても電気と同様に仕組みはわからないままに。
そろそろ朝食にも、いい時間なり――。
「朝食の準備が出来ました」と、ルイスが呼びに来る。ぬいぬいも、彼に呼ばれてやって来た様だ。
「「おはよう」」
「ルイス、何か手伝う事あるか?」
「用意は、もう終わりなので、座っていていただいて差支えありません」
ぬいぬいは、普段は、そんな事言わなさそうなに……その気遣いに少し僕は、びっくりした。
これが、既婚男性と言うものなのだろうか……。
もしや異世界では、それが普通なのだろ……。
そこで、魔王を思い出してハッとした。
これは……いや、焦るのはまだ早い、時間は十分にあるのだから……あっ、あったら駄目だ……。
僕がフィーナと会うのに、早いの越したことはないのだ。
今日の朝食はシリアル、トマト、卵、ウインナー、なんだろう……名前のわからない野菜? を食べる。
昨日の食べ過ぎたのを考慮されているのか、いつもより少なめだ。
「王の体調は、あまり良くないようだ……」
朝、郵便受けに入れられていた新聞を、料理の横に置き、見出し読んでそう言った。
「そうですね。聖女様も教会から毎日こちらに、おいでになるようですが……体調の悪化を止められないとは聞きます」
「ヴ……ン」
ぬいぬいは、少し考えこみフォークが止まる。
王と言うのはオリエラの父親なのだろう。
彼女を辺境の故郷から連れ出して会う事もままならない。この国の王はそんなに重い病なのだろうか?
僕の中で、フィーナとオリエラの生まれが重なって思えた。
でも、これはたぶん僕の悪い癖だ。世の中の人はここで大変ですね。お大事にと心を込めていたわる。
……いや、それで終わらずに心を砕いてくれる人を僕は知っている。
向こうの世界でも、こちらの世界でも……。そんな彼らの顔を今、目の前に見て、そしておにぎりを作ってくれた。フィーナと魔王の顔を思い出し……ため息をつく。
「自分が仮でも、勇者だって事、少し忘れてました。何か僕に出来る事はないでしょうか?」
「お前にさせる仕事はギルドでも、ここでもまだない。事を焦るな、使える様になった使ってやる。おれは、弟子に取った奴を見捨てはしない。例え……、レンに無理やり頼まれた弟子でもな」
「じゃ――使える奴になってやりますよ。絶対! これは、もう完成されたイメージです。誰にも壊させません」
「張り詰めた糸は、いつか切れるぞ」
ぬいぬいが、紅茶に砂糖を入れてかき回す。僕の話を受け流すように……。
「そうですね。でも、そこから始めないと……僕はいけないんです」
「ハヤト様、こんな話を知っていますか?」今まで沈黙を守っていたルイスが、突然話に加わる。
「王の病は、ある一族からの呪いであると言う噂があるのです。その呪いを、解くには聖女の癒しが必要です。しかし王には聖女の癒しを受け入れ、呪いと癒しが彼の体の中で戦っている間、命を保っているだけの体力はもうない。ですが……方法はあります。短時間でありますが、呪術を第三者に移し替える事には成功しました」
「それなら!」
僕は、初めて見た光明を捕まえようと声を発した。
「しかし呪術を移し替えられた死刑囚は、ひどいありさまで死に、呪術はふたたび王へと戻りました。その成果は、呪術は移し替えられるという事のみ。王の病気の軽減も、さいわい重くなる事もありませんでした。……しかし……この人間界で最強と言われる勇者に、呪術を移し替えたならどうなるのか?と、言う話が城で出たそうです。」
僕は、食べていたナイフを、皿に置いて動けなくなった。
「何故だ!? ルイス、何故お前は、今、ここでその事を言った?! こいつにそんな重荷を背をわせてどうするんだ!?」
ぬいぬいは、立ち上がり後ろずさり吠える。ルイスはそんな彼を凍てつくような緑の瞳で見ている。
「何故かですか? その話には続きがありまして、王の呪術の移し替えの作戦を止めたのが……ギルドマスターとその旧友と知っているからです。ハヤトが断るならわかります。しかしあなた方が、止めるのはおかしい。ハヤトは大事にすべき人材ですが、保護対象ではありません。オリエラと同じくにです。なので、彼と旅をする仲間として、この秘密は秘密にしておけないと判断しました。」
いつも温和なルイスが、声をあげてぬいぬいを批判していた。ルイスは正しい事を言っている。僕も覚悟して来たつもりだった。
でも、僕の命の使い道は、僕が決める。
いや、それは本当の気持ちじゃない。僕は大声をあげて……誰も居ないどこかへ走って行きたかった。
なぜ? 僕なんだ!? 僕の願いはちっぽけなものなのに、向こうの世界では誰でも消費するように行っている事のに……。
続く
見てくださりありがとうございます! この章もよろしくお願いします。
では、またどこかで!




