4階の案内② 完成しない円卓と星の子
その部屋の扉、その白い扉の内側には、銀色のラインが縁にそって引かれて、その中央ではエクスカリバーではなく、不思議な石の台座に刺さった剣が描かれている。
僕はその扉をゆっくり開けると、広い空間の中心に円卓と12脚の椅子が並んでいる。その周り通路があり、その周りにも丸く観覧席が並んでいた。
「12脚では、学校運営をするにしては、足りなくないですか?」
僕は中学の時の委員会の時の、記憶を思い出しながら言ってみた。
「そうです。ですが、ここではその不自由を楽しみます」
――不自由を楽しむ、団体生活にあってはならない様な言葉だ。一人の時間のロストで全ての生徒の時間を無駄にする事は、学校ではよくある事だからだ……。そんな僕の顔を見つめたのち、フランツ教頭はまた話しだす。
「この世界でも、戦いにおいても、やはり効率は求められます。ですが、しかし我々あえて我々の円卓のイメージを大切にしました。そこから起こりうる不具合に我々は常々対応し、生涯完成しない、逆に言うと常に新しい可能性をこの円卓に託しています……」
フランツ教頭は、そこまで言うと眉間の皺を深く刻み、
「と、当時の発案者達が、この設計を通してしまい、しかも変更すると呪われるシステムまで残し! 本当に我々魔法使いは、どしがたい!! 未来にこんな負の財産を残すなんて!!」と、荒々しく言ったのである。
ゴホン、そして咳払いで、気分を落ち着かせたようだ……。毎回、こうやって案内してるのだろうか??
「そしてその為に魔法いの後の、輩達は苦労の連続ですよ。観覧席の発言者を、ワープさせて場所を移動させてみたりしましたが、失敗。何度もワープするとさすがに……体調不良を起こすとの記録まででてくる始末で使えません。今は、だいたいの生徒は観覧席で、挙手をしてその場で発言しています」
「おれの頃には、円卓のマイクまで歩いて行って発言していたぞ」
「そんな期間もありましたが、女生徒はともかく男性が、高学年になると毎年、ポケットに手を入れて肩を揺らしてやって来て、発言後にマイクを床に投げつけると言うパフォーマンスをする生徒が出て中止になったよ……」
「あぁ~あった、あった。 あれは……」
「ぬいぬい!――は、ここでどんな話をしたの? 僕は、とっても気になるな」
ぬいぬいを自由にしゃべらせると、しゃくの都合的にも危険なので、無難な話を提示する。
「ここでか、そうだな……新入生が新しい環境へ馴染む為にどんなレクリエーションがいいかの提示とかだな。俺たちの種族は、もともとは結構辺境にすんでいる。それぞれの文化や生活習慣の違いを、上級生が新しく里から出てきた生徒に説明する必要を強く感じていたので、それをここで提案した。結果として案内役にそれらの違いや不便な点をオブラートに包んで伝える様に通達されるようにはなったな」
「その記載について見ていませんが……。今年の新入生のレクリエーションでの感想に、文化の違い、生活習慣の違いについて個別で、アドバイスしてもらって参考になったと言う感想はいくつかありました。寮生活だとなにぶん、長時間でいるので、生活習慣の違いに悩む部分もありますが……生徒からそういう意見が、出ていたとは嬉しい事ではあります」
ぬいぬいは、どうだ!と言わんばかりの顔をしていた。僕と、ルイスはそれを微笑ましく見ていた。
さあ――残すは、魔法学校の右翼側のプラネタリウムと天文台だった。天文台は、壁の横に備え付けてある螺旋階段から上へと上がっていく。
「落ちそうで、怖いですね」
僕が、そう言うと、フランツ教頭は、階段に手をかけ飛び降りた。しかしフランツ教頭は、そこに居た。
「魔法ですか?」
僕が大きな声をだして教頭が、落ちない様に小さな声で言った。
「わかりません。天文台が出来て何年かして、生徒が誤って落ちると言う事故がありました。当時の教師が魔法を使う前に、彼の落下が止まりました。今でもその原因を、解明しょうとしているのですが……たぶん精霊だろう。と、言うことしかわかっておりません。他の天文台にも問い合わせたりしたのですが、今のところ、こういった現象が起きているのは、この魔法学校だけなのです」
フランツ教頭は、話しながらやって来て、階段の、手すりを軽く乗り越えた。そしてフランツ教頭に続き、ぬいぬいの出番である。
「精霊、星の子については、校長が、やばいもの地下に隠していてそれに集まっているだとか……。幽霊の火の玉が集まっているとか、教師たちが集まってした、やばい実験の成果とか言われてたな」
「星の子?」
「あぁ、星の子、それについては見るのが早い。じゃ先に行って準備しておいてやる」
僕が、そう問いかけると、ぬいぬいはそう言ってほうきに乗って天文台のところまで行った。僕達が、着いた頃には生徒達と話はついてたらしく、一斉に天文台のカーテンが閉まった。
暗い天文台の中でいくつもの光が瞬いている。光が、ゆっくり色んな所へ移動していく。
「星の子と言うより、蛍ぽいね」
「まぁそうだが、蛍を見た事が無い奴も多いからな」
「あ……それは、そうだね」
街灯などない城下街で、子どもが出歩く機会はあまりない。お店も飲み屋だけぽいようだし……。でも、蛍祭りとかはないのだろうか?
「おい、星を映すぞ! 光のをやめろ」
生徒の声に、星の子が反応し光を止める。
プラネタリウムの光が、天文台の屋根に向けられる。僕達は、天文台へ上がる途中まで戻り席に座り、プラネタリームの映像を見た。
星の名前についてはだいたい異世界独自の名前であった、しかし最初、謎だった星の名前が、次に聞いた時は北極星となっていたり、星座の名前も北斗七星に変わっていた。
僕は、星についてよく知らないので、向こうの世界とかぶっている星があるのかもしれない。
校舎の全ては見学し終えた。ある意味達成感が僕の中にあった。
「後は、寮の説明だけですね。生徒のプライバシーもありますので、公共のスペースしかご覧いただく事はできませんが……」
教頭のその言葉を聞き、達成感は疲労に変わった。寮には冒険に関わる事があるのだろうか?……もしかして……需要な秘密が!?
いや、この魔法学校ではそれはない!
続く
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また、どこか!




