無理が通れば道理引っ込む
フィーナは自分自身の問題に、僕らの援助を求めた。しかし第一声は、意外な場所からあがった。
「ああ、いいぜ」
人間版、よしのさんだった。彼は僕らが寝泊まりする部屋に隣接している、テラスの入り口から現れた。彼が人間の姿という事は、魔王絡んでいるはずだ。
ーーそれより人間の姿なのに何故、テラスから現れた!?
「また、お前か」
そう言いぬいぬいは、杖でよしのさんを示し「お前は何故、逸脱した事をしようとするのか? その行為は魔王を引き下ろす事になるぞ」
ぬいぬいの引き締めた口元と違い、それと対照的によしのさんないつもの、優位さを見せつけるような笑い顔である。
何か策があるのか、いつもの適当さなのか、こちらからではうかがい知れない。
「おい、ぬいぬいって奴、お前は立場がどうとかうるせいなぁ……、何故お前が、俺の立ち位置を勝手に決める?」
よしのさんはどこからか来るのか、余裕さがあるそれはどこから来るのか? って魔王からしかあり得ない。では、魔王はどこにいるのか? 魔王をたしなめる人も、どこにいるのか? 僕か?
「これは困りましたね……、よしのさん勇者だけあって行動力は人の何倍もあるんです」
フィーナは解説者のような語り口調で、そう小声でつぶやく。
「と、言うと?」
だから、僕はそう言わねばなるまい。
「勇者の武器は人材……」
彼女の口から出たのは、そんな思わせ振りな台詞。
その結果は、すぐにやって来た。
やはり彼もテラスから現れる。町でよく見かけた茶色のコートを着た、若い男は茶髪の髪を後ろで束ねている。華奢だが、彼にはどこかしら魔王の面影がある。
「魔王の息子だ!」
よしのさんはふんぞり返り、そう言った。
それを聞いて辺りは、静まりかえる。新しい登場した人物が、魔王の息子……。
頭が疑問符でいっぱいになる。
「どういう事ですか?!」そうフィーナが叫んでいる。
彼女も知らなかったようだ。
「フィーナ落ち着いて」
僕は彼女を座らせる。わかる。どうみてもねぇ……。
「これを」
彼女の前と、よしのさんの前にある机には、ルイスいれた紅茶が置かれる。
「ヤーグ様にもすぐおいれいたしますが、紅茶と日本茶どちらになさいますか?」
魔王と同じ名前で呼ばれた彼は、しばらく考えたのち、「紅茶にしてください、うーんをわかってしまうとは思ったのずいぶんと、早いですね」
魔王の語り口調は完全に、仲間のふりをしつつ悪事を働いたのがばれてしまった悪役のそれだった。
「よしのさん、魔王様まで巻き込むのはやてください」
よしのさんはそう言ったフィーナを、人斬りの目で一睨みする。
その仲裁に入ったのは、今となっては裏切り系の悪役の兄さんとなってしまった魔王だった。彼はよしのさんの前出る。
「まあ、いい。話し方は後で、調節しょう。お前が新しい仲間を得て、羽ばたこうとしている事はわかる。だが、お前が命をかけ成し遂げようと思うのなら計算すべきは主従関係ではなく、どう生き残れるかだ。それがいやなら、魔王という立場から育てた人材を失うリスクについて考えるといい」
魔王の言うことは、どれも正しいように思う。
「どうだ、ぬいぬい? 立場は変えるものだ。覚えておけよ」
「ほう……、今回の働きに免じ、覚えておいてやる。さすが勇者ってところか」
我の強い対決はぬいぬいのわかり難い言い回しではあるが、よしのさんの考えてを認め、仲良くなりましょうっといった意味合いだと思うのだが、あるるさん直伝の解説者オリエラがいないため精度は未定である。
しかし変装までしてしまう、魔王には理解に苦しむ。現地で幻影を見せるで良くない? それとも現在の姿は幻影を見ているだけだろうか?
ところで、我々の反応半分の反応はというと……。
貪欲なぬいぬいが、魔王の話し中は、聞いていないくらい魔王を見つめていた。魔王の手を見て彼の若返りがどれほどのもの確認したりしていたり、何かこそこそ魔法をつぶやいてたりした。
部屋の隅で、ソファに寝っ転がって暇そうにしていたウンディーネ。彼女は、魔王が来た途端前によって来て近くで、魔王を見ようとしてフィーナとルナに手をつながれ、二人の顔を交互に見たのちその場所に落ち着いたようだ。
計算を終えたフィーナは、「あの私は魔王様に是非参加して貰いたいです。ですが、人間界の事件の話しでもあります。一度、話しあってみるべきだと思うのです」と、言って可憐な花のように立っている
「人間界の問題ではありますが、そこで人間界側とか考えてしまうようなら、そもそもここへお世話はになっていないと思います。不謹慎ですが……そういう冒険もワクワクしてしまいます」
ルイスはそう言う。この後、自作で勇者の冒険譚を書き下ろしてしまいそうな勢いを、彼からは僕は感じていた。
「私についても異存はありせん。教会の教義は私たちの心と身の置き方と永遠の幸せの約束。そして未来を切り開く者への援助あります。よしの様、ヤーグ様がフィーナを思う気持ちに深く感銘を受けましたわ」
ルナも寛容過ぎる、寛容さを見せている。正直発想がふわふわになってないだろうか?
「魔王については問題がないが……」そうぬいぬいは言った。ぬいぬいの気持ちは残念ながら、理解出来る。理由を言葉として現さなかった事が、彼への友愛の配慮だろうとか言うことまでも。
「よしのは鳥のままじゃダメなの? 鳥の方が可愛い」
うん。ウンディーネーー。
「やはり僕の好きな言葉は適材適所です。大切なで大きな力となってくれるお力添え大変嬉しく思います。(なので、魔王様よしのさんが大暴れしそうな時には、彼の事宜しくお願いいたします)」
「これで決まりだな!」
「しばらくの間ですが、宜しくお願いします」
よしのさんの張り切ってそう言い、魔王はそう言い今回の作戦に支障がないように、役にになりきりまわりを見回す。
ーーだが、僕とは目をあわせてくれなかった。え……?
☆☆★
魔王の城の僕らの部屋は、鮨詰め状態だった。
最初長椅子のソファに、僕を中心にルイスとフィーナ。
対面の一人ソファにはぬいぬいとルナがそれぞれ座っていた。
そして付いてきたウンディーネは、最初は入口近くのルイスのベッドでゴロゴロしょうとして、「ハヤトのベッドはあっちです」と、ルイスに言われ僕のベッ卜からの、スタートだったが……。
今では出来る執事と、魔王の部下は退き、魔王とよしのさんが僕の両脇に座っている。
ルイスは立ち、フィーナとウンディーネは、同じ四角の椅子に背中を合わせるように座っているが、やはりウンディーネは、失礼なほど魔王を見つめている。
魔王とよしのさん、この二人オーラというか、僕の場違いさが無性に落ち着かない。
「席を代わりましょう。その方が考えの違いが明確になります」
「気にするな」
「私が真ん中へ座りましょう」とよしのさんの調子に途方にくれていると、魔王が助け舟を出してくれる。
「部外者のお前が何故そこへ座る? この話しはあくまでもこいつら自身の話しであるのに、お前はそこへ座るのか?」
「本当に貴方は……」
そう若魔王の気遣いをよしのさんが切り捨てる。会話も侍だった。しかし正直に言ってもうるさそうなので、そのまま続行である。
「では、どうやって、誰が侵入するかですが……。まずルナ入れない」
「そうですね、わかりやすく戦いになるまで、私も入ろうとは思いません」
「オリエラも難しい。そして置いて行くにはルイスが最適だが………」
「私は絶対に参ります! 私のような優男では御二人を一度に守れはしないでしょう……」
そう……彼は悲しげに言うが、ルイスは僕の旅の終点の地が、ひとまずは狐の里ってわかっているぽいので、演劇の締めの見せ場を最前席でみたいのだろう。
「私が残ろう。私が行けば、何もしてこない可能性がある。そしていざと言う時、最前戦へあのものたちを運ぶ事も可能だ」
「それしかないな、狐の里側での事は未知数である。だが魔王がいる事によって最前戦への新たな追加増員可能と言えば願ってない話だ。ありがたい話しで感謝痛み入る」
ぬいぬいそういい、深く頭を下げる。
「では、よしのさんは私と行動してください」
「ああ、任せておけ鍛練の成果を見せてやる」
「あ……宜しくお願いいたします」フィーナの変な間には、穴だらけの魔王の間の事が浮かんだのではないだろうか? 僕は浮かんだ。
これで鳥に鈴は付けられた。長年一緒に暮らして来たフィーナになら、彼の突飛な行動にも対応出来るはず。
「次、泊まるどこにするかでしょうか? 今回の本命と言っていい白煙の宿に泊まるなんてどうでしょうか? きっと私たちを、もてなしてくれるでしょから、話しが早くていいと思いますよ?」
ルイスの選んだ舞台、悪の商人の宿(仮)。……時代劇みたいだな。
「いいなぁ、話しが早くて実にいい。そうするか!」
よしのさんは上機嫌でそう言った。
どうせ顔が知られているフィーナとなら、情報がすぐに伝わると考えていい。危険かもしれないが、遅いか早いかの違いだろう。
「そうですね。いいと思います」
サクサクと話しは決まる。いつもとそうかわからない。しかしいつもと違い心は重い真夏の炎天下に居るかのような気分だ。
「それなら……何かしらのアクションは起こした方がいいですね。あのお話に便乗してしまう事になりますが、墓参り。両親のお墓参りに行きたいのですが大丈夫でしょうか?」
「それは危険ですが、過去の事件のあらましがわかるのではないでしょうか?」
フィーナの意見に魔王は賛成なようだ。
そうかもしれない過去がわかり、彼女の両親を殺した人物についてわかる。
「お前たちと俺たちがバラバラで行動すれば、わかる事も増える。そしてお前らの一人の攻撃力が高ければ、集団攻撃に特化してそうな狐に打ち破る可能性も上がるかもしれない」
「でも、フィーナを危険にさらしたくない……です」
みんなが一斉に僕を見た。
「だが、彼女は新米勇者のお前より遥かに強い」
「わかってます。そんな事、そして彼女は危機に立ち向かって行ってしまうことも、でも……僕の未熟さが災いして、彼女を助ける事は出来ないかもしれない。だから、彼女が危険な行為をするそのまま見過ごすことだけはしたくない」
僕自身は、白煙の存在も怖くない。なんで、こうも彼女の事になると、理性のたががはずれてしまうのか我ながらわからない。
「もう、何故こうも魔王様やハヤトは、私に過保護なのでしょうか? 私は狐の里の1.2を争う能力を秘め、魔王の城では事務仕事なども全て引き受けておりますのに、しかし私もハヤトやみんなを守りたい気持ちは同じです。私だって引けませんよ!」
「だが、やつらに狙いには、お前の心は含まれない。狙いは白銀狐の血とお前の命だ。気を付けるにこした事はない」
そんな魔王に向かい。彼女は勇ましく「はい」と答えた。
僕はその時、自分自身の気持ちに溺れかかっていた。
彼女になにかあったら、僕は白煙の息の根を止めに行くだろう。
犯人か犯人でないかは、この際はどうでもいい。止めるものも同じくに敵意を向けてしまいそうだ。彼女のために泣いてるだけの、未来なんて自分に耐えられない。
実に愚かだけど、僕は、僕の大切なものをいちど異世界に捨ててきてしまった。自ら望んで偶然そうなった。大切なのは彼女なんだ。
続く
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またどこかで。




