楽しい会食と配慮のない行為
扉を開けて調理場へと入って行くと「今、呼びに行こうかと、思っていたとこだったんですよ」と割烹着姿のフィーナが言った。
やはり割烹着には、心ときめくものがある。
オーガをすぐさま母親へと託し、調理場と入って行ったルイスも何故か割烹着姿だった。
ルイスは、自分のエプロンがあるけど、どうしたのか? と、思わなくてもないが、そういう方針なのかもしれない。
しかしよしのさんは、ルイスを見つめ固まっていた。
うん……、ご飯持って行くの手伝うか!
今日の昼食は、牡蠣フライと五目ご飯と吸い物と牛乳プリンだった。
「フィーナちゃんが帰って来たと聞いて、今日はご馳走にしたの」
オーガ母が言う。彼女はリーダー的役割なら、もしかしたら一番歳上って可能性もある。
「でも、フィーナちゃんも素敵な人と帰って来て、魔王様も御安心でしょう。本当に素晴らしい日ですわ」
さつきまで、息子に詰問してたとは思えない上品さだった。
フィーナは魔王を返答を心配して、彼を見つめている。
魔王は「そんな人や心の、良し悪しについてはまだわからぬ」と、まんざらでもないですよね?
「で、フィーナちゃん、誰がフィーナちゃんの彼氏さん?」
ーーわかってなかったのか……?! そう度肝を抜かれたが、魔物ギャグかもしれない。
「僕です」そう、真上に真っ直ぐ手をあげる。
「まあ、まあ」と言う声の中、「フィーナさんと交際しております。草薙ハヤトです。よろしくお願いします」と、挨拶する。
雰囲気的に見ていて、割と魔界では、僕の好感度は高いのか、「良かったわね」って声が多い様に思う。
「駄目だ! まだ早い……」
「よしのさん!」フィーナが抗議する。
「よしのさん……」
僕とフィーナはよしのさんを見ていた。彼は箸で取った牡蠣フライを、そのまま口に入れ咀嚼する。
「なんだ……、うまっ」
彼はそう言ったと思うと、魔王の方へ向き直り「なんだ、これは?」
「牡蠣フライと言う食べ物だ」
「お前ら、俺が鳥なのにこんなうまいもん食ってたのか!?」
よしのさんは、えらく御立腹になった。
僕は動揺して、立っていたのだが席に座りご飯を食べ始めた。
フィーナは少し怒った顔で、よしのさんを見つめているが今、言っても藪蛇だからだろうか、少ししたら僕と同じようにご飯を食べ出した。
その頃、魔王は、「この食事は、ハヤトのいた時代では珍しくない料理だ。だからもてなすために出したのであって普段から食べているわけではない」
「どうだかな、怪しいもんだな……」
「お前は毎日、我らがどんな物を食べているか、椅子の背もたれに座り見ているだろう……」
それを聞き反省したのか、よしのさんは目の前の料理を見つめる。久しぶりにうまい飯てやつを、食べたのだろう取り乱す事も仕方ない。
「そうだったな……、わかった。すまなかった。これから俺も人間の飯を食う。いつでも、呼んでくれ」
そう華やかに言った。なんとうまく落ちがついたようだが、そもそもなんでこの人、鳥をやっているのか? 可愛いからだろうか?
「ところで御嬢様方、狐の里について知りませんか?」
冷静すぎるルイスがそう聞く。
ルイスも後半には少し、料理を手伝ったようだが聞く暇はなかったようだ。
「まあ、ルイスちゃんが聞きたいなら、教えてあげなきゃね」
「そうね。ここへ来る楽しみが増えたたしルイスちゃんの頼みなら全部聞いてあげたいわぁ」
ルイス、冷静にこちらを見て笑う。それはルイスの美しさが魔物に通じた笑みなのか、スムーズに進む進行に思わず出た笑みなのか? その両方なのか?
しかし彼、有能過ぎない? 孔雀に……しかも、純白の孔雀に……。
「わぁーー、ねえ、聞いた凄いねぇ」
「レンもよくそう言われていたなぁ……」
オリエラの発言の意図と、レンさん魔法学校時代何なやっていたの?
とぬいぬいにつっこみ込みたかったが……。
「狐の里にはやはりフィーナのような可愛いお耳の方々が多くいるんですよね。なんか気になります!」
僕は狐の里へ行く目的を、さとられないためにそう言う。
「あらあら、可愛いお耳ですってお熱いわねぇ」
「本当に、ほほほ」
「ハヤト、可愛いなら鳥だろ? 間違えんな?」
なんだろう、この曲がりくねった道の様に真っ直ぐに進まない会話は……。僕は思わず動揺した。
魔王は普通に料理を食べていた、しかし魔王に話を進めて貰うわけにもいかず……。
しかし……箸を、使うの上手いなあ。
そう、思っていると魔王がこっちを見た。そして僕は前を向く。
……無心、無心。
僕は今後のために狐の里について、聞き出そうと思いながら、五目ご飯が凄く美味しくて、夢中になってしまっていた。
鶏肉やこぼう、にんじん、そしてあさりまで……。ほかにも異世界独自の素材だろうか? 何やらいろいろ他に、入っているようだ。
そしてご飯自体も、焦げがあって、パラパラ具合とても美味しい
「美味しい……」
「あらあら坊っちゃん、気に入ってくださったんですねぇ」
「はい、とても美味しくって、とても気に入りました」
僕が、そういうと、オーガ息子が僕を少し睨む。
「若い方の勇者は、おべんちゃらも達者かよ」
「俺も若い!」
そう言ったのが、よしのさんだとわかると彼は怯み、彼は「そうですね」とだけ言った。
「おべんちゃらじなくて、こんなにいろいろ具だくさんで、本当に凄い手間がかかっていて美味しいですよ」
「主様の言う通り、とっても美味しいです」ウンディーネは笑顔で優しい声で言ったが、その背後に凄みのようなものを感じた。
それを感じとったのか、一同は1度だまった。
「そういえば狐の里と言えば、フィーナちゃんは湊さんとご兄弟? 毛並みもだけど雰囲気が似ている気がするのだけど」
「いえ、従兄弟なんです。でも、気にしてはいたのですが、手紙を送っても送り返されてしまうので心配していました」とフィーナは、湊と言う従兄弟の話しをした。
彼女の表情から、とても心配していた事はわかる。
二人は従姉妹で、彼は白雪さんの息子で、彼の祖父は僕の敵かもしれない。彼女の言葉から聞くと、いろいろ未来の中にある1つの可能性でしかないが、フィーナの大切なものと対峙する苦悩が現実味を帯びてくる。
「湊は元気にしてますか? どんな事をやっているんですか?」とフィーナが聞くと、「彼のおじいさまの白煙の旦那様がつれあるいて、どこでも見かけるけど、漢方薬をあつかっているお店が多いわね」
「そうですか……」なんとなく、彼女は落ち込んでしまったようだ。
今度はルイスが、「人間界の生活必需品を買いたいのですが、そこで手に入ったりするのですか?」
「そうなんですよ。来てみると足りないものが、出来てしまって……」
ここで売っている流通が、犯人の足取りそとかぶってたら、限りなく黒に近い事になる。
魔王が「他のものに聞くよりも自ら行って、みればいいではないか」と、僕らの話しを遮った
☆☆★
食べた料理は、どれも具だくさんで美味しかった。満腹なった僕はベッドに少し横になっていた。
「ハヤト、魔王様が勇者パーティーのみんなをお呼びです」フィーナに言われ行くと、魔王が王座で座っていた。
「今回呼び出したのはほかでもない、お前たち婆に狐の里について探りをいれていただろう。お前たちの道理で、何も知らない婆たちを巻き込むな。もし婆たちしか知らぬ情報で、動いた事が相手がばれてしまえば、無防備な状態で婆たちを危険にさらす事になる」
「あっ……、考えが足りませんでした。すみませんでした」
「見ず知らずのすべて者たちに、礼を尽くせとは言わぬが、私たちの知る者たちには危険が及ばないように考えなさい。」と魔王は言った。
続く
見ていただきありがとうございました。
また、どこかで!