異世界に住む、女の子を僕は好きになりました

魔界の新たな闇

鳥様の戦い

昨日病院へ行き、たぶん治りました！

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　魔王の城の調理場は日本の昔話に出てくるようなつくりだ。そこにたたずむ魔王は、婆たちとオーガを見ていた。

「さて、どうするかな」

「どうするも、こうするもねぇ！　戦えば…わかります」

　目の前にいる人物が魔王だと言う事を、ちょっとの忘れていた威勢のよかったオーガだが、魔王の言葉のを聞き思い出したのだろう。いきなり棒立ちで敬語に戻った。

　しかし身内には許されなかったらしく、横にいる母親にふくらはぎをゲジゲジと蹴られいる。

　怒った母親は怒り過ぎて、擬態を忘れたらしく明らかに体が大きくなり、多分年相応の若い姿になっている。

　他の婆たちは、姿こそ変わっていないが、「婆たちの里が根絶やしなったらどうしてくれる」

「出入り厳禁になるだうが」

「婆たちの青春を奪うんじゃないよ！」と、バックや茶巾袋が叩き過ぎて、若者よりバックたちの方が大変な事になり、いろいろ散乱しだしている。

　さすがに相手も魔物、無闇に参入すればややこしい事になりそうで、勇者パーティーとしてはただ見守ることにしていた。

　しかしルイスは内ポケットから、懐中時計を取り出し時間を確認する。

　これはルイスが何かしら、無駄を省くために動いてしまうのだろうか？

「待て、待て若さと言うものは、そういうものだ。無鉄砲で、向こう見ず、だが、こっちの勇者も若い。そして実戦でしか魔物と戦った事がないように見える。下手すると息子は死ぬぞ、もう一人のもと勇者の方にしておくか？」

　そう魔王が話すと、婆たちは嫌なものを見たというような顔で、僕を遠巻きに見つめる。

　こちらは何もしてないのにだ。理不尽としか言いようがない。　

「せっかくのお話しですが、俺にも意地と覚悟があります」

「じゃ、鳥様と戦え！」

「お袋！？」

　オーガ息子は振り返り、もはや普通の宿屋の女将さんぽくなったオーガ母に詰め寄る。

　しかしオーガ母「あん？」と、『あ』にほぼ濁点付きで言い放つ。

「お前、鳥様を倒したら次はお前だからな！」

　そう僕を指差し彼は言ったが、オーガ母に負けた瞬間から、負け犬のポイントをフルスロットル加点していくオーガの若者には勝ち筋が見えない。

　だから、僕は気軽に「その時はよろしく」と、言った。未来の負け犬にも、同情は失礼だろうから……。

「お前、俺が負けると思っているのか？」

　こっちはもう中身は若者ではないのに、無鉄砲で、向こう見ずな鳥が顔間近で、威嚇してくる。話しの流れをもと勇者は読んでくれないらしい。

　そしてうちの執事は、敗者確定そうなオーガを待っているわけはなく。

「ハヤト、今後のために魔物の戦い方を見てらしてください。時間も時間です、時治君やオリエラお腹がすく年頃のお二方のために、私は残念ですが、食事をだせるようにしたいと思います」と、耳打ちしてくる。

「君も、食べちゃっていいから」

「いえ、魔界の魔物の強さを知りたいと思いますので、まだやっているようでしたらこちらに参ります」

「なら、そのまま戦いの見学に行くがいい、すぐ終わる」

　そう言って魔王は料理の支度を始めるようで、釜どの方へ歩いて行く。共にトーン！と、誰かがジャンプする音が聞こえた。

　振り返ると、170は無いだろう男の背中があった。　

　後ろ髪を耳の辺りまで刈り上げ、残った長い髪を頭の上の方で、無造作に結っている。

　よしのさんだろう、その男性は結構細身で、変な柔軟体操を始めた。

　そして体をひねった時、彼は目を閉じて口角が上がり笑っているように見えたが「うん？」と、かすかに目を見開き、僕を見たその眼差しはとても鋭かった。

　イメージと違うと言うか、イメージ通りと言う彼が本当の侍だっと言う気配はした。

　僕らの侍の師匠の弥一さんから、その感じを感じとったかはもう定かではない。

　しかしよしのさんからは確かに感じる、この感じ……鞘から刀……身を引き抜いたようなギラギラ感。

　触れば切れる、僕は切られる事になる。そう僕に訴えてくる刀の凄みが彼にはある。

「どうだ、本当の俺はこんなに色男なんだぜ」

　よしのさんは自分で言っていて、恥ずかしかったのかイントネーションが変だった。

　ーーいろおとこか……と、こっちは毎日ルイス見てるしなあ。と、横のルイスを見ると、ルイスは涼しい顔で僕を見返す。

「アルト家は人間の、規格外だからいちいち比べるな！」

　僕は思った。鳥だったよしのさんは可愛い鳥だった。今の彼は鳥の時とのギャップと、その風格と、自信から出てきていた言葉だったという事も、見ているとなんかわかってしまい、ちょっとむかつくなぁ……。

「よしのさん、早く強いところを見せてください。そしてやさぐれてしまった僕の心を、よしのさんを尊敬する気持ちで満たしてください！」

「任せろ、おやつ毎日貢がせさせてやる」

　そう言って彼は刀に、手をかけようとしたら……。

「やるなら外でやりなさい」と、魔王に言われ、移動する事になる。

「昼は、人間の飯を食うからな」

　勝手口を出る間際、そうよしのさんは調理場に向かって叫ぶ。言う際に振り向く時、さつきもだが斜め上を見ながら、振りかるようだ。

　かっこいいは、かっこいいのだが、隙が出来るだろうし、なぜだろうと思いながら僕は彼らに付き、場所を移す事になった。

　調理場から出ると、人の記憶探り、利用する魔物の林が広がっている。

「ここら辺で、いいっか」

　よしのさんは一人事のように、そうつぶやき、剣を抜く。

　けれどもここの広さは、実家の僕の部屋の6畳の幅と、そう変わらない。

　横にあるのはなんかわからない、魔性の林で下手すると、警備用魔王が出てきて乱戦になりそうだ。

　しかしよしのさんは、ここを決戦の場と定めさ様で、ジリジリと相手との間合いを詰めていってる。

「なら、俺からいかせてもらうぜ！」

　オーガは目の前のよしのさんに走りより、殴りかかる！　

　しかし延べ棒が重いのか動きが大振りだ。だから、よしのさんもひょいっとよける。

　そしてよしのさんの攻撃！　……は、しない。　

　オーガの若者からある一定の距離とり、にらめっこしているだけだ。

「なあ、その棍棒思い出の品か何か？」

「いや、だ……」

　……棍棒……？　あっ！　オーガが、が！？

　よしのさんはオーガが、答え切る前に軸足を踏み出し、オーガの棍棒を斜めに切った！？

　ドカッ！　　

　ドーーン！

　その棍棒の上部が落ちきらないうちに、彼は低くジャンプし体をひねらせその力を利用し、オーガに全力の蹴りを入れる！？

　バァーーン！！　と言う音ととも蹴りが入りーー。

　そしてぶっ飛んだオーガは、後ろの林のわりと太い木の幹に、ぶち当たって木は大きくしなり、辺りの枝や木々に当たりバキバキと折れる音やぶち当たる音を響かせた。

　……今、オーガは、幹にもたれる様に、寄りかかり動かない。

　……死んだ？

　ルイスが少し慌てて、二人のもとへ行く。

　僕は足元近くに転がって来ていた、棍棒の先を拾ったが、とてもきれいな切断。斜めに、細く、切り上げられていた。

　日本刀でこんなに、太い木が切れるんだ……。

　この切れ具合からすると、石もいけるんだろうか？

　改めてよしのさんを見ると、彼はオーガの両脇に腕を入れ抱えようとしている。

「重てーー！」そうよしのさんは、声を張り上げている。

　ルイスは足首をもち、二人で胴を引きずてこっちやって来ようとしていた。

「またお前は、戦(いくさ)の真似事をして！！」

　年配の女性の声だ。怒鳴りつけるようなその声は、なおも話し続ける。

「お前の帰りを、みんなで待っているんだよ。なんで、わからないんだい？　ほら行こう、じいちゃん、ばあちゃんが待ってる」

　よしのさんは立ち止まり、それを聞いていた、彼に白い手が伸びて来ているが、魔王は来ない。

　手はゆらゆら揺れて、おっかなびっくりという感じで、彼の腕に手をかけようとしていた。僕は、ゆっくりと手の方に歩いて行く。

　彼は強く、彼に問いかける声も、僕の時と同様に本物の声と瓜二つなのだろう。

　自らか、仕方なかった成り行きなのか、親しい人と別れた人の前で親しい人の偽物にも、僕には危害加えたり、破壊する事出来ない。

　必要のない二度めの別れを、経験させてしまうような事はためらわれた。

　それは僕の重大な弱さだった、捨てなければいけないものだが、僕は危険だとわかって林へ向かった。

　向かった先で、よしのさんは一点を見つめていた。でも、見ていたのは視線の先ではないような気がする。

「帰らねぇ……」

　そう絞り出すように言い、彼は林から出る手を振り払った。

「よしの……」林は、悲しげにそう言うが、「すまなかったな！　じゃあ、いくか」

　彼はそう言うので、僕は手をぐっと握って開く。気持ちを切り替えて、のびているオーガを支えようと二人に近付いた。

　……しかし言っちゃ悪いが二人とも、頑丈なオーガ相手だかなのかやる気がない。

　だから何故か、冬に上半身裸のオーガのズボンは、ブルドーザーのように裏庭の土を集めて進行中だった。

「こっちはいいから、こいつに水掛けてくれ！　それにしても俺のような優男(やさおとこ)はこんな重いものは持てねえ。林から離すの面倒だし、林切るか！林」

　それを聞いて林は、バサバサと揺れだした。

「よし」林は、彼の名前を呼ぼうとした。

　しかしよしのさんは、オーガを少しゆっくりであるが、下に置いた？　落とす？

　それに合わせて、ルイスはパッと手を離すと、僕の腕を掴み僕を引きずるように素早くその場を離れた。

　もちろんルイスが逃げたのは、よしのさんからだ。彼はまたもや、林の言葉を遮り、オーガを円の中心にして、5メートルくらい範囲の林の木々を斬り倒し、それで名前は最後まで呼ばれる事はなかったのだ。

　林は、バサバサと揺れて「おのれ！　おのれ」と、怒り狂っているようだ。

「なんだ、やるのか？　お前がこの城を守っている範囲くらい俺一人で余裕でいける。人間様をなめるなよ？」

　☆

　…………僕には何が、なんだかわからない。目の前で林と本気の喧嘩をしているのはいるし、ルイスは裏口開けて「すみません！　息子さん気絶してしまったようなんですが」

　から、始まってーー。

「えっ！？　蹴り！？　凄い技とかではなく蹴り！？　うちの息子がそんだけでやられたのですか？」

　から~~の~~。

　オーガ母に、冬の寒空に水ぶっかけられぇーーのーー。

　そして今、起きたオーガの若者は「本当になにやってるの！？　蹴り一発で？　まぁーーまぁーー」というフレーズが、オーガ母の話しの中に何回も出てくる。

　……僕は林の方に視線を向ける。

　そこでは、よしのさんはがふんぞりかえっている。

　林は、よしのさんはが罵声を浴びせてから、普通の林に戻り、そんな木々をにらみつけている、よしのさん。

「なぁ……、ハヤト」

「何ですか？、よしのさん」

「もう飯の頃合いなのに、なんであいつら呼びにこねぇ？」

　この人ご飯待ちだった！？

「出入りに、難のある鳥の時の時と違って、いい大人は自分で来られるからじゃないですかねぇ？」

「ならば行くか！　ほら、鬼ババも鬼息子も行くぞぉ」

　そういって彼は上機嫌で歩きだしたのだった。

　続く

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見ていただきありがとうございました。

また、どこかでー。