美人三姉妹とミッシェル
狼男クエストを片付けた僕らは、泥棒は管轄外なので、狼男(仮)を依頼者任せる事になった。
寝ている住民を起こすわけにいかず、朝まで幌馬車で過ごし遊牧民の暮らしも体験せず、朝起きたら出発の時間になってしまった。草原の雄大な朝日も今日は見逃し、深夜起きていた分、椅子の所でくの字になって眠っていた。
そのまま手綱を握り草原を幌馬車に揺られて、歌に聞きほれてリズムに乗っている人の如く、今回も馬車に揺られて帰って来のだ。
今回の馬車はギルドで借りたものだったので、ギルドでミッシェルが馬車の返却の手続きとギルドクエストの終了の手続きを終わらす間に、僕は狭いカウンターではなくレストランで一人、コーヒーを飲んでいた。カップやソーサーは僕のメンバーは、街でウインドショッピングと言う名のひゃかにし行ったり、教会へ出勤したりしている。
すると、玄関からセシルとメトが入って来た。優しいけど頼れる長女セシルと、少しボーイッシュな恰好だけど料理が上手で将来はコック長って感じのメト。三女のミロルは学校かも知れない街の小学校への入学の手続きをルイスがいろいろ手伝っていたようだ。
「あっハヤト様、もう狼男の事件は終わったのですか?」
セシルは、2人掛けの席に座る僕を見つけ話し掛けて来た。
メトは、調理場の仕事に遅れない様に手だけを、こちらに向けてひらひらと振ると、僕も同じ様に返したのをみとどけ調理場の中に入って行く。
「うん、終わって帰って来たとこ、結局あれは単に足が早く、力自慢の人間だったよ」
「あら、まぁ……」
「ミッシェルがあっちで、報告をしているから、着替えが終わったら挨拶してあげると喜ぶよ」
「ふふふ、はーい。では、後で、失礼します」
そう言って、セシルはカウンターの向こうへと入って行った。
セシル、メト、ミロルは、僕たちの襲撃事件の後、しばらく彼女たちにも護衛が付き、宿屋で保護されて暮らしていたが、ギルドマスターが生き返った後はルイスが頑張ってたー。ギルドのレストランでセシルとメトは働き、ミロルは学校へと通いだした。
きっと僕らが居なくなった時の用意が早まっただけだろうが、正直どうせこうなるなら早く馴染むことが出来た方が絶対いいから収まるとこに収まって良かった。
しかし死んでしまった女王と同じ血を引く、美人三姉妹なのでギルドマスターが不心得者が出ない様に厳しいガード体制が引かれていると察せられる言葉が、最近セシルからちらほらと聞く。
セシル自身は、気付いていないようだが……。
そんな事を考えコーヒーを飲んでいると、ミッシェルが僕の横に立ち、座ろうとしているところだった。
「相変わらず、セシルさんとメトさんはキレイですね……」
そう言って座ると、彼はメニューを見ている。
「ミッシェルは、故郷に婚約者とか居ないの?」
「いいですか、ハヤトさん、僕は名家に生まれましたが、三男です。地位や名誉は長男が持っていきます。僕はこれから綺麗で、優しくてお金を持っている女性や名家の女性を探さなくはいけません。だから勇者と旅した価値がついてからの方が、断然優位になるんですよ」
「なるほど……。しかし僕との旅は、ギルドランクじゃないから結婚に優位にはならないと思うんだけど……」
「ハヤトさんは吟遊詩人とか知らないから……、女の子は物語の中で冒険をし、駆け巡るような男性が好きなんですよ」
「はい、2人ともこれはうちの奢りです。試作だから食べたら感想を教えてくださいね」
顔を上げるとセシルが僕の前に、肉まんを置いてくれた。
「セシル……」
結構食べていたから、覚えてくれたんだ。っと少し感動した。
り
「本当はメトからです。あの子、ハヤトさんが肉まんを好きな事を知っていろいろ試行錯誤して作っている途中見たいですね」
僕は肉まんにかぶりつく。肉まんにホクホクしたお芋が入っている。なかなかの美味しさだった。僕は食べ物に釣られてセト派かもな。とかふらちに思った。押しはフィーナだげど。
「これ美味しいよ~」
「メトに、伝えておきますね」
そう言って、カウンターに戻って行った。
「ね、女の子は、勇者が好きでしょう?」
「彼女たちが義理がたいだけでしょう?」
「そういう事にしてあげますよ」
彼はそう言って、少し拗ねてた感じになっている。
「ミッシェルさん、なに、ハヤトさん困らせてるんですか?」
「そんな事ないですよ。ハヤトさんは、勇者だからいいなぁ、モテてと言う話しなんですよ」
「あら? ハヤトさんそんなにモテるんですか?」
「いや、全然そんな事ないよ?」
「ほら、ミッシェルさん、ハヤトさんもそう言ってるし、ほらほら、ミッシェルさん元気だして」
そんな事を、ウエートレスのカミナと話している。
たぶん……、異世界に来る前の僕なら……今のミッシェルに石投げても許される。
―― このリア充が!!
続く
せ
見ていただきありがとうございます。な
またどこで。