階層攻略 その12
結論から言うと20階層まで登っても、塔の管理者には会う事は出来なかった。
19階層は倉庫、20階層は温室のようなつくりになっていた。
上を見上げても空が広がる不思議な天井、その空の中心にシャッター式の扉があるにはあった。ドラマなどで時々見かける、屋根への梯子付きだったので、それを下ろして登ってみた。
しかしこの塔のてっぺん、僕らが最初に調べた屋上になっていた。 そのため僕たちは19階層と、20階層を別々に念入りに探索する事にした。
20階層には畑があり、カゴに入ったポットに『マンドラゴラ』の苗も植えられ、きれいに並び置かれていた。1番最初に通った時は、ちびスフが、クンクンと匂いを嗅いで、すっぱい顔色していた。
後は城の倉庫でも見た、農作業のための道具や肥料が、適当に置かれている。
19階層は、18階から上がった階段から見て左右に別れており、僕はこちらを担当したが、右側手前に小さな図書室、残りは、家庭用品と資材、日用品とそれぞれ分けられしまわれていた。
僕は図書室のすべて取り出し、本棚の奥を探ったがおかしな仕掛けなども無い。
ーーまぁ、間取り的に秘密の部屋など、造れるスペースなど無いしなぁ……。
それでも! 僕は近くにいたミッシェルを呼んだ。
「ミッシェル……君の家は、凄い家柄だよね……」
「それはそうですが……、今、聞くべき事ですか? ハヤトさん。それに謎の塔だからと言って、本をこんなにしては、うるさがたのぬいぬいさんやルイスさんに怒られますよ。でも、ルナさんに怒られる時だけには、一緒に付き合ってあげましょう」
「フィーナの時は?」
「恋人同士の会話に、僕を混ぜないでくださいよ。何か腹が立つなぁ」
ーーそこまで、言わなくてもよくない?
「なんか、わからないけど……ごめんて。それはさておき、この世界にも秘密の隠し扉はあるだろうけど、魔法で開く扉の仕組みって作れるものなの?」
「そこまでする意味が、わかりませんね……。大工だけに造らせるならまだしも、魔法の細工に熟知して、わずかな魔法に反応する素材を集めなければならない。その人達を集めて殺しても、話さない様に約束させても家族、友達はいるはずです。人里近いこの塔で、行方不明なら犯人と疑わないなんて事はないし、塔を見て忘れられない思い出としてついうつかりなど、いつか知られるリスクしかありませんよ」
「なるほど……」
「ちゃんと本、片付けてくださいね」
そう言って彼は行ってしまった……。片付け手伝って欲しかったなぁ……。
「主様、それ楽しい?」
ウンディーネが、図書室の扉からヒョコっと顔を出して僕に向かって聞いてきた。
「楽しくないです」
「じゃ……相談のついでに手伝うね」
「それは大変助かる。で、どんな相談?」
「一階に宝箱、有ったでしょう?」
「うん、有ったね。靴が、入ってたやつでしょう?」
「そっそ。あの下、出入り口になってたみたい。出入りし過ぎて角がすり減ってた……」
ドサドサ……僕は驚きのあまり、本を落とした。
「ごめん、ウンディーネ! それをみんなに伝えて来て! 僕は、みんなが来る前にここを片付けます!!」
「わかった! 主様、頑張ってね!」
「うん、ありがとう。ウンディーネ後は、よろしくね」
そうして僕が図書室の本をすべて片付け終えた頃に、みんな図書室の前に現れた。
「片付け終わったか?」
今度はぬいぬいが扉から顔を出した。
「なんとか」
「ずいぶん、本があるなぁ。そして新しくきれいなものも多い。確実と言えないが十中八九ここの管理者は、人間だな……書店で、本を買ってもあやしまれない程度の容姿であり、魔物の危険性を知ってる、俺の後輩が気を許す程度には善良でもある。敵になれば嫌なタイプだ。殺した事を後悔する程度には……。で、どうする?行くのか?」
「行きます。善良でも、見知らぬ人間がこの塔を見れば恐怖にかられて、眠れない夜を過ごすかも知れない。そしてその人物が扱っている魔物も、安全な物ばかりではない。危険人物に目をつけられないとも限りません。だから行くしかないと思います」
「そうだな。こっちでも、およそそんな意見だった。そこでミノタウロスの部屋へ行き、昼食がてら管理者の話を聞く事になった。さすがに我々と管理者が争う事態は避けたい筈だ」
「そうですね、では行きますか! でも……」
「どうした?」
「ぬいぬいの後輩さんに罵られる事になれば、面倒だなっと……」
「そういえば途中いたな、あいつ……」
そうして僕たちは言葉もなく歩きだした。あのめんどくさそうな後輩さんの部屋を越えた、ミノタウロスの部屋へ!
続く
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