20階建ての謎の塔
ファンタジーに謎の塔はあってもいいかな? って感じで、気楽な気持ちで建設した気がします。
僕はスフィンクスと、ゲストハウスで戯れていた。
なんとスフィンクスも液体だったのだ。『猫は液体』と言うのは、猫好きには良く知られる言葉で、猫が入れないだろう小さな箱や金魚鉢に猫が収まってしまう事について猫は液体と言う。たぶん。
だかたモフモフスフィンクスの雨の日の泥汚れを洗っていたなんと、普通の犬位の大きさまでにお湯に濡れて、縮んでしまったのである。
しかし魔法の温風で乾かしたら、以前の軽自動車より見た目が、大きくなってしまった。それでも少し大きめの段ボールを置くとスフィンクスが入っていたのだ。
だから僕とちびスフも、部屋で生活出来ると確信し、最近はゲストハウスで暮している。さすが人語しゃべれるだけある。(最近、ちょっとルナの前だけ)
長椅子のソファで、ごろついているとルイスが、覚悟を決めた顔で帰って来た。
「ハヤト、今回のギルドクエストはとうとう20階建ての、謎の塔の攻略です」
「おぉ――、ゲームでよくあるあれか……、勇者達が長い階段を登りきるとボスがいるあれですね」
「まぁ、そうですね、下の階層には数々の罠やモンスターのいる事務泣かせのあれです。それについての会議は、一時間後です。各自用意をお願いします」
そう言って、ルイスは他のメンバーに連絡に行った。今回の攻略には彼の意気込みを感じる。しかし事務泣かせ? 僕は隣で既に用意を始めているミッシェルにその事について聞く事にした。
「ミッシェル、ルイスの言っていた事務泣かせってなんだかわかる?」
彼は、用意の手を止めてこちらへ振り返ると、その説明を始めた。
「塔って、あまり自生しないじゃないですか。場所によりますけど……。誰かが作っただろう塔には、それを作れるだけの技術者がいるって事ですよね?」
「自生もするんだ……、まぁラスボスが作っている設定ですよね」
「まぁ、そんな感じではあります。そして魔物でも、人でも、そんな物達はだいたい彼らオリジナルの魔物なり、魔法なり、罠なりを冒険者にぶつけて来るんですが……毎回『なんだ、この新しい魔物は!?』ってやってたら馬鹿でしょう」
「攻略データーなりwikiが、必要なんですね」
「wiki? こちらではそんな風に、攻略データー全般の事についての名前をつけていませんが、攻略について誰かが文章にまとめるのは同じだと思います。こちらではパーティーの事務方が、それらのデーターをまとめて、ギルド報告します。それについて秘密裏の会議をへて、冒険者に配布してますが……」
「あぁ……魔法学校で聞いた、宝箱のミミックの研究みたいなものですね?」
「そうです、そうです。あのノートの優れた書き込みを残した者が会議に招集されるという話はあります。だがそんな人たちも太刀打ち出来ない場合が多々あります。20階建ての塔を建てるような奴は、それらについて、こりに、こるので普通に事務方が発狂するか、闇に葬ります。だいたいの冒険者は後者なんですが、ルイスさんは前者らしく、ここで1層で敗退すると前もって開けていた時間が水の泡の自由時間です。効率主義のルイスさんは……もうこれ以上考えたくないです……」
そう言うと、彼は悲し気な背中で準備を始めた。しかし自由時間なら、ルイスはこの際休養を取って寝ているべきだと僕は思った。まぁしかし、それらも僕らの成果しだいなのだから、なかなか難しいものである。
☆
僕達は会議を経て、今、塔の前にいる。
塔はあまりにも街に近く、危険な存在と言う事がわかった。しかしやはりこの塔の管理者も多分に漏れずオリジナルを極めるタイプらしい。
1階にスライム、2階にゴースト、3階にゴーレムまでわかっている。敵が強いのか、冒険者がレポートをさぼり過ぎているのかはわからない。わかるのはほぼ未知の領域って事くらいだ。
後、幸運な事に、3階までなら罠は設置されていないらしい。3階だけわかってもねぇ……て、気がしなくもないが……。
「スフィンクス、2人乗るけど頑張ってくれよ」
僕は鞍を付けたちびスフの顔を撫でた。たぶん塔の最上階が、ボスの居場所ならもしかして屋上へと続く道がある様に考えたからだ。
馬を持っているいいとこのパパみたいに、僕はぬいぬいを僕と手綱の間に座せた。
「ぬいぬい、帽子は脱いでください……」
「これはちょっとの風では飛ばない様に、魔法が掛かっている」
「帽子が体に当たって、なんかいやです」
「わかった、これでどうだ」
彼は僕にもたれかかり、帽子のつばの部分を無理やりつぶした。その帽子へかける情熱はなんだ!?
「まぁ……良いかもしれません」
「スフィンクス、塔の上に行ってくれる?」
そう言うと、ちびスフは空を、駆けるように舞い上がる。そして塔の壁を何度も足場にして速度を増す。なにぶん塔のまわりを螺旋階段の様にあがるので、登りきる頃には少し車に酔った状態になっていた。
塔の屋上は、落ちない様レンガで柵の様になっていたが、階段自体みつからないので、レンガの切れ目におかしな点がないかどうか事細かく見る必要があった。
「あったぞ」ぬいぬいは、しゃがみ込み、そのまま細かくその違いを観察しているようだ。
「塔全体を覆う魔法より劣るが、ここにだけ魔法を重ねてかけている部分が、ここの溝の外側にみられる。つまり四角の穴に、後付けて四角の壁をはめ込んであり。魔法は、その四角を踏み抜かれない様に、はめ込んだ壁より2cmほど大きく張られている」
「で、破壊は出来るのですか?」
「出来ない、後付けで貼られた魔法も人間一人が、懸垂してよじ登るか、魔法で浮かぶして通り抜ける程の大きさしか張られてない。貼ったり、消したり出来る魔法ながら、この大きさではなかなか魔法の粗はでない。下の扉を壊した方が早い」
ぬいぬいは、立ち上がると「これ、そのまま落ちるわけにはいかないか?」と言った。
「だめでしょう。魔法を使って僕らは安全でも下にいる人が、どこにいるかわかたない。今は、うちの子に頼るしかないでしょう」
「はいはい、スフィンクスママの言う通りにしますよ」
僕たちは、ちびスフに乗り、地上へ戻る頃には、入り口の扉は破壊されて開いていた。
「やっぱー駄目だった」
「やはり、正攻法で行くしかないみたいですね」ルイスは言う。
塔の中に入ると小さいスライムが、どろどろしていた。
「主様、見て可愛い」
ウンデーネが、僕にスライムを見せて来る。
「ウンデーネ、そのスライムを僕の腕に乗せてみて」
僕は両腕をひっけて待っていた。しばらく待ったのち、「ウンデーネ、スライムどけて」と言うと……「主様何やっているの?」と言ってウンデーネは、スライムをどけてくれた。
僕は「う……ん」と、袖を見ながら声をあげる。このスライムは、人間を攻撃対象にもしないし、別に服だけ溶かす事も無かったのである。
続く
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また、どこかで!




