表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/249

僕と彼女と事務仕事

 彼女がゲストハウスの階段で、僕を呼び止める。


「相談したい事があるんです」


 僕はすぐさま、みんなと居る時ではなく、この場所を彼女が選んだ意味を彼女瞳から読み取ろうとする。


 ーー駄目だ。いろいろな意味で、顔がにやけてしまう。いや、それが普通だ。頬を染める事もある。


 しかし僕は未だにそういう気持ちには、慣れないようだ。フィーナは、僕が好きって気持ちを、あらわしていい人。


 しかし二人だけの話しの後々になって、日常では思いか掛けず好きって気持ちを、隠してしまっていた事実に気づく。


「ここで話しにく話?」


「そうですね、二人きりの方が……」


 フィーナは、下を向き服の上着を言いにくいそうにもて遊ぶ。


「じゃ……」


 僕は彼女に手を差し出し、彼女の置いた手を優しく包み込む。


 そして一緒に、階段を一段、一段ゆっくりと上がる。そして階段の先の飾り窓から見える通りを指差し――。



「しばらくしたら彼処の看板のカフェに来て、君、一人でね。僕はルイスに報告だけしたらすぐ行くから」


「はい、わかりました」


 そう言うと階段の下へと、彼女は手すりを持って駆け下りて行く。弾む銀色の髪や華奢な身体付、あやうい感じのスカートの裾と、か見ていて飽きない。


 しかし僕の視線に気づいたのか彼女は、突然振り返り少し恥ずかしげな表情をうかべると、ゆっくり少しよそ行きな感じなふるまいで、廊下の角を曲がっ入った。


 はは、少し熱い顔を、手で覆い……僕は、いろいろ駄目かもとそう思う。


 理性が、って事もそうだけど、好きの加減が彼女より、僕の方が多く、強い気がして、いろいろ負けている気がする。


 こんな気持ちを伝える事が少し怖い。彼女は絶対言わない事だろうが僕の心のどこかと、僕の過去がふと顔を出し『重いね』と、僕に告げて沈んでいく。


 僕にそう言った彼女も、冗談だったんだ。気にする事はない。


 ――まぁいい。僕は僕。いるか、いらないかと言えばいらない記憶。それを心のどこかに投げ捨て、彼女と僕だけの恋をしていく事にしよう。


 っと、急がないと。


 僕は少し、急ぎぎみに階段を駆け下りる。そしてリビングルームへと通路を進み、その扉を開ける。


 やはり今日もルイスとミッシェルは、いろいろ書き物をしている。


 ホーエンツォレルン城の王族やギルドは、僕に猫の鈴は付けない代わりに、指定の書式で報告書は欲しいと、告げて来ていた。インクで正式な書類へと書いていかなければならない。


 そもそもギルド運営を進めて行くために、新種の魔物、新ダンジョン(と罠)の情報は欲しいらしく、そっちは前からあったけどね。


 僕向けは旧地図からの変化した地形を書き込んだり、住す民の数を記載したり、明らかに冒険者の仕事ではないだろ?! って事柄を明記する書類欄がある。


 だからゲストハウスを、気を抜いて歩いていると、「もうレンさん!」ってミッシェルの声だったりクックク(『いいでしょう。ならば、戦争です!』って言いそうな)ルイスの笑い声がする。

 事

 フィーナは、魔界とは書き方やそもそもパソコン派の魔界との違いがあるので、下書きをまとめたりしているようだ。


 ーー僕は魔界でのパソコンについては、フィーナに詳しく聞くことは出来なくて、パンドラの箱は未だ閉まっている。


 というわけで、二人の仕事はまだまだ時間はかかるし、ギルドクエストの成果報告は毎日増えている。


 地獄絵図!! それプラス、今後の進路予定図の作成と仕事は山積み待ったなし。それなのに僕も専門的な事になると半分も理解出来ない、そんな僕に任せるより、自分達でやるのが早いらしい。


 それでもルイスは、休憩時間などに事務関係の書類や書籍を、僕に手渡す。


「ギルドカードを読み込むと、ステータス的には貴方の学力は決して低くはないはずです。意外でしょうが、貴方に理解出来ないものではないのですよ」


 今年大学1年、現在休学中か、退学してしまった僕は、「はい……頑張ります」と、力なく答えた。


 しかし……「内容うんぬんの前に、やはり文字が壊滅した……」と、すぐに頭を抱える事になる。


 しかしフィーナには、すぐに辞退したルイスは、僕に毎夜、進行状況のチェックと、わからない場所のおさらいをする時間をもうける。


「では、今日の習った部分のおさらいとして、フィーナの書いた下書きをもとに、本番のものに記入してみましょう」


 と、彼はいた具合に、彼は丁寧に教えてくれる。


「ハヤトさんいいですね。僕もルイスさんに教えて貰えば、もっと上の資格を狙えたのに……」


 僕が勉強している横で、僕らの様子を見ていたミッシェルはそう言ったほどに、彼は丁寧に教えてくれたようだ。


「ミッシェル、私にその資格のお手伝いをさせて貰えませんか?」

 そうルイスは、優しい笑顔でいう。


「ルイスさん……」ミッシェルは、感動しているようだ。


「ハヤトはもちろん、ミッシェルにも、むちゃぶりを言いやすいですし。きっと立派に事務の知識を身につけてくだされば、一生その恩を忘れないと私は理解しているつもりです」


 そう言った彼は、沈む夕陽をバックに、椅子の背に手を掛け計算されたような量の日射しを受け、大変神々しかった。


 ミッシェルは動揺していたようだが、ルイスの語った未来は勇者と執事の関係上、妥当とすぐさま判断し「うん!」と、力強く言った。


 これが世に言う、『黄昏時の利害関係の一致である』なんて事は、誰も言わない。


 そんなルイスとミッシェルに、デートの報告をするのは申し訳ない。なので、コーヒーを飲みに行く事だけを連絡をする。


「わかりました。ハヤトすみませんが、我々の分のコーヒーも買って来てください」


「わかった。普通のコーヒーか、おススメでいいよね?」


「眠くならなければ、何でもいいです」そう彼は、力なく答えた。ピカピカのルイスの様子は普段と同じ感じだが、ミッシェルには目の下に明らかにクマが出来ている……。


「今日はもう休んだ方が……」


「大丈夫ですよ。もうすぐ、めどが付きそうなので、気にせずデートへ行って来てください」


 そう言って、僕を見つめるルイスは、半端なく顔が綺麗なだけに怖い……。


「えっあぁ……」戸惑う僕に、ミッシェルが――。


「デートなんですか? 人がハヤトさんの手を5人分は借りたいのに!?」


「ミッシェル……そう言う事を、言うとモテないみたいに思われるので、こんな時は好きなものをお土産に頼むくらいがいいですよ。きっとお土産にだいたいの物は買って来てくれますから」


「ルイスさん……その余裕……。社交界では、影でブイブイいわせてるって本当ですか?……」


「はっ?」


 ルイスは、静かにそう言った。ミッシェルはこの後、何か月もルイスの生贄になる事を僕は確信した。


「では、行ってきます!!」


「ハヤトさん……」


 僕は、そんなミッシェルの声を、振り切ってリビングルームの扉を開けた。


 ――ごめん……ミッシェル。僕に守れるのは一人だけフィーナだけなんだ……。


 そう、思いながら僕は階段を駆け上がると、自分の部屋へ入る。そして鍵を閉める。


 念のため、布団を人間一人分くらい膨らました。後は、鞄を持ち自分に強化魔法をかける。


 そして窓を開けそこから、下を覗くと誰も居ない事を確認すると窓から飛び降りた。


 いざ! 彼女の待つカフェへ!!


 続く

見ていただきありがとうございます。


また、どこかで!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ